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3.荒野での陽斗と王女

周囲には広がる荒涼とした大地、風が吹き抜ける音だけが響いている。


少女はようやく落ち着きを取り戻し、陽斗に向き直った。


「ねえ、今更だけど……ここ、どこなの?」


陽斗は腕を組みながら、辺りを見回して答えた。


「俺が転生した場所だ。女神がここを最初の場所に選んだってことは、おそらく安全なのだろう」


少女は目を細めて周囲を観察する。


「まあ確かに、敵の気配は一切感じないわね……」


「で、俺はこれからどうすればいい?」


少女は肩をすくめ、冷たく言い放った。


「知らないわよ。女神様にでも聞いてみたら?」


陽斗は無表情で首を振る。


「さっき試してみたが、神の世界に転移することはできなかった」


「……転移?」


「俺のスキルだ」


少女は軽くため息をつきながら、ふと顔を曇らせた。


「ああ、だからいきなり現れたのね……ほんと、驚かせないでよ」



「あの魔王城にいたのは誰なんだ?」


少女は小さく歯を食いしばりながら言った。


「あれは……四天王の一人よ。私の父を殺した相手……!」


声には怒りと悔しさが混ざり、震えていた。陽斗は真剣な表情でうなずいた。


「四天王か。あの魔力も納得だな」


少女は陽斗を睨むように見上げた。


「勇者なんでしょ? なら、倒せるはずじゃないの?」


陽翔は肩をすくめる。


「今は無理だ」


少女は呆れたようにため息をついた。


「じゃあ、どうするのよ?」


陽斗は少し考え込んだ後、目を輝かせて言った。


「提案がある。君は王女なんだろ?」


「ええ、一応ね」


「国はどうなってる?」


「魔王軍に支配されてるわ」


陽斗は拳を握りしめ、決意を込めた声で言った。


「よし、じゃあ取り戻そう。魔王軍相手に二人で戦っても勝ち目はない。少しずつ敵を倒して状況を変えていく」


少女は目を見開き、驚きと疑念が入り混じった表情を浮かべた。


「正気なの? 取り戻すってどうやって?」


「支配してるやつを倒せばいい。それだけだ」


少女は呆れたように頭を抱えた。


「……倒すも何も、私の国を支配してるのは、運悪く四天王の一人よ?」


「丁度いいじゃないか」


「あなた、勇者なのに無謀すぎるわよ……」


「準備をしっかり整えれば勝てるさ」


「準備って……今のところ何もしてないじゃない。まあいいわ、とりあえず国に戻りたいけど……」


少女はふと黙り込み、辺りを見回した。


「……戻りたいけど、ここ……どこの国なのよ」


陽斗はその言葉に一瞬固まり、頭をかきながら空を見上げた。


「……それは俺も分からないんだよな」


二人は沈黙し、荒野に風が吹き抜けた。

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