#39:盗賊団 スマート
39話目です。盗賊団の登場です。
あまりいい名前思いつかなかった……ので感想欄で募集します!何か良さそうだなと思うものがあれば採用するかもしれません_(_^_)_
どれぐらいの力か試すための模擬戦だったことなんてすっかり忘れていた。3人も同じらしく、本気で俺と戦うらしい。1vs1だとまず勝てないと判断して3人で挑むらしいのだが、面白い。
「一応模擬戦ですからね、殺さないでくださいよ、ご主人様」
メアリーが呆れた眼でコチラを見てきた。殺さないから、そこは何とか。
〖マスターも結構な戦闘狂ですよね〗
〖ウン、結構戦闘狂だと思ウ。天然ノ〗
〖あ、それ私も同じこと思ってました〗
〖ウム、そうだロウ〗
なんの茶番をやっているんだ2人は。好き勝手に人の悪口を言って。
俺は気合を入れなおした。人間を複数相手する模擬戦はこれが初めてだ。範囲技は高火力なものが多いので迂闊に使うことが出来ない。
〖ミスラ、魔法の研究は進んでるか?〗
〖あ、いくつか新しいの使えるようになっていますよ〗
使える魔法のレパートリーが少なすぎるという問題があった。俺はミスラに魔法を研究してもらっていた。俺の場合【技受技使】があるのですぐに手に入ると思ったいたのだが、この国に来てからは、政治をしてもらうとか言われていたのであまりその余裕がないんじゃないかと思っていた。
使う機会もなかったし、気長に待っていればある程度の技が使えるようになるかなと軽い気持ちでミスラにお願いしておいたのだ。とりあえず時が来たら使うことにしよう。
「それでは、始め!」
メアリーの合図があると同時にアメリアが俺のすぐそばまで来ていた。アリーチェよりも早くあっという間に剣の届く範囲内に入る、これはおそらくアメリアの特技の1つだろう。普通の人ならば、ここでやられてしまうだろう。だが、俺は持ち前の素早さを使って一歩下がった。アメリアはそれに驚いたらしい。俺は彼女の初手の剣を躱すと逆に近づいて剣で斬った。威力をかなり抑え、速度も多少遅くしたものの、彼女は何とか剣で防いでいた。
「一筋縄じゃ行かないね!」
「それでは私たちも行きましょう」
「分かりました」
アメリアが先程と同じように俺に向かってきた。――だが何かがおかしい。先程と同じように見えて彼女の速度が遅い。何か別の狙いがあるのか。
〖『気配察知』を使ってみてください〗
ミスラに言われた通りにスキルを使ってみた。すると後ろに反応があった。これはルイズが何かをしかけているのか?そんなことを考えているとアメリアが俺の目の前に来ていた。後ろに下がれば罠にかかる、だが前に進むほどの打開力がなければ押し負ける。俺は右に躱した。アメリアは左右に避けると思っていなかったらしく、そのまま俺の横を通り過ぎて罠を仕掛け終わったルイズにぶつかり、2人とも罠に嵌まってしまっていた。
「『暴風砲』」
躱したと思った俺に向かって風属性の魔法が放たれた。右に躱した際に重心が偏っていて避けることが出来なかった俺に直撃した。久々にダメージを追った感覚があった。罠を抜け出したアメリアが再び俺に接近してきた。
「『スプラッシュソード』」
その剣は水を纏っていた。俺も同様に剣に水の力を纏わせて防いだ。有利属性である地の力を纏わせても良かったのだが、地属性はあまり使い方が分からない。そして割と地味な魔法が多かったりするので余り使っていなかった。俺が反射的に水魔法を纏ったのはそれが原因だろう。
「『水斬』で対抗出来るの!?」
どうやら俺の使った技を正確に見破れたようだ。技の規模がでかいために上級魔法と勘違いされるかなと思い使ってみたけれど、気づくらしい。そして少し不満そうな顔をした。おそらく全力で戦ってほしいのだろう。
〖上級魔法を威力を抑えたまま使うことは可能か?〗
〖出来るわよ〗
どうやら出来るらしい。それについては全面的にミスラに丸投げ……じゃなかった任せることにしよう。ノヴァによると歴代魔王は4大属性の魔法は使えたらしい。なので俺が使ったところで問題はないだろう。
アメリアが剣に水を纏わせたと思ったら、既に目の前、剣の範囲内にいた。慌てて剣で防いだ。それにしても、さっきまでまでの動きとは違う。アメリアを見ると目を輝かせながら戦っていた。
アメリアが下がったと思ったその瞬間、後ろでオリビアが魔法を発動していた。風属性魔法『トルネード』か。俺はかろうじて避けた。
「油断は禁物です『煙玉』」
煙が辺りに散らばって前が何も見えない。それにしてもアイテムを使うなんてありかよ。そう思っていたのだがミスラ先生によるとアイテムの使用は別にズルでもなんともないらしい。あと、『煙玉』は地属性初級魔法らしい。
『気配察知』で何処にいるかは分かるが、俺は見落としていた。
ルイズが罠を仕掛ける時間が長すぎたということに。あの時俺はアメリアと戦いながらルイズを避けた。
そのことに集中して気が付なかったけれど、よく考えたらおかしい。俺はルイズが仕掛けていた他の罠にかかって動けなくなってしまった。ふと見るとオリビアが少しにやけた気がした。ここまで彼女の思惑通りだったのだろう。動けない俺に再び風魔法が直撃した。
「いい組み合わせだな」
気づけば俺はそう呟いていた。勝負はここまでということになった。普段はこれにアリーチェが加わっているというのだからこの4人が組んだら恐ろしい気がする。
「そういえば、魔王様は召喚されてからお一人だったのですか?」
「どうしてそんなことを聞くんだ?」
オリビアがふと疑問をぶつけてきた。彼女は俺たちが集団で召喚されたのは知っていたが、共に行動していたのは知らなかったらしい。オリビアがルイズ、アメリア、アリーチェの方を見ると3人とも目を逸らした。あ、オリビアの説教タイムか。いつもは優しいんだけどスイッチはいると怖いからな。
メアリーが俺の後ろに隠れた。俺の裾を掴んだ手がかなり震えていて、俺にもその様子が伝わってくる。多分相当怯えているんだろうな。
「それでは、パーティメンバーの方々が心配しているのではないでしょうか?」
どうだろう、別に俺がいなかったところであいつらの事だしちゃんとやっているだろう。だけどこの世界に来てからの彼女たちの様子を見ると不安になってくる。俺が死んだとでも勘違いしている可能性もある。やばい、何か凄い不安になってきた。
「それよりも急に俺が戻ってきて、彼女たちが怪しむんじゃないのか?」
これが正直な問題である。だけど、どのみち魔王としての俺の顔はすぐに割れてしまう気がしていた。こないだの決闘の時も普通に戦っていたし、あの時他の国の民あるいは偵察の兵士がいたならば正体がばれている可能性もある。彼女たちとやはり一回会う必要があるだろう。
「それは……多分」
俺の中で答えが整理できたその瞬間大きな衝撃音が響いた。城下町の方からだ。
俺たちは急いで音のあった方へ向かった。爆発音があったのはどうやら貴族の屋敷だったらしい。金目の物を盗まれただけでなく、逃げる際に爆発させたらしい。
「なんてひどいことを」
「これは?」
俺はその場に落ちている封筒を拾った。何やら何かが書かれているようだ。俺たちはその手紙を見た。
――
我々はシャレスト王国の秘密組織、スマートである。この屋敷にある金目の物は頂いた。
これはお前ら憎き魔王軍に対する宣戦布告である。我々は力を付けてお前たちを必ず倒す。
これは王族と聖なる勇者及び勇者様方の意向である。お前たちが我々の下に着くと宣言しな
い限り、国をも滅ぼしてくれようぞ。
我スマートに。
我ら決して帝国に屈せず。
我らの神、魔王を許さず。
我らがこのを→滅ぼす。
――
「この〚我らがこのを→滅ぼす。〛ってどんな意味なんだろ」
「何が言いたいのか簡潔に書いてほしいわ」
「シャレスト王国が戦争を仕掛けると言っているのですよ、非常事態です!」
「どうしますか、魔王様、オリビア様」
俺はこの書き方に違和感を覚えていた。オリビアも何かを考えている様子だった。
「スマートとは最近、有名な盗賊だと聞いていましたが。シャレスト王国の駒という訳なんでしょうか」
そもそもこの文章にはおかしな点がある。まずは聖なる勇者である俺は何も言っていない。さらには他の勇者たちが賛成するなんてことも考えにくい。俺はもう一度この手紙をじっくり読んだ。
〖この手紙はひょっとして……うん、間違いない。マスターこれメッセージが隠されています〗
〖え?〗
俺はポカンとした。
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