4.神界の様子
「ごきげんよう、リリア」
「あら、セレナ」
「勇者を召喚したそうね?」
「ええ、そうなの。でも今回は……ちょっとね。」
「どうしたの?」
リリアは長いため息をつき、額に手を当てた。
「たぶん……過去最悪よ」
「そんなにひどいの?」
セレナは少し驚いたように眉を上げる。
「ええ、なんかエロゲ=異世界だと思い込んでいるみたいだし、スキルも転移。正直、そんな期待できないわ……」
セレナは優雅に微笑み、椅子に腰掛ける。
「でも転移は良いスキルじゃない? 強敵に遭遇したらすぐ逃げられるし」
「それはそうだけど……魔王を倒してくれないと、この世界、終わるのよ?」
「まあ、そうね。それで、今は何をしてるのかしら?」
「見てみましょう」
リリアが再び溜息をつきながら、手をかざす。空間に光が集まり、大きなスクリーンが浮かび上がる。
――画面には勇者の姿が映し出される――
砂煙が舞う荒野の中、陽斗が何かを探すように背中を丸めている。その前には、涙をぬぐっている王女の姿があった。陽斗は彼女にタオルを手渡しているようだ。
「……なにをしてるのかしら……」
リリアは画面を見つめながら呟く。
「泣いてる女性にタオルを渡してるみたいだけど……」
「ちょっと待って! この状況、どうしてこうなったの? ていうか、いつの間に女性がいるのよ」
「紳士的で優しい子じゃない?」
「いやいや、それどころじゃないわよ! なんで彼女が泣いてるのかもわからないし、なんでこんな状況なのか、さっぱり理解できないわ」
画面から、陽斗と王女の会話が漏れ聞こえる。
「どうやら、王女の国を目指しているみたいね」
「女神として、せめて現在地と王国の場所くらい教えてあげたら? 少しはサポートした方がいいんじゃない?」
「まあ、それくらいならいいわね。」
リリアが魔法を発動させ、陽斗たちの目の前に地図を映し出そうとする。
「さて、これで少しは役に立つでしょう――」
その時、画面の中で陽斗が突然光に包まれた。
次の瞬間には完全に姿を消していた。
「……」
「……」
「なんで今から教えようっていう時に転移魔法使うのよおぉぉぉ!!」
セレナは肩を震わせながら笑い出す。
「うふふ、行動力だけはある子みたいね。」
「もう、本当に先が思いやられるわ……!」
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