表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何度転生しても逃げられない  作者: S@Y@


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/89

第八十四話 古い肖像画


 男は、黒い木箱から古い肖像画を取り出した。


 そこには、一人の女性が描かれている。


 長い髪。


 エヴァンローズ家の紋章が入ったドレス。


 そして――リゼリアとよく似た顔立ち。


「……やはり。」


 男は肖像画を見つめる。


「この女が鍵か。」


 その頃。


 エヴァンローズ公爵家では、リゼリアたちが父親から話を聞いていた。


「黒い箱の中に何が入っていたのか、私も知らない。」


 公爵はそう答えた。


「ただ、昔からあの箱には触れるなと言われていた。」


「誰から?」


「私の父からだ。」


 リゼリアは驚く。


「じゃあ、お祖父様も知っていたの?」


「おそらくな。」


 ノアが尋ねる。


「箱と一緒に保管されていた記録には、何が書かれていたんですか?」


「それも分からない。」


「ただ……。」


 公爵は少し迷ってから口を開いた。


「記録の最初のページに、こう書かれていた。」


「何と?」


「『この血を継ぐ者に、真実を託す』。」


 リゼリアは黙り込む。


「私に……関係しているの?」


「可能性はある。」


 ノアがすぐに言った。


「でも、まだ分からない。」


「うん。」


 リゼリアは頷く。


 すると、公爵がふと思い出したように言った。


「そういえば。」


「箱を最後に見た時、近くに一枚の肖像画があった。」


「肖像画?」


「ああ。」


 リゼリアが顔を上げる。


「誰の?」


「それが分からない。」


 公爵は首を振る。


「昔の女性だった。」


「名前も記録されていなかった。」


 ノアとリゼリアは顔を見合わせる。


 その時。


 扉が開いた。


「公爵様!」


 騎士が駆け込んでくる。


「どうした?」


「先ほど、王都で不審な男を見つけました。」


「捕まえたのか?」


「いいえ。」


 騎士は首を振る。


「逃げられました。」


「ですが、落としたものがあります。」


 騎士が差し出したのは、一枚の紙。


 そこには肖像画の一部が描かれていた。


 リゼリアが目を見開く。


「……この人。」


「知っているのか?」


 ノアが尋ねる。


「知らない。」


 リゼリアは首を振った。


「でも……。」


「どうした?」


「なんだか、見たことがある気がする。」


 胸の奥がざわつく。


 まるで、ずっと昔から知っているような感覚。


 ノアはリゼリアの様子を見て、そっと手を握った。


「無理に思い出さなくていい。」


「うん。」


 リゼリアは頷いた。


 その夜。


 二人きりになった部屋で、リゼリアは窓の外を眺めていた。


「ノア。」


「ん?」


「私、この肖像画の人を知っている気がする。」


「……夢とかで?」


「分からない。」


 リゼリアは少し考える。


「でも、怖い感じはしないの。」


「なら、ゆっくり調べよう。」


 ノアが隣に座る。


「焦る必要はない。」


「うん。」


 リゼリアはノアの肩に頭を預けた。


「ありがとう。」


「何が?」


「こうして、隣にいてくれること。」


 ノアは少し照れたように笑った。


「俺も、君の隣がいい。」


 二人は静かに寄り添った。


 まだ知らない。


 その肖像画が、二人の前世とは関係のない――。


 **今世のリゼリア自身に繋がる秘密**だということを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ