第103話 庭に残されたもの
西塔の庭へ出ると、騎士が植え込みの前で待っていた。
「こちらです」
騎士が指差した先には、黒い布が落ちていた。
拾い上げると、黒い外套の一部だった。
「やはり、あの男のものか」
レオンが確認する。
すると、騎士がもう一つの物を差し出した。
「こちらも見つけました」
それは、小さな古びた鍵だった。
リゼリアが手に取る。
「……この鍵、どこかで見たことがある」
ノアが覗き込む。
「エレノアの墓で見つかった箱の鍵と似ているな」
「ええ。でも、少し違う」
リゼリアは鍵を裏返した。
持ち手の部分に、小さな紋章が刻まれている。
「これは……王家の紋章?」
レオンの表情が険しくなる。
「王家の物を、なぜあの男が持っている?」
誰も答えられなかった。
その時、庭の奥から声がした。
「リゼリア!」
振り返ると、王宮の騎士が一人、慌てて駆けてくる。
「西塔の地下で、隠し扉が見つかりました!」
「地下?」
リゼリアは鍵を握りしめた。
ノアも同じことを考えたようだった。
「……この鍵の出番かもしれないな」
三人は騎士に案内され、地下へ向かった。
薄暗い階段を下りる。
そして最奥。
そこには、古い鉄の扉があった。
中央には――
先ほどの鍵と同じ形の鍵穴があった。




