第十四話 ハイリスク/ハイリターン
クッソ....!近付けない!!
副長が大剣使いだから、剣である俺は近付けない。
一回、一回の大剣の一振りが、命を駆り立てる攻撃へとなり得る。
下手に詰めると、死に至るので、距離を詰める事も出来ない。
だが、このままだと俺はジリ貧で足止めする前に、死んでしまうだろう。
「どうした、小僧。我輩をガッカリさせないでおくれよ?」
「俺は、エンタメ精神豊富なんでね。そこは心配すんな」
相手は、大剣で崩れた俺の体勢を狙い、ファイアボールを打ってくるが、ミュウがそれを吸い込み、吐き出す、カウンター技を繰り出した。
「そのスライム面白いな」
「俺の相棒なんだ。当たり前だろ?」
相手が時々繰り出す蹴りに俺は、血を吹き出し疲弊していた。
正直言って、休みたいし、逃げ出したい。
だが、相手は、待ってくれやしないだろうし、逃してもくれない。
ならば、この状況を無理矢理打破する方法を模索するしかない。
フィオナの剣術の教えは、アスナと違って、はっきり言って酷かった。
フィオナは、うっかり系だから、説明が下手なのだろうと最初は、思った。
でも、違った。
アスナとの対戦と、フィオナとの対戦では、フィオナの方が嫌な戦い方をしてくる。
アスナは剣技が不得意だからとかでは無く、何か遠くの存在と戦ってる感じがフィオナからした。
多分、フィオナは全て感覚で、自分だけの型で戦ってるからだと思う。
だから、自分だけの技を人に教えるのは難しい。
逆に言えば、相手には想像出来ないような戦い方をしてくる。
これが、フィオナとの戦いがどうも嫌に感じてた理由であったのだ。
それに比べて――
「それに比べて、お前は嫌な感じがしないんだよ。全てが範疇通りで、予想が出来る攻撃」
「予想出来たとしても対処できなければ、意味がないな」
全て避けなくても良いんだ。
ただ、致命傷を避ければ良いんだ。
相手が予想出来ない攻撃を、攻撃を受けた瞬間に打ち込む。
相手が、大剣を振るい空を揺らす。
俺は一歩後ろに下がり、受け身の姿勢を取った。
「来いよ。大剣野郎」
「誘いか?乗ってやろう」
相手の攻撃は、絶え間ない剣技を俺に浴びせ、魔術を打ってくる。
攻撃の隙を探さず、受け身に徹し、全ての攻撃を受け流す。
受け流すのだって、腕に負担が掛かりもの凄く痛い。
魔力で強化されている今の体でも辛い。
どうやって相手の隙を作ろうか。
相手の攻撃範囲は、相手の体の守りにもなっている。
まさに隙のない究極な斬撃。
なら、もう捨て身の動きにしなければならなくなったじゃねぇか。
ハイリスク/ハイリターン作戦だ。
こいつの攻撃を受け流さなければ、そのまま俺の腕まで剣がそのまま刺さる。
その為、受け止めず、受け流す方のプレイスタイルでやってきたが。
それだけでは、相手の動きを止める事はできない。
相手が、地面に深く踏み込み、大きな斬撃を出してきた。
今だ!!
俺も大きく踏み込み、相手の斬撃に対し、受け止めた。
その瞬間、左腕に鋭い痛みと、バキッとした音が耳にへと波打つ。
俺の脳がすでに、警告を出し、すぐさま後ろへと下がることを警告している。
だが、この状況を俺は待っていたんだ。
「....ッ!加工技術能力!!」
俺は、相手の大剣に手のひらを乗せて言った。
その瞬間、相手の大剣は、小麦のように崩れ無くなった。
副長は、目を大きく張り、すぐさま後ろへと下がる。
やっぱ、お前は理論で動いている。
それ故に、見えない分からない攻撃には、滅法弱いんだろ。
「歪な能力だ....!」
「ふぅ、やっと丸腰になってくれたなぁ。こっからが本番だろ」
俺の血のついた剣を相手に向けて言った。




