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7.岩蟹料理

山道を歩いていた陽斗と王女は、日が沈みかけてきたことに気付き、近くの岩場に腰を下ろした。


「そろそろ休もう」


「そうね。ここらで休まないと暗くなって危ないもの」


王女が辺りを見回しながら同意する。


「魔物も何匹かとれたし、飯にしよう」


陽斗は転移魔法で捕まえておいた魔物が異空間から目の前に出現した。その中でも目を引いたのは、ずっしりとした体躯の岩蟹だった。


「この岩蟹って魔物。でかいな」


「ええ、岩場に潜んでいる蟹型の魔物。殻が硬いけれど、身は甘くて美味しいらしいわ」


王女がさらりと解説する。


「岩蟹を使って鍋料理を作ろう」


陽斗は異空間から鍋、包丁、そして調味料を取り出した。


「……ちょっと待って。なんでそんなに準備がいいのよ? 召喚されたばかりの異世界人じゃないの?」


王女が怪訝そうに彼を見つめる。


「召喚されたときから異空間ボックスにこれらが入っていた」


「便利すぎるわよ。ほんとに一応勇者なのね……」


王女は半ば呆れつつも陽斗の行動を見守ることにした。



陽斗は岩蟹の殻を包丁の背で叩き、慎重に割っていく。蟹の脚を一本ずつ取り外し、その中からぷりぷりとした白い身が姿を現した。


陽斗は無言で蟹の身を王女に見せびらかす。


「なによ、確かに美味しそうね。でも上手に作らないと、評価は厳しいわよ?」


王女が小さく微笑む。


「料理の腕には自信がある」


陽斗は湧き水を汲んで鍋に注ぎ、火を起こしてスープ作りを始めた。



鍋に水を沸かし、山道で取れたキノコや葉野菜などを投入する。最後に蟹の殻ごと鍋に投入し、香辛料を加えた。


陽斗は鼻をくんくんと鳴らしながら満足そうに鍋をかき混ぜる。


数分後、鍋から漂う香りはより一層強まり、王女も思わず顔をほころばせた。


「本当に美味しそうね……。あなた、意外とやるじゃない」

「さあ、食べてみろ」


陽斗は王女にスープをよそい、一口味見を促す。


「……!」

王女が驚きの表情を浮かべた。


「これは……本当に美味しい! 蟹の甘味がスープ全体に溶け込んでいるわ。異世界人、なかなかやるじゃない!」


王女が目を輝かせてスープを口に運ぶ様子を見て、陽斗は満足げに言った。


「料理には自信があるんだ」


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