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歩くこと数メートル、ここで陛下がお茶の時間だと言い出しました。
なぜ国道ではなく裏道を通っているのか、その理由が野盗と出くわす関わりが深いから、とわかったのですが、いかんせんのんきにお茶を飲んでいる間に襲われたらおもしろくありません。
「陛下、わたくしは――」
「ジョゼフ、と呼びたまえ」
「で、ではジョゼフ。こんなところでのんきにお茶を飲んでいる場合ではありません。人材派遣会社のヤマダさんと契約をするためには、もう遊んでいる時間はないのですよ?」
「ならばワープすればよかろう?」
ちゃらっと答えないでくどさい。それなら最初からワープしています。
「どうしてこんな場所でお茶を飲みたくなったのですか?」
「うむ。普段の生活のたまものだな」
「我慢してください。ほら立って。先へ進みますよ。また野盗に襲われたらどうするつもりです? このペースで警備兵候補を育成していたら、あっという間に城の雰囲気が下品になってしまいます!!」
下品はいけません。そういうことは、お城の外でしてください。
そんなわけでして、約束の場所まで強制ワープしてしまいました。
「まったく。ジェインには情緒というものがないのか?」
「裏道を歩くことを情緒と呼ぶのでしたら、わたくしに情緒はありませんし、お茶は宿屋にたどり着いた時に飲むことにしましょう?」
なにげにわがままモードに突入してしまった陛下を前に、ほんの少しだけ圧力をかけてしまいました。
そうしておいて、約束していた喫茶店に入ります。
そうです。喫茶店に行くのですから、裏道でお茶なんか飲む必要はなかったのです。
からからんとドアベルが鳴って、僕たちが店内に入ると、王室御用達の人材派遣会社のヤマダ氏が手を挙げてくれました。
僕たちはそこに並んで腰掛け、ロイヤルミルクティを注文しました。
「たいへんお待たせしてしまいました。ヤマダさん、はじめまして。ジェインと申します」
「我はジョゼフだ」
「えっ!? まさか、国王陛下とおなじ名前の方がいるとは、いやはや」
本人なのですけどね。今はおなじ名前というだけの情報しか渡せませんよ。
「それで、いつから仕事に来れますか?」
「明日にでも」
陛下が食い気味に答えてしまいます。
「あの。なにか必要な道具とか、服装とかありますか?」
仕方なしに僕が問いかけます。
「服は支給されたものを。道具は出されたもの、あるいは魔法を使うなりしてください。お二人はかなりの魔力があるようですから、魔法で掘ってもらうことになると思います」
「承知しました」
つい、いつもの癖が出てしまい、人のいいヤマダ氏をそわそわさせてしまいます。
「では、こちらが今回働いてもらうことになる炭鉱の現場地図です。現場では、現場責任者に従ってください。なにか他に質問はありますか?」
「お茶の時間はあるのだろうか?」
陛下、さすがにそれはないと思いますよ?
「ありますよ。やはり力仕事ですからね。食事の他に、お茶の時間もとってあります」
あるんかぁ〜いっ!!
つづく




