第十三話 戦いの始まり
すみません。投稿遅くなりました....
時は来た。
あれから明後日の事である。
ナギの報告から、大量のリザードマンがここへと攻めてきていると言うことが分かった。
皆は、これを待っていたかのように、武器を取り言われた配列へとつく。
罠を作動させる為のレバーの位置へとつく。
魔石を使って作った異世界版機械だ。
この世界では、魔石を使えば擬似配線も作れるし、前世で苦労していた物理の壁も軽々と越してくる。
これを応用し、前世の知識と異世界の強みを活かした罠は、相手の想定を遥かに超える。
「作動させろぉおお!!」
俺は、リザードマンが罠の攻撃範疇に入った瞬間、大声で叫んだ。
リザードマンは何事かと頭を一瞬停止したと同時に、体も停止し、密度を高めた魔力を封じ込めていた魔石を一気に放出させる。
広い範囲に作った罠は、リザードマンを四方八方撃ち続ける。
リザードマンが次々へと倒れていく。
前線は、あっという間に破壊されていた。
だが、同じ手は二度かかるまいと、リザードマンもお得意なフィジカルで攻撃を避けていく。
ヴァンパイアの村は、地面から20mの高さを誇る丘陵にある為、俺らがいる場所へと攻めにくいのだ。
リザードマンは、それを理解しており、対策はしていると思うが、俺は対策を対策した。
丘陵を登る際に、魔力で実現した『魔力の壁』で登るのを遮る。
魔力の壁は、摩擦を限りなく無くし、壁を硬くし、剣を刺して登ろうとしても無理な状態を作る。
異常事態が起きたリザードマンは、又もや困惑し、罠の餌食へとなった。
だが、その良好な状態は長くは続かない。
ある一つの槍が罠・魔力の壁を木っ端微塵に壊した。
いや、ただの槍ではない。
魔術で作られた槍であろう。
一瞬見えたが、魔力の比率が90パー以上を占めていた。
投げてきた所を見てみると、緑の毛が頭に生えているリザードマンが不敵な笑を溢して立っていた。
「あれが?」
「はい、あれがリエルと言うリザードマンの村の中での最強の魔術使いです」
ラロットが険しい顔をしながら言った。
ラロットは、リザードマンとの長ぐるみで付き合ってる時に、リザードマンの村に行っている事があるらしい。
そこで、色々紹介されたのだと言う。
その中で目立って強かった奴らを覚えていたのらしい。
「よし、お前ら後は作戦通りだ。よろしく」
ラロットの話から、相手の能力を知り、それに相性の良い五憲の守人を組み合わせを考え、作戦に組み込む。
うーん....俺こう言うの得意じゃないし、ナギに任せたかったが、無理と一点張りで、補助しかしてくれなかった。
いや、その補助が完璧で、作戦も良い風に作れたけど、実質ナギが作った作戦じゃないか??と疑問を呈する程にだ。
俺必要あったか....まぁ、次期リーダーにもなる奴だからそこら辺はしっかりとやって欲しかったのだろう。
ヴァンパイア達は、一気に丘陵を降りていき対戦が開始した。
地響きと共に、剣が混ざり合いキン!と音が鳴り響く。
まだ、強化武器を使いこなしていなく、リザードマンとの戦いはやや優勢と言った所であろうか。
うーむ、罠で一気に倒したが、それでもリザードマンが湧き出てくる。
これでは、勝つ確率は、今の所、五分五分と言った所だが、その均一した攻防を一気に崩してくるのは――魔物である。
忘れてはいなかっただろうか?
このヘルシャースにいる魔物は例外なく、他の土地の魔物よりも強いと言う事を。
そんな魔物が戦場に投入する事で、戦力の差を掻き回す。
「ウヲォオオオオ!!」
と、魔物の雄叫びと共に、戦いに乱戦。
カマキリのような奴が、ヴァンパイア、リザードマン関係なく殺戮の限りを尽くす。
魔物が誰を狙うかを全く予想出来ない以上、運要素も含まれるのは困ったものだ。
五憲の守人には、真正面からリザードマンに突入をしないで、裏から攻めるように言ってある。
ラロットによると、敵の強い者は、5人居るらしいのだが、それは“長”、“副長”、“魔術使いのリエル”、“剣使いのリドル”、“弓使いのルーディア”であるらしい。
丁度、味方五人、敵五人であるが、アスナはバフ系の魔術に特化しているので、一対一は厳しいそうなのである。
まぁ敵の長を打ち倒せば、この戦いは終わるであろうから、五憲の守人には足止めをすれば、良いと言いつつ、後一人を抑え込んでくれと言っておいた。
で、敵の長を討ち取るのは、ラロットがする事が決まった。
長の子である自分が絶対討ち取ると、鋭い眼光を覗かせ、俺に言ってきたので、筋も通ってるし、適任である事から俺は了承し、指名した。
「ユレン、俺はあなたに会えて良かったです」
ラロットは、何か改まった口調で言い始めた。
「あ、え?まだ行ってなかったのか?なんだよいきなり?」
「いえ、もしこの戦が負けたとしても、俺達はユレンを恨む事はしない。寧ろありがたかったと言いたかったんです」
ラロットは微笑むと、真正面から奥にいる敵の長の方に突っ込んでいく。
「おま!ラロット!!作戦通りに!!」
もはや俺の声は、ラロットに届かなかった。
ったく、俺の作戦を破りやがって....
もしかして、長の子供として、堂々とした姿を示したかったのかな?
それにしても、負けたら元も子もないのに!!
「ミュウ?」
俺は周りに見渡せる壁に座っていると、ミュウが近付いてきた。
ミュウは目をパチパチさせ、お前は何をしているのだと言いたげな顔をしてくる。
ですよねぇ〜、次期リーダーである俺が、戦いに加わらないとなると、示しがつかない事も分かっているが、俺が戦いに加わった所でフルボッコにされる可能性しかないんだよな。
一応、フィオナとアスナに教えて貰い、上達はしたが、練習と実戦は違うよなぁ。
フィオナどころかアスナにも剣技で、一本も取れなかったのが悔しい!
俺はラロットを徐に見てみると、他と違ったオーラを持った着物を着たリザードマンが、後ろからラロットを追いかけている所が見えた。
大剣を持っていたので、リエル、リドル、ルーディアでもない。
ならば、副長か?
とにかくあのまま追い掛けられたら、ラロットの邪魔となる。
俺はミュウを抱え、拠点を守護しているヴァンパイアに、頼むと言い、戦場にへと降りた。
◇
我輩は、ルラン。
リザードマンを従える”副長“であるが、全てが予想外であった。
何なのだ?あの、罠は!!
濃密度の魔力を含んだ魔石が、四方八方へと飛び出してきた。
飛び出した方へ見たがヴァンパイアの存在値が魔素の揺らぎから、少なかった事から、何かの小細工で飛ばしているのだろうが、あそこまでの芸当が出来るとは!!ヴァンパイアの村を見くびっていたのか。
長の言う通り、仲間を殺したヴァンパイアを早めに潰して置くことは、懸命であっただろう。
放置していると、我輩らに予想出来ないほどの、技術を持っていたかもしれん。
仲間を殺した憎きヴァンパイア....
我輩が魔物、ヴァンパイア共を麗しの大剣で、一刀両断していると、赤髪のヴァンパイアが、長の方へと駆けていく所が見えた。
あぁ、こいつか。
長の息子である奴は....
潰さなければ....長の足元にも行かせぬ。
そう思い、追い掛けていると、一人のヴァンパイアではない、明らかな他種が我輩へと剣を振り翳してきた。
よく見ると、肩にスライムも居るらしい。
何者か....など、どうでも良い。
ヴァンパイアの仲間ならば、殺すだけだ。
「おい、副長さんよぉ。長同士の戦いを邪魔するのは、少しやわじゃねぇか?」
鋭い眼光を向けながら、口角を上げている。
「お前が、我輩と踊ってくれるのだな?」
我輩は大剣を振り翳した。
◆
ラロットは、敵の長の方へと着いた。
高めの丘である場所にいた長は、皆と断裂した場所にいた。
まるで、ラロットがここに来るかを知っており、二人の空間を作りかったかのようであった。
長は落ち着いた様子で、気に背中を預け、ラロットを視界に入れた。
長の持っている魔石と鉄で作られたチェーンは、鞭となり、体を容易に裂ける事を意味していた。
「何故だ!!なぜ、あの時、親父を殺した!!」
ラロットは、あの悲劇の日を脳裏に焼き付けていた。
目が燃えるように熱く、怒りが込み上げてくる。
何かの間違いであって欲しい、何かの夢であって欲しいとどれだけ願った程か。
それは、皆も総意であろう。
死んだ親父の横たわった姿と、冷たくなった体温、ヒリっと痛い自分の体。
全てを思い出し、吐きそうになる。
だが、敵の長が放った言葉は、あまりに冷徹で無情であった、
「お前らの土地、技術、資源を欲しかった為だ」
「それはぁ....お前の付き人を殺してまでもか!?」
「あぁ、お前らを攻め込む理由は、必要だ」
敵の長は、チェーンを両手で優しく持ち、眺め構える、
「そうか、ちゃんとクズで安心した」
そう言いラロットは、大剣を向けた。




