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#22:ボルルアと魔国に迫る影

22話目です!

勇者と魔王の称号を持っている……しかし敵は存在します!

魔王軍幹部たちと謎の4人が新キャラが登場します!最近新しいキャラが登場してばかりですね……

すでに出てきた勇者、まだ出てない勇者たちの出番はまだまだ先になりそうです!

 光たちが夢の世界に旅立っている頃、ボルルアの宿の中で最高級と言われているホテルの一室で密かに会議が行われていた。


「計画は順調なのかい?ひっひっひ、人間と魔族を滅ぼす日が来るのが楽しみじゃ」

 

  老婆が怪しい笑みを浮かべたまま言った。


「しかし、よかったのか?いくら〈聖なる勇者〉と〈魔王〉がいないと予想されているからって、もう少し慎重に行動するべきじゃないのか?」


 兵士のような恰好をした男が言った。するとピエロの男が言った。


「心配することないねん!魔族のところにはあいつをスパイとして送り込んでいるし、〈魔王〉が誕生したらすぐにおいらたちに伝わると思うねん。それより計画は明日実行よねん?」


「ほっほっほ、ここなら変身を解除しても大丈夫ですよ……ラフィア、ルーク。ヴォルフは常にその姿でいるようだが、我々の姿がばれないようにしっかりと変身も使うんだぞ」


 リーダーの男が変身を解いた。解くと同時に言葉遣いがいつものように鋭く、後ろから突き刺す寒気に襲われたヴォルフは冷や汗をかいた。


「仕方ないねん、この姿がお気に入りなのねん!」

「仕方ないわよ……このアホは放っておきなさい。それでルーク、貴方は明日の準備は大丈夫なのかしら?」

 

 先ほどまでの醜い老婆だった姿から一変して、髪が長くつやっとしたラフィアが言った。


「当たり前だ。俺はいつも計画に事を進めている……だが今回の意見は反対だったのだがな……スケルトンが倒された形跡はないんだろう、ヴォルフ?」

「そうなのねん、倒されたら自動で知らせてくれるようにセットしてあるから大丈夫なのねん!それによると倒された知らせが来ていないから〈聖なる勇者〉が誕生している可能性は低いのねん!」


 ちなみにヴォルフの言っているスケルトンとは勇者たちの訓練の時に光が陰で倒したあのスケルトンのことだ。ヴォルフは通知がいく魔法を作り上げたのはいいのだが、そのことに喜びすぎて魔法をかけるのを忘れてしまっていたのだ。そのため彼らは〈聖なる勇者〉が誕生していることは知らなかったのだ。


――

 時は勇者たちがシャレスト王国にいた頃まで遡る。光が読んだ魔王についての本を回収したピンク色の髪をポニーテールに纏めた女性と銀色の髪が肩にかかるほどのショートカットをした女性の2人が『テレポート』を使った。


「ルイズ、アリーチェおかえりなさい!」

「ん、ただいま」

「ただいまですわ」


 テレポートした先には彼女たちと同じ魔王軍幹部の1人である、アメリアが立っていた。青色の髪をツインテールに纏めているが身長はルイズやアリーチェよりも20cmほど低いだろう。


「それで、どうだったのー?」

「魔王様は見つけたわよ!」

 

 アリーチェが自信満々に言っている横でため息を吐きながら、ルイズが補足する。


「ミッションは半分成功ね……〈聖なる勇者〉は見つからなかった」

「まぁ、魔王様を見つけるのと違って、実際に技を使っているのを見ないことには難しいもんね!しょうがないしょうがない!」


 アメリアは笑いながらそう言った。アリーチェも大丈夫と言って笑っているのだが、ルイズだけは黙っていた。


「そーいえば、2人が来たら会議室に連れてきてって、お姉ちゃんが言ってたんだった」

「なら行くわよ、ルイズ」

「了解した」


 会議室の前に行くと、扉の前に2人の警備兵が立っていた。


「まもなく会議が始まると思われます、どうぞ中へ」

「いつもご苦労さまー!」

「いえいえ」


 アメリアがそう言うと、警備の男性が扉を開けるとそこには国の上位層の人たちが集まっていた。アメリア達が余っている席に座ると会議が始まった。会議室には20人ぐらいが集まる比較的小さな会議だ。しかし、集まっているのは国の上層部ばかりなので、今回の会議の重要性が伺える。


「それでは会議を始めます」

 

 水色の髪を三つ編みに結んでいる女性がそうい言うと、それまで騒がしかった会議室の様子が一変して静かになった。


「まずはルイズ、アリーチェに人間界のことについて調べてもらっていたんだけど……どうでした?」


「魔王様は無事に見つけることが出来ました」

「それで?肝心の魔王様がいらっしゃらないようですが、どういう事ですかね?」


 1人のおっさんがそれに対して文句を言った。すると、会議室にいるほとんどの人がそのおっさんの言葉を支持した。


「どういうことだ!」

「説明しろ!」


 すると、先ほどの水色の髪の女性がため息を吐いた。そして彼女は最初に暴言を吐いたおっさんに向かって言った。


「静かにしなさい、バンゲル!」

「ですが……」

「いい、です、か?」

「申し訳ございません……オリビア様」


 周りの連中も静かになったところで、ルイズが話を続けた。


「魔王様は勇者でした。その職業にも気づいている様子でしたが……周りに言っている様子もないですし……いざって時に利用できると思い接触は避けました」


 バンゲルを始めとする一部の人間は険しい表情を浮かべていたが、オリビアは今の説明で納得した顔をしていた。


「分かりました、聖なる勇者についてはおそらく誕生していないという事でよろしいでしょうか?」


「今のところはいないと予想しています。光属性の魔法やスキルを見た者もいないということですので」

「分かりました、聖なる勇者が現れたら最優先で報告するように!次は国民に対する寄付金について話し合いましょうか」

 

 ――


「以上で会議を終わります、何かある人はいますか?……それでは終わります、お疲れさまでした」


 オリビアが会議を終えると続々と会議室から部下たちが出て行った。そして、幹部4人だけが会議室に残る形になった。


「疲れました……」

「お疲れ様お姉ちゃん!」


 アメリアがオリビアに笑顔で言う。妹の笑みに頬が緩みきっていたが、疲れの表情は取れていなかった。


「無理していない、オリビア?」

「大丈夫ですよ、アリーチェ」


 オリビアとアメシアとアリーチェは3人で茶化しあっていた。潜入捜査時の話を聞いたりと、王を務めているものとその側近とは思えないほど砕けた感じで話していた。しばらくすると真面目な雰囲気に戻り、また話し始めた。


「それにしてもあのバンゲルだっけ?あいつの態度も何なんだろうねー?」

「何とは?」


 アメリアがの言葉にオリビアが聞き返す。アメリアが続けて話そうとするのを遮るようにして、ルイズが言う。


「何か、私たちとは目的が違うような気がしたのです……国を良くしようって言うよりは権力を得ようとしているっていうか……魔王様を慕っているのかどうか……気を付けたほうがいいかもしれません」


「私が後でちょろっと部屋漁ってみるね?」

「大丈夫なのですか?」


 アメリアの言葉に対して、心配そうに聞いてきたルイズに対してアメリアは大丈夫だと言い張った。そして、その言葉を3人は信じて、彼女を待つことにした。


――


 翌朝俺たちはギルドに行く、冒険者クエストを受けることに決めた。冒険者ギルドはいつものように賑わっていた。俺たちが行くと相変わらずチラチラとコチラを見てくる人がいるのは困ったものだ……


 俺たちがクエストを選んでいると、突然ギルド内に、いや街中に鐘の音が鳴り響いた。何だ?お祭りでもあるのだろうか?


「いえ、これは……警報です。何かあったのではないでしょうか?」


「大変だ!ゴブリンキングとワイバーンが出たぞ!」

「な、まずい、全員守りを固めろ!」


 俺たち冒険者は門の外に出て、戦いに行くことをギルドから依頼を受けた。クエストには大きく分けて3つのクエストが存在する。


 1つは常設クエストといい、常に同じ依頼が張り出されており、ゴブリンを10体討伐や薬草採取などの、消費量の多いものなどがこの常設クエストに張り出される。

 

 2つ目はクエストといい、これは誰かが依頼書をギルドに出し、それを受けるというものだ。このクエストは失敗すると違約金が取られたりと面倒くさいことがあるので、受けるのはD以上の冒険者が多い。中には指名依頼という制度もある。


 3つ目が緊急クエストとよばれているもので、街などが魔物の襲撃の対象になった場合、あるいはそう予測されたら召集されるものだ。B~Dのランクの冒険者は強制召集がかかる。今回はこの目3つ目のクエストだ。


 俺たちも街が潰されるのはまずいので、防衛ラインに向かった。


――


 ボルルアの門から少し離れた森の茂みに4つの影があった。


「ゴブリンキングとワイバーンを洗脳したのねん!これでボルルアも墜ちたもん同然なのねん!」


 派手なピエロの恰好をしたヴォルフが言った。リーダーの男は城の方を見ていてその言葉に対して何も返さなかった。


「しかし、どうしてボルルアから攻めるんだ?」


 ルークがリーダーの男に聞くが返事をしない。それに呆れたラフィアが溜め息を吐きながら、代わりに答えた。


「今は魔人族の国以外の関係もあまり良好ではないと聞いたわ……だから他の国からの増援は来ない。だから始めに武器の生産が盛んなこの国を落としてしまおうという魂胆でしょう?」


 ラフィアがリーダーの男に向かってそう言いかけると、その男は頷いていた。


「姉御さんカッコいいのねん!」

「その呼び方は辞めなさい?」

「ひぃ、すいませんなのねん……」


 ラフィアの怒る顔を見てヴォルフが悲鳴をあげ、それをルークが止める。リーダーの男はその光景を見て溜め息を吐いたあと、いつもの冷たく突き刺さる声を3人に向けた。


「静かにしろ、そろそろ始まるぞ」


 しかし、実はこの男は計画が失敗しても成功してもいいと思っていた。国の冒険者や兵士たちの実力を図る為にヴォルフにゴブリンキングとワイバーンを洗脳して倒させるように仕向けたのだ。


 今、どの国のレベルも確実に落ちている。聞けばゴブリンジェネラルを一体倒しただけで、勇者が英雄と称えらていると聞く。ゴブリンキングは失うかもしれないが……ワイバーンを倒すのは無理だろう。襲撃に失敗したとしても最後の仕上げさえすれば良いだろう……


 次回の投稿は2019/08/11、15:00を予定しています! 

 それではまた来週お会いしましょう_(_^_)_


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