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僕たちが浜辺にたどり着くと、パラマと名乗った知事たちが待っていました。
「本当に魔法使いがいるのですね。いや、驚きました」
「はじておめにかかります。わたくしはジョゼフ・ロイヤルミルクティです」
「ではあなたが。いやはや予約を取った時にはいたずらかと思っておりましたが、本当に王様がいらしたのですね」
それから陛下は、こちらはレモンティ国の王とローズヒップティ国の王と短く説明をしました。
「こんなところではなんなので。まずは近くの喫茶店に移動しましょう」
パラマ知事は、大型の車を用意していて、僕たちをその車に乗せて移動を始めました。
「まずは、そちらの島の住人とはどれくらいいらっしゃるのでしょうか?」
「おおよそ二千人ほどです。魔法使いもおりますが、こちらの陸地に降りると魔力が中和されることが判然としております」
さすがにジョゼフ国王陛下はいつものような口ぶりではなく、丁寧語です。
「二千人ですか。いやはや、この地区で全員を受け入れるためには住居が必要となりますが、移転は急ぎなのでしょう?」
はい、と陛下は短く答えました。
実際、アイシア・ブラックのせいで島が崩壊寸前でしたから、被害は甚大です。
「そうですね、住居は安アパートでよければ二千人ほど収容できると思うのですが、文化の違いがあるのではありませんか?」
「その辺りのことは、皆に教えております。こちらの文化には魔法がない分、電気がとても便利ですよね。わたくしも電化製品を作る一人として、とても楽しみにしているのですよ」
そうです。ロイヤルミルクティ国は電化製品を得意とし、レモンティ国は農業などを得意に、ローズヒップティ国ではあらゆるデザインや芸術を得意とした者たちが住んでおります。
そのことを陛下が話すと、パラマ知事はそれは就職に有利ですねとにこやかに対応してくれました。
「それで、王様たちの待遇なのですが……」
パラマ知事は言いづらそうに言葉を濁すと、ジョゼフ国王陛下はああ、そのことでしたら、と答えます。
「わたくしたちも、なにも新天地で皇室制度を保とうとは思っておりません。普通の民とおなじように仕事もしますので、普通に扱ってください。ただ今回は、皆の代表として来ただけです」
車が静かに止まりますと、パラマ知事は皆を順番に降ろしました。
そして初めての喫茶店に入るなり、ドアベルを鳴らします。
ああ、その音を聞くと、リリーさんに会いたくなってしまいます。
つづく




