第二十七話 会議
ユレン視点
朝方ぐらいだっただろうか。
そろそろ起きるかと思っていた。
すると、村の入り口が騒がしく、なんだろう?と思っていると、アスナが俺の部屋のドアをいきなりバン!!と開けてきた。
いきなりの事で、一気に眠気がなくなった。
アスナが俺に端的に要件を話して、来るように言った。
俺もすぐ部屋を飛び出し、村の入り口へと行く。
要件はなんだったかと言うと、ナギとルンが帰ってきたらしい。
ここからが重要なんだが、ナギがボロボロの姿だそうだ。
ナギがボロボロ?
なんでだ?赤月の前であり、大型魔物は、活動を控えている状態。
加えて、殆どの魔物も活動をしてないか食物連鎖の上で、死んだかどうかだ。
いずれにしよ、ナギがボロボロになる状態など想定できないんだ。
だから、ナギとルンで行かせた。
俺の判断はミスだったのか?
あの三人組の行方はどうなったのだ?
分からない、分からない。
村の入り口に行くと、ボロボロになったナギと、ナギの腕の中で眠っているルンを見つけた。
ナギが本当にボロボロだった。
俺は、目を疑った。
「ナギどうしたんだ?」
と俺は聞いた。
ナギは、弱々しく掠れた声だった。
「キングバッタがもう活動を始めています」
今....なんて?
キングバッタがもう活動を始めてる?
そんな事があり得るのか?
だって、バッタの女王が初めて卵を生むのは、赤月の2日前だって。
「ナギそれは、本当か?」
ラロットの声が微かに震えていた。
村の皆んなも疑いの目でナギを見る。
「あぁ、俺がユレン様に依頼された任務の三人組の子らも、キングバッタにやられた。ルンがそう解析したんだ」
「いや、ナギ。今は、もう良い。ナギとルンは、中枢議事堂にある医務室に運ぶ。ラロット頼む」
「分かりました」
◇
ルンとナギは適切な治療を受けた。
そして、暫くすると、ナギが起きた。
意識はしっかりしているようで、言葉をしっかり発音できたので、何があったか聞いた。
「三人組が見回りを行なっていた区間で、血を見つけたので、ルンが解析をし、終わった後に4体程のキングバッタに襲われました」
そして、ナギは“二本足のバッタ”についても話してくれた。
二本足のバッタっているの!?ってツッコミたくなったが、ナギも同じ気持ちらしい。
どうやら、二本足は、黒色の鎧のようなモノを身に纏っているらしく、本気で攻撃をしようモノなら、こちらの武器が折れるのだとか。
動きも俊敏で、力も強く、付け入る隙がなさすぎるらしい。
おいおい、バッタで2本足でナギが歯が立たないって、ヤバすぎるだろ....
一番驚いた所は、キングバッタが“動物”を襲ったって所だ。
キングバッタは、今まで植物しか食わない“草食”であった事から、何かが起きている。
本当にキングバッタかと今も信じがたいが、他の種も草食である事から、キングバッタなんだろう。
ラロットに本当に肉食性の魔物じゃないんだろうな?と再度聞いても、はい、としか答えが返って来ない。
なんで、今肉食形態へと変わってんだ。
ふざけんじゃじゃない!!
今すぐ、女王バッタと女王バッタの卵を壊しに行きたいが、ここは慎重に作戦を立てよう。
相手は社会性がありチームワークがあるのだから、こちらもそれ相応の連携を見せなければ、いけないだろう。
「あ、ナギは抜きね」
「え?」
「え?」
「いや、俺も今からでも行けます!!」
と体を腕で押さえながら言う。
「いや、いや!そんな体で言っても説得力ねぇから!!黙って寝てろ!!」
とナギの体を押さえつけ、静まった後に医務室を出た。
ったく、戦闘狂と言うかなんと言うか。
ナギの仕事のしたさは異常なんだよな。
良い事ではあるけど、少しは休める時は休んで欲しい。
◆
会議室で作戦を立てる事にした。
招集したメンバーは、ラロット・レイン・フィオナ・アスナ・ルラン・リドル・リエル・ルーディアだ。
ここが俺の考える戦闘力が一軍の奴らだ。
このメンバーで、バッタの巣を叩き込みたいと思っている。
うん?ミュウ?ミュウは、俺の相棒みたいな所だから、ノーカンだ。
会議室の机は、磨き込まれており、重厚な木製でできている。
そして、黒色のフカフカな椅子が中央に向くように、並べられている。
ここの会議室を使うのは、初めてなんだよなぁ。
緊張するよなぁ。
何せ、皆の前で喋るって言うのは、前世から大の苦手だ。
だが、皆、椅子に座って、俺の方を黙って見ている。
うん、これ俺が最初喋って、始めるパターンだね。
えーと声の出し方は、腹から出すんだったよね?
空気をスゥーと吸い、喉を開ける。
これで....
「初めての会議で、俺は上手く進行できないかもだが、大目に見てくれると嬉しい。そして、今回招集した理由は、キングバッタの件である」
うをぉおおお!!言えた!言えたぞ!!
噛まずに、ハキハキと言えた。
ここで、噛んでしまったら、トップとして下に見られた可能性もあるからな。
良かった良かった。
...って、こんな事で、心の中で一喜一憂している俺悲しいなぁ。
「俺は、今日中にバッタへと奇襲を仕掛け、女王バッタを殺し、女王バッタが生まれる卵を破壊したい。皆んなどうだろうか?」
皆が意見を述べていく。
色々な意見が飛び交ったが、どれも俺の意見には、賛成である形であった。
キングバッタによる繁殖のスピードは凄まじいらしく、早急に手を打つ必要があったからである。
「キングバッタの女王は、生まれた場所に戻ってきて、また卵を生む習性があります」
ラロットがそう言う。
海亀と同じ習性であろう。
これなら、女王バッタと卵の場所を簡単に割り出せる。
「ラロットは、女王バッタの産卵場所は、知っているのか?」
「はい。自分は、よく親父に連れていかれました。だから居場所は、覚えています」
よし、これで今日中で詰めれそうではある。
倒しにいくとしても、居場所が分からなければ、本末転倒であるからね。
その件に関しては、本当に良かった。
うん?ラロットは今、よく親父に連れていかれてた、と言ったよね?
なんで、女王バッタの卵を壊していないんだ?
そうすれば、全滅するだろう。
卵を生めるのは、そいつだけなんだから。
キングバッタという危険極まりない魔物を全滅させない理由はないだろ?
「なんで、ラロットのお父さん(元長)は、女王バッタの卵を壊さなかったんだ?」
俺は、そう聞いてみると、ラロットは口を開く。
「親父の私情です」
ラロットは、その一言だけであった。
まぁ、今までラロットのお父さんは、何とかしていたんだから、全滅させるまでは、やらなくて良いと判断したんだろう。
こうやって、いきなり思わぬ形で死ぬなんて想定できないであろうし。
仕方ないっちゃ仕方ないよな。
皆もそこに関しては、何も言うつもりがないようだ。
深掘りするのは、やめようか。
「それで攻めるメンバーなんだが、全員で行こうと思っているが、どうだ?」
俺はそう言うと、レインが反対意見を出す。
「キングバッタが繁殖を始めているなら、誰かここに残った方が良いと思います。いつこの村がキングバッタに襲われるかどうか分からないからです」
レインは、珍しく最もらしい事を言う。
確かに、キングバッタに襲われる可能性があるなら誰かを置いていった方が良い。
ナイスレイン。
「なら、レイン以外で残ろうと思っている人いるか?」
「え??なんで俺は残る選択肢から外れてるんすか?おかしいでしょ!!」
「いやだって、お前、絶対戦いに行くのが怖いから、最もらしい理由付けて、残ろうとしていただろう」
皆んなも一斉に頷く。
皆の反応を見て、レインが堪忍したのか正体を現す。
「だって怖いじゃん!!なんやねん肉食型バッタって!!草ばっか食う草食魔物かと思っていれば、いきなり肉食に突然異変異しやがって!!何があったんだよ!その変異する間には!!前触れがあっても良いだろ!!俺は、戦っている途中にバッタに囲まれ四肢を切断され、何もできない状態になってから、容赦なく食われるんだぁああああ!!嫌だ!怖いよぉおお!!」
と床に倒れ、バタバタさせ、聞くに耐えない言葉を発する。
そんなレインに見かねたのかリドルが、レインの頭をチョップし、気絶させ、黙らせた。
リドルグッジョブ!!
会議を重ねた結果、残るのは、アスナとルランが居残り組になった。
それ以外は、全員作戦に加わった。
そして、作戦はこうなった。
フィオナ、ラロット、リドルで前線を張り、レインと俺が真ん中を担当。
そして、リエルとルーディアが後方で前線を援護をするって形だ。
俺は、あんまり戦う能力ないし、ミュウが主軸となるのだがね。
情けない....
俺らは、村の入り口に着くと、皆が見送ってくれた。
「ユレン様!村を救ってください」
「どうか皆様ご無事で!!」
などなど
俺たちは、村の責任を負ってる事に再認識させられる。
ミスってはいけない、ミスったら、この村が全滅するだろう。
絶対に女王バッタの討伐と女王バッタの卵を破壊しなければならない。
俺は、その事を胸に強く叩き込む。
「皆んな行くぞ!!」
「「はい!!」」
皆は、気合を入れた。




