第81話 勇者、怪しい食べ物を食わす
「さぁ一回……やり遂げたわよ。約束通り、今から城に向かうわよ」
「あーちゃん……頼むから一回寝ない?」
「エデン。なにを言っているの? 私も約束を守ったのだがらあなたも約束を守らないと。わかっているわよね?」
さすがにあそこまで挑発されて、私も引き返すことができなくなっていた。が、城の皆が生きているかは本当に心配だった。ここで引き下がるわけにはいかない。
「さぁ、ギョロ美ちゃん。トモミチ。卵王。みんなで行くわよ! 声を出していきましょう! 剣士団のように!」
「……あーちゃん大丈夫? 空元気じゃないかしら? 今すぐ寝たいんじゃない〜?」
「ギョロ美ちゃん大丈夫。私は賢者の試験を受けるとき、五日間寝なくてもなんとかなったわ。本当にギリギリだったけどこうして賢者にもなれた。だから! 早くみんなで行きましょう!」
「……しょうがない。もうあーちゃんが止められないから行くしかない。ここまできたら最終兵器を出すしかないな」
「エデン。最新兵器って?」
「腹は減っているよな? なら、食べてから行こう」
「そんな時間はないわエデン! 城のみんなが死んじゃうわ!」
「慌てるな! 今、あーちゃんしか気分がハイになっていない。これは仲間との連携を乱す。みんなのテンションを合わせよう」
「テンションを合わせる?」
「少し待っていてくれ。ある料理を作ってくる」
エデンはそう告げると、厨房に立ち、料理を作った。疲れ切っていた体にもってこいの料理『カレー』だった。
「エデン。これは一体なにかしら?」
「俺の世界ではいつ食べても、何日経っても、食い続けられる料理『カレー』だ。そこに俺が大学時代に考案したあるものをぶち込んだ特製料理『二十四時間戦えますカレー』だ」
「……ダジャレすぎないかしら?」
「……ちょっと寒いぞエデン」
「……まぁそこは気にするなよ。そこにお前たちのテンションが上がるアドレナリンを配合した『エナジードリンク』なるものをぶち込んである。もう気分はバーサーカーさ」
「すごいわね……そこまで狂人になっちゃうの……じゃあいただいてみるわね」
皆、一口ずつ食べる。最初は見た目以上に美味しいとしか思わなかったが、持ったスプーンが止まらなくなる。それと同時に、気分がどんどんハイになっていくのがわかる。
「うおおおおおおおおおお! エデンこれはすごいわ! 目がバッキバキになるわぁ!」
「なんだこの料理は! まるで酒を飲んでいるようだが全く酩酊状態じゃない! むしろ冴えまくっている!」
「ヤバイわぁ! テンションだけじゃなくて筋肉も発達している気がするわぁ!」
「エデンはんこりゃすごいでっせぇ〜! わしもパワーアップやぁ〜!」
「いや、トモミチは嘘つくなよ。なにも変わってないぞ」
「……まぁテンションはバカ上がりですわぁ! どんな敵が来ても倒せそうやぁ〜!」
(エナジードリンクだけじゃなくて、ちょっと怪しい葉っぱも入れてみたけど、ダメだったかな……まぁ言わなくてもいいか)
「よし! 全員のテンションがマックスになった今。俺たちは最強だ! 城に乗り込むぞ!」
「「おぉおおおおおおおおおおお!」」
私たちは、どんな敵が来ようとも無敵だとテンションのせいでそう確信させられていた。なぜか目が虚ろになる瞬間もあるような気がするが、勢い任せに城へと乗り込むことになった。




