第三十五話 修行②
今日はルーレトに修行を付けてもらう日だ。
加工技術能力の拡張ができる条件がイマイチ分からない。
だから、俺自身が強くなれば拡張されるっていう仮説を立ててみた。
ほら!ドラ○エとかでもレベルが上がっていくにつれ、スキルポイントが貰えるみたいな。
まぁ取り敢えず、ルーレトと修行を付けてもらう為に、まずは朝飯だ。
やはり食卓は寂しい。
皆んな作戦に出てしまい、一緒に食べてるのはミュウとアスナ。
ルーレトは朝早い為、皆よりも早めに朝食を取っているのらしい。
今思い出せば、昨日の夜の食卓も寂しかった。
アスナとルーレトが喋り相手にいたのだが、全員集まっていた方が賑やかで楽しい。
「ミュゥウウ!!」
とミュウはアスナの料理をバクバクと食っている。
本当に愛くるしい奴だ。
「ミュウちゃん落ち着いてください!!ご飯は逃げませんよ〜」
とアスナは嬉しそうな顔で言う。
俺も食事を口に入れた。
すると、アスナがコチラを見つめ、決まってこう聞いてくる。
「....美味しいですか?」
と。
アスナの料理は、日本食とはかけ離れた味がする。
だが、日本食に染まった俺の舌も美味しい一色に染めるほど美味しい。
だから、いつも俺はこう返す。
「当たり前だろ!アスナの料理は美味しいよ!」
アスナは口角を上げ腕をキュッとし嬉しそうな顔で。
「それは良かったです!!」
と言った。
これがご飯を食べる時に行われる恒例の行事である。
◇
「よろしくな!!ルーレト師匠!!」
「その師匠呼びは我輩には身に余りまする。だからやめてくだされ」
「教えてもらう以上、ルーレトの方が立場は上さ。だから、そう呼ばせてくれ!!」
俺はそう言うと、ルーレトは眉を顰め困った顔をした後、了承してくれた。
まず、ルーレトは基本が大事だと言い、魔力の流し方というのを教えてくれた。
ルーレトが言うには、胸の中心から血液と一緒に流し込むイメージで体全体へと送るのらしい。
これがまず基本の基である。
俺はそれを試しにやってみる。
血液を感じながら、それを伝って全身の送り込むイメージ。
俺は、次第に体全体が熱くなってきているのを感じる。
胸の奥らへんがドクンドクンとうるさい。
「流石ですね。ユレン様」
それができたので、次は戦闘時に魔力をどう配分すれば良いかを教えてくれた。
剣を振る時は、腕と足に集中的に魔力を集めると言いらしいのだ。
つまり、動作により筋肉をよく使う場所に魔力を集中させれば良いのだろう。
守る時は、受け身を取る為に、上半身にだけ魔力を集中させ、下半身は力を抜くのだとか。
うむうむ、すごい勉強になるなぁ。
次は、ルーレトとの対戦だ。
俺とルーレトは、離れた位置で高いを見合っている。
ルーレトはお辞儀をすると、木刀を抜く。
ルーレトの構えは、素人の俺から見ても隙が少ない研磨されたものであった。
俺は少しだけ萎縮をする。
でも一応、一度は引き分けという形で終わらせているんだ。
ワンチャンこの勝負俺が――。
結果は――言うまでもなくフルボッコ。
俺があの時、引き分けになった理由は、俺とミュウが組んでいたこと。
それプラス、超受け身戦術を俺が駆使していたことだった。
その為、引き分けになった要因を切り捨てた戦い方をすれば、容易に俺は戦いに敗北する。
ここが、俺の限界だと言うことを知った。
思ったよりも弱い俺にがっかりする気持ちと、ポジティブに考えれば伸び代しかないと思う自分が混在している。
「ルーレト師匠、俺戦いのセンスないかな?」
俺は疑問をぶつける。
これがなければ、二本足バッタの対処は不可能と言える。
「うむ。我輩には全然そうは思わないですぞ。ユレン様は、基本がしっかりとしている。後は応用をできるようになれば、我輩を倒せるかもしれませぬ」
まぁ基礎はリザードマンと戦う前に、フィオナとアスナに叩き込まれたからなぁ。
ルーレトを倒すイメージは掴めないが、そうだな。
俺は基本はしっかりとしているから、あとは応用をできるようになれば良い。
それに、なぜか俺の魔力が漲っている気がする。
気のせいなのだろうか、それとも修行で強くなっていっているからレベルアップ?みたいなのをしているのだろうか。
いずれにせよ、もっと修行をしなければいけない。
「ルーレト師匠、もう一回頼む」
あれから三時間、ただひたすら木刀を打ち続けた。
それにより、見える世界が少しずつ違ってきた。
まず、力の出し方がスムーズになってきた。
きっと慣れてきたのであろう。
疲れてきたが、俺が振り出す木刀の力は落ちていっていない。
「いいですぞ。ユレン様」
ルーレトはそう言いながら、俺の攻撃を受け流しつつヒョヒョイとポジションを変えながら戦う。
こうやって、ルーレトがポジションを変えてくる時は、後ろを狙ってくる時だ。
ならば、俺はわざと後ろを手薄にし、餌を撒きそれに食いついて来た瞬間、カウンターをぶち込もう。
俺はそう考えると、後ろを手薄にし、前にだけ木刀を集中させる。
ルーレトは、ポジションを変える為、後ろにへと回ってくる。
しめた!引っかかったな。
俺はそれをよんで、早めに後ろにへと木刀を振り翳していた。
「ルーレト師匠!一本もらったぁ!!」
シュッ!!
俺の木刀は空気を切り裂いた。
木刀は捉えていたはずのルーレトを捉えれていなかった。
そう、大きく空振ったのだ。
「え?」
俺はそう言うまもなく、俺の後ろへと回り込んだルーレトに頭をポツンと叩かれ一本取られた。
「戦いというのは、いかに相手に思考を読まれないかが大事ですぞよ。ユレン様はあからさますぎます」
俺は疲れが一気に体へと呼び寄せ、地面にへと倒れる。
「クソォ!!悔しい。だが、今日で何か掴めた気がする。これなら、二本足に届く気がするんだ」
「良い調子ですな。ユレン様」
ルーレトは、地面に腰を下ろした。
そして少し休憩をとっていると。
「ユレン様ぁ!!。皆さんが戻ってきましたよ!!」
アスナの声が響く。
そうか、今日みんなが来て、集めた情報を共有する日だったんだ。
俺はすぐ様、表にへと出ると、そこには一日ぶり?の皆んなの顔があった。
勿論、志願してきた人達もいた。
「よく無事だったな....」
俺は心配から一気に安堵に心が包まれ、グタリとする。
「はい。自分達は無事で帰ってこれました。ですが、ユレン様はお疲れのようで」
「ああ、修行をルーレトに付けてもらってたんだ」
「ユレン様の飲み込みスピードは早く、すぐ剣の技術が一人前になりますぞ!」
「そうか。それは良かった」
とナギが相変わらず無愛想な顔で言う。
「よし、早速情報の共有を行おう。すぐ会議室に来てくれ」
そうして、会議の準備を始めた。




