第三話 地獄の地、購入完了
「嘘だろ?あいつ」
「バカなの!?やめなさい!!ユレン」
ルナは必死に俺の肩を掴み、買わないように説得しようとする。
「俺がやるって決めたんだ。子供の頃から追ってきた夢で、それで失敗して、死んでしまう事になったとしても、後悔はない」
俺の思いをルナと周りの人達に打ち明けた。
ルナは顔を俯かせた。
「ユレンの夢の事は全く知らないが、ヘルシャースに夢が眠っていることが分かった。私とあなたとの関係は、今日一日だけのぽっきりで薄い。故にお前を止める義理はない。でも手助けくらいはしても良い?」
「あぁ、ありがとう。ルナ」
「話は終わりでしょうか?なら、土地をお買い上げ頂いた皆様個人個人で説明がありますので、コチラに。ユレン様?は、違うお部屋にお通しします」
テンションの高かった競売人は、嘘のようにお上品になっていた。
ルナ以外の人達も顔を俯かせ、歯切りの悪い顔をして出ていった。
◇
俺は部屋に通され書類にサインをし、契約は成立した。
書かれていた内容で目立ったのは、
・当競売場では、何事の事にも一切責任を持ちません。
・この土地に関しては、購買者が全ての責任を有する。
・この土地の責任破棄は、購買者の死を持って成立するものとする。
であった。
これから読み取れた事は、この土地の責任は元は全てこの競売場が持っていたと言う事。
責任をいち早く捨てたかった、持っているだけで不利益を被るボロ株であった事だ。
まぁ何故俺みたいな身分の奴が土地を買えたのかと言うと、神様の「初動で危ない事があったら助けてやるわい」発言から運営している人の脳をチョチョイといじったのだろうな。
ありがたや、神様!!
そして、今分かっているヘルシャースの特徴を教えてくれた。
一つ目は、『魔物の量』であった。
魔物の量は観測されている土地の中で、一番多く存在しているらしい。
二番目と一番目の差は、10倍であると言う事だ。
それ程圧倒的な量を誇っており、誰も手を出せない不毛な地と言わしめているのだ。
想像しただけでも吐きそうになる。
ミュウみたいな可愛げのあるスライムではなく、ゴッツゴツのカッチカチのそれスライムか?疑問を呈する程のイカついスライムがいるのだろうか?
二つ目は、『魔素の量』だった。
ヘルシャースは、この世界の魔素の収束/発散を行う【魔素の穴】らしい。
世界中の魔素が風によって集まり、ヘルシャースと言う一点に集まっているのだと言う。
それは、何か理由があってヘルシャースに集まっているのではなく、たまたまだそこだったと言う話らしい。
それにより、魔物の大量出現が起きているらしいのだ。
全ての原因は、これであったのか。
そして、俺が目を引いた最後の三つ目は、『5種の気候が存在している』と言う事だ。
いや、精密に言えば、4種の気候しか観測されていないらしい。
観測されている気候は、熱帯気候・乾燥気候・寒冷気候・高山気候である。
北に高山気候、東に寒冷気候、南に高山気候、西に熱帯気候である。
つまり、最後の温帯気候は、まだ足を踏みに行けていないヘルシャースの奥に温帯気候があるかもしれないと言う事らしい。いや、楽観的すぎるだろと突っ込みたくなったがまぁ良い。
ヘルシャースは、世界の土地の9割を占める訳ではない、あっても“日本”ぐらいの土地ぐらいらしいのだ。地球全体があってこそ存在していた気候が、この小さな土地に存在すると言う異様な現象。
この世界の学者は、魔素と言う不安定物質が多く集まり起こした現象なのだと提唱したらしい。うん、俺もそう思う。
北は天を突く高山、東は凍てつく寒冷などなど...まるで小さな世界をぎゅっと圧縮したようだ。
要約すると
・魔物がウジャウジャ
・世界の魔素の集まりどころ
・5種の気候が存在しているはず
との事だ。
俺は何故この魅力的な土地の開拓を進めないのか疑問でしかない。
魔素の集まり所に5つの気候が存在している。
異世界ならではのとんでも現象である。
5つの気候があれば、気候それぞれの所しか出来ない事が行えるのだ。
デメリットが所が先行しすぎるあまり、メリットの所を見れてないんじゃないか?
潤沢な金を使い国家予算でもヘルシャースを平定すべきだろう。
この土地を平定出来れば、国造りどころか世界一の大国にも出来るポテンシャルがあるのではないか?
これは俺にとって好都合すぎる。買う前の不安が嘘のように晴れ、ワクワクしてきた!!
まぁ、俺がどうやって平定するかは、考えてないが。




