表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/31

アークナー

「標的発見」



ショートカットの女はそう言うと両手に持っている銃のハンマーを倒した。



「伏せろ!」



冬牙達が伏せると同時に女はなんの躊躇もなく発砲し、連射した。

その間に店内に銃声が響き続けた。



冬牙は物陰に引っ込んで間一髪、弾丸を食らわずに済んだ。



ジンは無事か……?



しかし、ここからジンの様子を見る事は出来なかった。



一体どうすればいいんだ……。スキルの合わせ技はジンが近くに居るから使えないし、

それ以外にスキルは覚えてないしな……。



冬牙は駄目元でスキル一覧を見ると、そこにいつの間にか新しいスキルが追加されていることに気づいた。



収集と潜伏……。相変わらずよく分からないな。



冬牙は少し迷ったが、スキル「潜伏」を使ってみた。すると、体の周りが透明な膜で覆われた。



名前の通り相手に見えないのか?もし見えて

たら一瞬で蜂の巣だぞ……。



冬牙は膨らむ恐怖で中々その場から踏み出せなかった。



くそっ!仕方ない。もうひとつのスキルを使ってみるか。



冬牙はもう1つのスキル「収集」を発動した。床に触れると、この部屋にある武器や家具、人物の配置や詳細、心臓の音など、ありとあらゆる情報が一斉に頭の中に入ってきた。



ジンは無事だ。そして、敵は……。



「!?」



冬牙は顔を見上げると女が銃を構えてこっちを見ていた。



終わった……。



冬牙は覚悟を決めた。すると、女は冬牙をスルーしていった。



もしかして、潜伏の効果で見えてないのか?

それなら……。



冬牙はその場から飛び出すと、女の頭部を背後から殴った。すると、女はよろめいてバランスを崩した。

その隙に冬牙は女の銃を奪うと、スキル「破壊」を使ってバラバラにした。

女は倒れたままで動かない。



「ジン、今だ!逃げるぞ!」



冬牙はジンに声をかけるとスキル「潜伏」を解除した。



「おいおい!一体どうなってるんだよ!」



「とりあえずこの場から離れるぞ!」



ジンは机の残骸の近くに落ちていたナックルと指輪を素早く回収すると、冬牙と共に店の外へ逃げた。



店の外では銃声を聞き付けた野次馬たちが沢山いた。



「こっちだ!」



人混みを通り抜けると、丁度銀行から出てきた万里乃達を見つけた。



「いやぁ、待たされたズラな」



「あんな大金だからね。仕方ないよ」



「お!あれは冬牙殿じゃないズラか?」



「あんな変態、ほっといていいよ」



万里乃はまだ怒っていた。



「けど、なんか急いでるみたいズラよ?」



「万里乃!ラピ!」



「一体どうしたんズラ?」



「とりあえずお前らも一緒に逃げるぞ!」



「何か……あったの?」



万里乃とラピは緊急事態だと察知したのか冬牙につられて走り出した。



「とりあえず、この町からでるぞ!俺とラピは馬車を取りに行くから、万里乃達は先に町を出ていてくれ」



「俺も町を出るのか!?」



「念の為だ!」



「分かったよ。ひぃ〜、久々に走るからきちぃ〜」



冬牙とラピは万里乃達と別れ、急いで馬車を取りに行った。



「おぉ!兄ちゃん!英雄になったんだってな!ん?どうした、そんなに息を切らして」



「すまないが急いでるんだ。馬車は外か?」



「ああ、外だけども。どうやって引っ張って行くんだ?」



「それについては大丈夫だ。早く案内してくれ」



「お、おう。分かった」



冬牙達はチャラそうな男に購入していた馬車まで案内してもらうと、ラピは大きくなった。



「こりゃすげぇな!なんてモンスターだ!」



「わいはモンスターじゃないズラ!獣人ズラ!」



「獣人?」



「いいから行くぞ!すまないが、裏門を使わせてくれ」



「本当はダメだけど今回は特別だぞ。またゆっくり獣人について聞かせてくれよ!」



「分かったズラ!」



冬牙が馬車に乗ったのを確認すると、ラピは馬車の取手を持って走り出した。



「まいどありー!」



チャラそうな男に見送られ、冬牙達は裏門から町の外へ出た。そして、すぐに万里乃達と合流した。





「一体何があったの?」



冬牙は万里乃に武器屋で起こったことを話した。



「ショートカットの女性……全く記憶にないわね」



「俺も会った覚えが無いんだ」



万里乃と冬牙は一斉にジンを見た。



「勿論、俺もないぞ?あんなに店をボロボロにしやがって、次会ったらただじゃおかねぇ」



ジンは拳を自分の手の平にぶつけた。



「女はたしか、標的発見って言ってたから俺かジンのどっちかが標的って事は確かだ」



「おいおい、俺は何も悪いことした覚えはないぞ?あんたの英雄の称号を妬んだだれかが殺し屋かなんかに依頼したんじゃねぇのか?」



「確かにその可能性はあるな」



「英雄ってそんなに凄い称号だったんだね」



「当たり前さ!冒険者なら誰もが欲しがる称号だぞ」



「なぁ、ジン。アークナーって知ってるか?」



「アークナー?んー、俺は聞いた事ないな。九聖衆なら知ってるが……」



「九聖衆は3人にあった事があるから俺も知ってる。

俺のスキルに収集っていうのがあって、それを使ったら一定の範囲までの情報が全て分かるんだけど、さっき使ったら女の肩書きにアークナーって書いてあったんだ」



「そりゃまた凄いスキルだな、あんたの職業はアサシンか何かなのか?」



「そういえばジンにはまだ言ってなかったな。俺の職業のこと」



「冬牙、言わない方がいいんじゃない?」



「おいおい、ここまで命懸けで逃げてきた仲なのに俺には隠し事かー?俺は何言われても驚かないぞ」



「分かった。絶対に口外しないでくれよ?」



「勿論だ」



ジンはそう言うと腕組みをして真面目な顔で冬牙を見た。



「俺の職業はウイルスなんだ」



「う、ウイルス!?な、なんだぁそれは。そんな職業聞いた事ないぞ」



ジンは拍子抜けした。



「俺もまだこの職業について未知数なんだ」



「それで九聖衆に会ったことがあるのか。よく殺されずに済んだな」



「まぁな。そうか!さっきのショートカットの女はもしかして九聖衆だったんじゃ……」



「それは違うな。九聖衆は町中であんな手荒な真似はしねぇよ」



「そうか……」



「ちょっと思い当たる節があるんだが、九聖衆に敵対する奴らが、もしかしたらアーなんとかって奴らかもしれないな」



「本当か!?」



「あくまで憶測だけどな。九聖衆がウイルス専門の討伐隊ってのは知ってるよな?ウイルスってのは自然に出来るもんじゃない。誰かが作為的に発生させて初めて出来るもんだ。っていう事は、このゲーム世界の何処かにそういう事をする奴が少なからず1人はいるって事だ」



「俺以外にもウイルスを発生させる奴がいるってことか?」



「そういう事だな。もしさっき襲ってきた奴がそいつの仲間だとしたら、ウイルスの解析をされる事を恐れている人物がお前さんの命を奪おうとしてるって解釈もできるな」



「なるほどな」



「冬牙殿!」



突然ラピが慌てた様子で冬牙を呼んだ。



「どうしたラピ!?」



「後ろから凄い勢いで誰かが走ってくるズラ!音で分かるんズラ!」



「なんだ!?さっきの女か?」



ジンは青ざめると、馬車の布を少しズラして追っ手を確認した。



「ヤバいぞ!さっきの女だ!凄い速さで走ってくるぞ……」



「だめズラ!追いつかれるズラ!」



ラピは限界だと言わんばかりに声を張り上げた。



「分かった。俺だけ降りるからお前達は先に行っててくれ!」



「待って!私も行く!」



「危険だ!」



「1人の方が危険だって!いいから行くよ」



「おい!」



冬牙は万里乃に引っ張られて馬車から飛び降りた。



何とか着地して顔を上げると、追っ手の女はすぐそこまで来ていた。女は武器屋から持ってきたのか、再び両手で拳銃を構えると、冬牙達に狙いを定めた。



「万里乃、シールドを頼む!」



しかし、万里乃から反応がなかった。



「万里乃?」



冬牙は万里乃の方を見ると、万里乃は呆然と追っ手の女を見ていた。



「おい!どうしたんだよ!」



「そんな……。どうして、由香梨が……」



「由香梨?」



万里乃は呆然としたまま、恐る恐る冬牙を見てこう言った。



「あれは私の妹よ……」



そう聞こえたと同時に銃声が鳴り響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ