8.寒さと寝袋、そして距離感
夜の野宿準備
焚き火の明かりが静かな森の中を照らす。二人は疲れを取るため、夕食を終え、眠る準備をしていた。
王女が地面に敷いた草を見つめながら文句を言う。
「なんで寝袋が一つしかないのよ」
陽斗は火をいじりながら答える。
「勇者は俺一人なんだ。女神も一人用でアイテムを用意したのだろう」
「普通なら、王女の私に寝袋を譲るのが紳士、いや勇者じゃない?」
「だめだ。これは勇者用の寝袋だ」
「勇者用ってなによ……まあいいわ」
夜が更け、気温が一気に下がり始めた。王女が震えながら焚き火の近くに寄る。
「寒い…ちょっとその寝袋、使わせてよ」
「だめだ。一人用だ」
「じゃあどうするのよ!」
「仕方ない、ここに来い。」
陽斗が寝袋の中で空いているスペースを指さす。王女は顔を赤らめながら叫ぶ。
「そこ!? 無理よ! 狭すぎる!」
「寒いか狭いか選べ。」
王女は仕方なく寝袋に潜り込むが、距離が近すぎて顔を背ける。
しばらくすると、陽斗が寝返りを打つ。その拍子に王女の肩に腕が触れる。
「ちょ、ちょっと! どこ触ってるのよ!」
「触ってない。狭いのが悪い。」
「そんなこと言って…また触ったら叩くからね!」
次の瞬間、王女が寝返りを打ち、今度は逆に彼女の手が陽斗の胸に。
「えっ!? そ、そんなつもりじゃないわ!」
王女は顔を真っ赤にして寝袋の中で固まる。
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翌朝、王女が目を覚ますと、陽斗にしっかり抱きしめられた状態で眠っていることに気づく。
「……えっ?」
王女が静かに抜け出そうとするが、陽斗が寝ぼけながら腕を引き寄せた。
「もっと寝かせろ……」
「離れなさい!!」
王女が叫びながら陽斗を叩き起こし、寝袋から飛び出していった。
「朝からどうしたんだ」
「最低!!!」
焚き火の跡を見ながら、主人公は首をかしげる。
「何が最低なんだ……?」
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