第72話 勇者、リヴァイアサンにも容赦なし
「エデン様ぁ! 遅いわよ~!」
「すまんな。飼い犬を捕まえてたらつい……それで状況は?」
「ゴードン王国へ入らせないようにするので限界よお……」
「トライデントは使えないか?」
「私とパパのトライデントを突き刺すことができれば雷を呼び起こして倒せるかもしれないけど、そうすると海全体が感電死しちゃうわ」
「あぁ~。なるほどな。じゃあ小さくすればいいわけだ」
「まさかあんた……またあれを……?」
「まぁそうなるわな!」
「もうなにが来ても勝てるじゃない!」
「いや~。便利な時代になったもんだなぁ」
「あんたの能力がズルすぎるのよ……」
再度、あのアイテムを使おうとエデンと私は一緒に浮遊魔法で海の上へ浮かび上がる。
深海国の皆が戦っている。その上をふわふわ浮かんでいる勇者に一同、疑問符が浮かび上がった。そのまま、リヴァイアサンの真上まで来たエデンはアイテムを使う。
「いくぞ~! そいつ小さくなるから絶対捕まえろよ~!」
『ミニマムライト』を使った。そうすると、みるみるうちにリヴァイアサンは小さくなる。
「キュオオオオオオオオオオオオオオ!」
なにもすることができないまま、巨躯が小さくなり最終的にウナギサイズになった。
それを皆で取り囲み、ギョロ隈が捕まえた。
「よっしゃ~! 捕まえた! 陸上に連れてって沼に引きずり込んだる!」
ギョロ隈が作り出した沼にリヴァイアサンは放り投げられる。
「キュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!」
リヴァイアサンは抗うように、口から高水圧カッターのようなビームを出そうとしていたが、身体が小さくうまく出せない。
「よっしゃ! なんとかうまくいったな!」
「すごいわ……あのリヴァイアサンまで……」
「深海国の被害は?」
そこに、ギョロ凱がやってきた。
「なんと少数の怪我人だけで済んだ。リヴァイアサン相手にこれはありえないことだ」
そういうと、王はエデンに頭を下げた。
「本当にありがとう。勇者がいなければ深海国はめちゃくちゃになっていた」
「そんな頭下げんなよ。元はといえば俺が原因だし」
「……えっ? お前が原因なの?」
「う、嘘に決まってるじゃな~い! ね? あーちゃん」
「そうなのです海王。私もよくエデンに嘘をつかれるんですよ~。そういえば、怪我人の処置をしますので、連れてきていただけますか?」
「そ、そうだよなぁ。あんな化物連れてくるわけないし。こっちだ。頼む」
アホなのかエデンは。正直に答えすぎて心配になってくるレベルだ。運がいいことにリヴァイアサンの討伐だけでなく、深海国からの信頼も勝ち得ることができた。
「それでこいつってどうする感じ?」
自信満々に、ギョロ隈が応える。
「僕が捕まえたんだ! 深海国の護衛として使おう!」
「お前が捕まえられるようにしたのは俺のおかげだろ。なに偉そうにしてんの?」
「す、すいません……」
「こいつって食ったらどんな味するとかわかる人いる?」
「さすがにリヴァイアサンを食った者はいないですわねぇ」
「よし……じゃあ食ってみよう」
ギョロ隈がさすがに止めようと口を開いた。
「えっ⁉ この状態で残しておいて討伐したことにすれば、とんでもない討伐金と国を挙げて最高の栄誉が――」
「いや金はあるし、栄誉とか別にいらんし。味だけが気になる」
「さすがエデン様ですわぁ! 常識にとらわれないそのお心。まさに本物の勇者!」
「へへっよせやい! 褒めてもリヴァイアサンの肉しか出ねぇぞ!」
「嬉しいですわぁ! じゃあパパが戻ってきたらトライデントで丸焦げにしてみんなで食べましょう~!」
治療を終えた私と、ギョロ凱が戻ると、リヴァイアサンパーティーをするとのことでその場は大盛り上がりしていた。もう私も止めなかった。
「じゃあ早速、トライデントを使うわね~! えい!」
トライデントの雷鳴は響く。所詮、相手はウナギサイズなのでそれほど大きい雷ではなかった。それだけで充分リヴァイアサンは丸焦げになった。
「キュイイイイイイイイイイイイイイ!」
断末魔であった。その鳴き声を最後にあの凶悪だったリヴァイアサンを討伐できた。
これで二体目。残すは最後の一体だ。
「エデン。パーティーもいいけど、そろそろ最後の魔物の所へ行かないと」
「あ、そうだった。どっちでもいいんだけどしゃあなし行くか」
「じゃあギョロ美ちゃん。私たち最後の魔物のところに行くわね」
「ええ! 私たちは誰かに盗まれないようにこのリヴァイアサン見張ってるわ!」
「誰も盗まないと思うけど……まぁ頼んだわ。パーティーのために」
――私たちは最後の敵であるヒュドラの元へ向かった。




