第三十七話 勝つ!絶対
「ならば、どうすれば」
俺は藁にもすがる思いで、ルンに尋ねる。
俺の心の中では情けなさで破裂しそうだ。
こんなのが長でいいのか。
「先程も言った通り、巣穴を片っ端から調べていくしかありません。数あたり作戦です」
「でも、それは」
「はい。それで女王バッタが見つかる確率は特段と低いです。相手は知能も持ち合わせていると言うのなら、尚更です」
「――なら」
「これは、女王バッタを見つける為の作戦ではありません。バッタ達にプレッシャーをかけ何かバッタ達にアクシデントを起こさせる作戦です。――それしかもうありません....」
アクシデントを起こさせ、見えなかった生態を無理矢理見ると言う作戦か。
それが、キングバッタの女王の位置を掴める情報になり得るかもしれない。
ならば、どういう風にプレッシャーをかけるのだ?
俺はそれを尋ねてみる。
ルンはこう答えた。
「今まで通りの作戦を続行でいいです」
今まで通りの作戦って....本当にそれでいいのか?
その意図を聞いてみた内容はこうだ。
卵の巣を攻め入るのはラロット組の戦力でやっと。
大きな巣にはラロット組も攻め入れない。
ならば、戦力を一箇所に集めるという思考になるが、できるだけ手分けをさせたい。
そっちの方がキングバッタの情報が落ちるからだと。
だから、今の構成が一番いいと言う。
つまり、俺が考えた作戦をそのまま続行し、キングバッタの情報を洗い出せ。
それでも勝率はほぼないのらしい。
心臓が痛い。
俺は、顔に手を当て顔を下ろし、髪がかきあがる。
どうすればいいんだ.....
分からないんだ、なにもかも。
もっといい策はないのか?と呪文のように頭の中で唱える。
だが、なにも浮かばない。
そりゃそうだ。
俺は頭が悪いんだ。
だから、いい案など思い浮かぶはずがないのだ。
取り敢えず、ルンの意見を取り入れ、作戦を続行してもらおう。
こうしている時間すら勿体無い。
俺は、そのことについて言うと、皆は分かりましたと了承してくれた。
皆の頼もしい返事に、余計胸が締めつけられる。
俺がこんなに絶望しているんじゃ示しがつかない。
何しているんだ俺....
この村の長じゃなかったのか?
長は皆の背中を強く押してやるのが仕事だろう。
なら今俺がやるべきことは――!
「こんなことを言ったら無責任に感じるかもしれないけど、言わせてもらう。今は絶望的状況だ。でも、理由はないけど、この勝負は絶対勝てる!だから、お前らも諦めずに最後まで戦ってほしい。お願いだ!」
「なに言ってるんですか」
「無責任もなにも勝てる勝負に勝てると言って当たり前じゃないですか」
「はなっから諦めてなんていませんよ!」
「俺もなんか腹立ってきた!!」
「アイツらギッチョギチョにしてやるぜ!!」
皆の声が部屋の雰囲気が明るい方向にへと進む。
先程までの雰囲気とは大違いだ。
ルンもなにが起きているの?と周りをキョロキョロし、戸惑っている。
あぁ、俺はこいつらの長になれて心底幸せだ。
俺にはこいつらと言う大きな仲間がいるんだ。
だから、怯える必要などない。
そうだ、絶対勝てる!勝てると思えば絶対勝てるんだ。
勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ!!
「お前らこの勝負にゼッテー勝つぞ!!」
「「おう!!!」」
「お...う...?」
ルンは頭の中が?で埋まってそうな顔をしていた。
こうして、俺らの第二回目の作戦が始まった。




