↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/20

U.18「水中戦」

テコイレィは観念したようにため息をつき、杖を軽く振った。

変装魔法が霧のようにほどけ、チュウネンの姿が消える。現れたのはスガキ・テコイレィ本人だった。


ヘビーは半笑いを浮かべ、低く言い放つ。


「……お前か。スガキ・テコイレイ。まさかチュウネンのフリをして潜り込むとはな。部下はいるんだな?」


テコイレィは舌打ちしながら返す。


「部下じゃないわよ。仲間よ」


「どちらでも同じだ。ここでまとめて処理してやる」


ヘビーの目がギラリと光り、戦闘の気配が一気に濃くなる。


水中戦が始まる。

ゼプシオンは拳を構えるが、水の抵抗で動きが鈍い。


「くそっ……やっぱ水の中じゃ重い……!」


イーコは焦りながら袋を抱え、ゼプシオンへ叫ぶ。


「ゼプシオン!これ使って!」


イーコが投げたのは支社で拾った試作盾。ゼプシオンが受け取った瞬間、ヘビーが突進してくる。


「遅い!」


巨大な尾びれが水を切り裂き、ゼプシオンへ叩きつけられる。しかし盾が光り、魔法陣が展開して攻撃を弾いた。


「なっ……!? その盾……研究中の試作品か。古代の遺物だと甘く見ていたが……!」


ゼプシオンは驚きながら盾を構え直す。


「イーコ、これ……すげぇぞ!」


「支社の研究装備だからね!たぶん強いはず!」


「たぶんって言うな!」


ヘビーは舌打ちし、腕を広げる。


「……仕方ない。本気を出さねばなるまい。ヘンシン!」


光がヘビーを包み、鱗が硬質化し、筋肉が膨れ上がる。


「《ヘビー・モード スモークサーモン・プライム》」


「名前が長い!!」


テコイレィが即座にツッコむが、ヘビーは巨大化し、尾びれは刃のように鋭くなる。


「さあ、かかってこい。発掘物風情が、どこまで耐えられるか見せてもらおう」


ゼプシオンは盾を構え、ヘビーの連撃を受け止める。しかし水中ではヘビーが圧倒的に有利で、ゼプシオンは押され壁に叩きつけられる。


「ゼプシオン!!」


イーコが叫ぶが、ヘビーは容赦なく追撃する。


「終わりだ」


巨大な尾びれが振り下ろされ、盾にヒビが入る。


「やばい……壊れる……!」


だが次の瞬間、盾が光り、ヒビが盛り上がるように変化する。


「……え?」


イーコが目を見開く。


「盾が……厚くなってる……?」


ヘビーも驚愕する。


「なに……? 自己修復か……いや違う。攻撃を受けるたびに……強化されている……?」


ゼプシオンは立ち上がり、強化された盾で体当たりをかます。


「うおおおおお!!」


ヘビーはバランスを崩し、後ろへ倒れ込む。


倒れたヘビーはゆっくり立ち上がり、ゼプシオンを見据える。


「……認めよう。発掘物にしては強い」


ゼプシオンは息を切らしながら笑う。


「へっ……褒められても嬉しくねぇよ……!」


ヘビーは胸に手を当て、低く呟く。


「ならば……こちらも切り札を使うしかあるまい」


テコイレィが青ざめる。


「まさか……!」


ヘビーの体から黒い魔力が溢れ出し、生命力が魔力へ変換されていく。


「《オーバーライド》発動」


海底が震え、ヘビーは巨大な魔力生命体へと変質する。体内を魔具コアの光が走り、従業員たちが息を呑む。


「さあ……第二ラウンドといこうか」


イーコはその威圧に息を呑む。


「……雰囲気が……さっきまでと違う……!」


テコイレィは険しい表情で言う。


「オーバーライドの“深層領域”。支社長クラスが本気を出すとこうなるのよ」


ヘビーは王者のような所作で腕を広げる。


「勘違いするなよ、発掘物。私は企業の力を背負っている。貴様らのような素人相手にここまで力を使うとは思わなかったが――

それだけ、貴様らが“脅威”だということだ」


ゼプシオンはその言葉に一瞬息を呑むが、構え直す。


ヘビーの体が赤熱し始める。イーコが「温度が……?」と呟き、テコイレィが「来るわよ……!」と警告する。


ヘビーは静かに宣言する。


「《グリル・ターンオーバー》起動」


次の瞬間、ヘビーが高速回転を始める。赤い光の渦が生まれ、熱と魔力が混ざり合い、深海に沈んだ太陽のように輝く。


ゼプシオンは盾を構えるが、回転するヘビーが突進し、衝撃で盾ごと吹き飛ばされる。


「ゼプシオン!!」


イーコが叫ぶ。ゼプシオンは壁に叩きつけられ、腕が痺れて動かない。


ヘビーは湯気を立てながら静かに言う。


「片面焼き……完了だ。次は、裏面だ」


再び高速回転が始まり、赤い渦が迫る。


「ゼプシオン、避けて!!」


イーコが叫ぶが、ゼプシオンの体は動かない。


「終わりだ、発掘物」


ゼプシオンは歯を食いしばり、赤い光が視界を覆う――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。