#36:クラスメイトとの再会
主人公と別れたヒロインズがクラスメイトたちに会いに行く話です。
今回はクラスメイト達がたくさん出てきますが、彼らが本格的に動くのは先になります。
今回出てきてないクラスメイトについても今後出して行く予定です。
「ヒカルさん……」
「光君……」
ヒカル君が謎の3人組に連れ去られた後、あたしたちはそのままシャレスト王国へと向かうことにした。けれども、愛月ちゃんとフィーシャ、それに愛ちゃんは先程から生きる気力を失っているかのような状態で、まともに話をすることも出来ない精神状態に陥ってしまっている。瑠光ちゃんと琴葉ちゃんとティサリーヌ王女も言葉に出してこそいないけれど、時々表情が曇ることがある。美涼ちゃんに至ってはずっと1人で何かを抱え込んでいるような状態だし……今、この状態で盗賊に会ったりなんかしたら。
「げっへっへ、荷物は置いていって貰おうか」
「まずいです、こいつらはここらで最も規模の大きい盗賊です」
盗賊の1人がそう言うと、馬車を運転している人が焦ったように言った。愛月ちゃんたちは何の反応も示さないし、瑠光ちゃんも動けそうにない状況だ。足が震えている。ヒカル君がいなくなったことがかなり響いている。今彼女たちに戦わせるわけにはいかない。
「みんなは休んでて、美涼ちゃん行くよ」
「分かったわ、中村さん」
とはいえこの人数を1人で戦うのは、多少分が悪い。美涼ちゃんは盗賊を見た時に行状が変わっていたし、彼女なら普段通りに動ける。彼女も同じことを思っていたみたいで2人で盗賊と戦うことになった。
「げっへっへ、可愛い嬢ちゃんたちだな。ちょーっと痛い目見てもらうぜ、おい野郎どももやっちまえ!」
およそ20人ほどいる盗賊のうち、半分ぐらいがコチラに突撃してきた。先頭の剣士が剣を振りかぶってきたけど……遅い。あたしは盾でガードして弾き飛ばした。次に背後にいた2人が同時に斬りかかってきた。どうやら、力でごり押しして盾を壊そうとしているけど、それは通用しない。無属性スキル『カウンター』を使って逆にダメージを与えた。かなり飛んだ為後ろにいた人たちも巻き添えにすることが出来た。あたしの仕事は終わり、あとは……
「『トルネード』」
美涼ちゃんが風属性中級魔法である『トルネード』を放った。これで全滅……してない。恐らくボスであろう1人が残ってる。あたしは魔法が切れる直前に動いて、後ろに回り込んで短剣でとどめを刺した。
それから馬車でこれからのことを話し合った。とりあえず、ヒカルが連れ去られたことは王都にいる先生に相談するということに決めた。そんな話し合いをしているとシャレスト王国に到着した。行きは結構すんなりと来れたから良かったけど、帰りは村に寄っていないのにも関わらず時間がかかった。馬車に乗っている時間が酷く退屈だったからかな。
フィーシャとティサリーヌは先に宿に向かった。あたしたちは先生がいる屋敷に向かった。出発の際にあたしたちは1つの大きな屋敷が与えられていた。王都にいる間はそこを使って拠点にしてもいいと言うことだった。先生はそこでみんなの管理をしてくれている。
「あれ、みなさんお久しぶりです」
「おや、久しぶりだなお前たち」
屋敷に着くと荷物を運んでいる、石田君と荒井先生がいた。石田君曰く先生の荷物持ちをしていたたらしい。あたしが話があると言うと先生は顔色を変えた。
それからヒカル君のことを話すとさらに顔色を悪くした。彼女自身、美涼たちとヒカル君が一緒にいない時点で嫌な予感はしていたらしい。あたしたちは先生に連れ去られた瞬間のことを話した。
「分かった、今この国にいる生徒たちにも協力を仰ごう。そろそろ帰ってくるころだと思うぞ」
先生がそう言うと、ぞろぞろと部屋に入ってきた。
「あれ?愛月、元気にしてたー?」
「う、うん……」
愛月の姿を見た途端に1人のクラスメイトの女子が抱きついた。彼女は高木 沙羅。愛月ちゃんの中学校時代からの親友だと言っていた。2人はとても仲が良くて、愛月ちゃんがヒカル君を好きになる以前はよく一緒にいたらしい。
「沙羅、離してやんなよ。愛月も困ってるし、そういうのはうちたちがいないときにやれ!……ってどうしたん、愛月?」
彼女は宮本 星菜。高木さんと一緒にダンジョンに潜っていたらしい。いつも彼女たちがこんなことをしていたのは聞いていたし、いつものノリみたいなものだったらしいけど、彼女が異変に気づいた。先生は彼女が察知したことに気づいたのか、あとで纏めて話すと彼女たちに言っていた。
「おらも戻りやしたぜー」
「俺っちも今、参上!」
「……」
「先生、戻りました」
特徴的な一人称を使うのが杉林 圭司君と柏田 悠木君。それに先程から終始無口なのが白神 彰人君。他の3人よりも身長がずば抜けて高く、身長がクラス一で体格もいい。けれども、この4人の中で一番礼儀正しい彼が筑井 啓介。このメンバーが今日戻ってくる予定のメンバーだったらしい。他にも、シャレスト王国に滞在しているクラスメイトはいるけど今日はギルドの依頼等で戻ってこないらしい。
全員が集まり、先生はヒカル君の事実についてを話した。みんな驚いてはいたし、彼が死んだと思ってあるいはクラスメイトが死んでしまったと思ったのか泣いている人もいた。クラスメイトが死んだかもしれないという知らせは予想以上にショックだったのかもしれない。さらにココには伊藤君も神崎君も阿部君もいない。だから普段、場を盛り上げている人がいない為に暗い雰囲気が止まることはない。
「ヒカルさんはもう……」
相変わらずの調子の愛月ちゃんが言った。すると高木さんが愛月ちゃんの頬を思いっきり叩いた。
「愛月ちゃんは、吉川君が死んだって思ってるんですか!生きてるって信じて帰りを待ってあげることもできないの!」
高木さんが愛月ちゃんに向かって叫んだ。
「待つ……?」
「光君は生きてる?」
愛月ちゃんに向かって放たれた言葉だったが、それは愛ちゃんや他のクラスメイトたちにまで響いている様子だった。
「その通りだ。吉川は死んだと決まっているわけではない。それに捕えられたと言うのなら、死んでいる可能性は低い」
先生が低い声で言った。みんな各々ヒカル君を探すために動くということになった。けれども彼を攫った人たちはあたしたちよりも強い。今よりも強くならなければ、勝つことなんて出来ない。
「拙者達は王様からの伝言を伝えにきたでござる」
「なんと、2ヶ月後にシャレスト王国で闘技大会が開催される。そこで私たちにも命令があった」
「それは本当か?門畑、香川」
突然現れた2人は門畑悟君と香川 美和さんだ。職業は忍者だけど、実は元の世界でも忍者の家系なんじゃないかって噂されていた2人組だ。2人とも普段は普通に生活しているけれど、いつの間にか姿が消えていたりすることがあった。この世界でも忍者、恐るべし……運命、恐るべし偶然。
どうやらこの大会は強制出場というわけではないけれど、戦闘職の人はなるべく出るようにと言われているらしい。あたしはそんなことを言われなくても、参加するつもりだった。
非戦闘職以外の人は大会に出るということで一致した。他の国にいるクラスメイトには王族が他の王族を通して伝えるとのことだった。
「この大会なんとしてでも勝つ必要があるかもな」
そう言った先生は、何かを考えている様子だった。先生が何を考えているのかはあたしたちには分からなかった。筑井君が先生に何のことかと聞いていたけど、先生は
「事が起こったときに対処する」
と言って、はぐらかされたようにあたしは感じた。
「それで私たちも出ますよね?大会に」
「うん!」
「ええ、勿論出るわ」
ずっと落ち込んでいた愛月ちゃんと愛ちゃん、それにずっと考え込んでいた美涼ちゃんは参加すると決めた。この3人が参加すると言ったことで、他のみんなも参加することになった。ただ試合に出れるのは1チーム4人まで、フィーシャとティサリーヌを入れて9人、どう考えても1人余ってしまう。
「中村さん行きますよー!」
そんなことを考えていると琴葉ちゃんに呼ばれた。まぁ、こんなことを考えるのは後でいっか。あたしは彼女の後を追いかけた。
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