表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何度転生しても逃げられない  作者: S@Y@


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/29

第十二話 会いたいという気持ち


 ノアへ手紙を送ってから三日。


 リゼリアは、なぜか落ち着かなかった。


「お嬢様、お花はいかがですか?」


「え? あ、ありがとう」


 花瓶に花を飾る。


 本を開く。


 刺繍をする。


 どれも長続きしない。


 気づけば窓の外を眺めている。


「……まだかな」


 ぽつりと呟いてしまった。


 返事が届くには、まだ早い。


 分かっている。


 分かっているのに。


「私、どうしちゃったのかしら」


 自分でも笑ってしまう。


 ◇ ◇ ◇


「お嬢様!」


 昼過ぎ。


 侍女が少し嬉しそうな顔で部屋へ入ってきた。


「レイヴェルト公爵家からお手紙です」


「……!」


 リゼリアは立ち上がりかけて、はっと我に返る。


「……そ、そう」


 平静を装いながら受け取る。


「ありがとう」


 侍女が部屋を出るのを待ってから。


「……!」


 急いで封を開いた。


---


 リゼリア様


 お返事をいただけると思っていなかったので、とても驚きました。


 何度も読み返しています。


 花の名前も覚えました。


 今度お会いした時、間違えずに言えたら褒めてください。


 それから。


 リゼリア様も、本がお好きになったら嬉しいです。


 今度、おすすめを持っていきます。


 お会いできる日を楽しみにしています。


          ノア・レイヴェルト


---


「……何度も?」


 思わずその一文を見つめる。


 何度も読み返している。


 そんなに。


 私の手紙を。


 嬉しかったの?


 胸が、くすぐったい。


 気づけば。


 リゼリアもまた、その手紙を二度、三度と読み返していた。


 ◇ ◇ ◇


 一週間後。


 待ちに待った訪問の日。


 馬車がレイヴェルト公爵家へ到着すると、リゼリアは自然と窓の外を見た。


「あ……」


 玄関前には、ノアが立っていた。


 まだ馬車も止まりきっていないのに。


 こちらを見つめている。


 扉が開く。


「リゼリア様!」


 ノアは一歩前へ出ると、すぐにはっとして足を止めた。


「あ……す、すみません」


 勢いよく迎えに来てしまったことが恥ずかしかったのだろう。


 耳まで真っ赤になっている。


「待っていてくださったんですか?」


「えっと……」


 ノアは視線を泳がせた。


「た、たまたま外に……」


 その時。


「ノア様」


 近くを通った庭師が、不思議そうな顔をした。


「今日はずいぶん早くから玄関にいらっしゃいましたね」


「…………」


 ノアが固まる。


 リゼリアも固まる。


 庭師は首を傾げたまま去っていった。


 しばらくの沈黙。


「……ふふっ」


 リゼリアが笑うと。


 ノアは顔を真っ赤にして俯いた。


「ぼ、僕……その……」


「待っていてくださったんですね」


「……はい」


 小さく頷く。


「会えるのが、楽しみだったので」


 その一言が。


 リゼリアの胸を優しく満たした。


「私もです」


 自然に言葉がこぼれる。


「ノア様に会えるのを、とても楽しみにしていました」


 ノアは驚いたように目を見開き。


 それから。


 子どものように嬉しそうに笑った。


 その笑顔を見て、リゼリアも笑う。


 今日もきっと。


 穏やかで、優しい一日になる。


 そう思うと、自然と足取りも軽くなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ