表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界なまけもの備忘録  作者: フトカワ
第一章 勇者との邂逅
7/11

第7話 勇者、登場せず

 翌日、今日こそ勇者と共に冒険に出る。そう考え、すでに旅支度をしていた。

 そこに、私の師匠である大賢者ロマーニ老師が訪ねてきた。


「アネスや。まだここにおるのか? 勇者と共に冒険へ出ると聞いておったのじゃが……」


「すみません、老師。これがなにかと厄介な勇者でして……まだ出立できておりません」


「就活?」


「出立です。今更、就活はいたしません」


 老師は齢八十。もう耳はほぼ聞こえていない。だが、魔法の腕は今でも超一流だ。


「そうかい。お前がまだ旅に出ていないと聞いてワシが王より拷問を受けておるよ」


「ご、拷問⁉ こんな老師を痛めつけるとはなんとも無慈悲な……」


「やから、なるべくはよいってもらえると助かる。まぁ拷問は拷問で気持ちええんじゃが」


「えっ? 老師今なんと?」


「なにも言っとらんよ。さぁはよいけ。軟弱者が」


「最後のあいさつにしては厳しくないですか?」


 なにはともあれ、老師は私のせいで痛めつけられているらしい。早く冒険へ出ないと。向かうは、勇者の家。なにかと遠くて腹が立つ。


 【ピンポーン】いつもの音が鳴り響く。そして、出迎えたのはグールのトモミチだった。


「またお前かい! 毎日この家に来てるの?」


「ヘイ。兄貴に呼ばれればいつだってきますわなぁ」


「で、その兄貴は今どこにいるのよ」


「まぁそう慌てなさるな。とりあえず、『プール』にでも入ったらどないでっか?」


「『プール』?」


「そうですわ。この水場みたいになってるのが『プール』っちゅうもんらしいですわ。まぁ小さい海とでも考えてもらえればええです。しかも、温水になってていつの季節でも泳げるっちゅう代物ですわぁ」


「なるほど……これは『プール』というのね」


「さようですわ。この家は我々には見たこともないモノで埋め尽くされておりますわなぁ」


「あのドアについているモノも転生勇者の時代にあったモノっていうことね」


「そうですわ。あれは『インターホン』っていうモノらしいですわ」


「『インターホン』……このでかい家には必要なモノね」


「ささ。まぁこの服に着替えてもらって泳ぎなはれや。その間に勇者様呼んでくるさかいに」


 渡されたのは、なんともこの時代にそぐわぬ胸と下半身を隠す『水着』だった。


「なによこれ。こんなの恥ずかしいじゃないのよ」


「いやいや、乳姉。これは勇者様の時代では普通の代物でさあね。着てみたらわかるものですわな。それで泳いだら心地いいのなんの……」


「乳姉言うな! 本当に大丈夫なんでしょうね……」


 怪しすぎるが、とりあえず着替えてみることにした。少し露出は多い。だが、解放

感があってこれで泳ぐことを考えるとすごく気持ちいいだろうと考えてしまった。


「トモミチ。着替えたわよ。じゃあさっさと勇者様呼んできなさいよ」


「うっひょ~。これはこれはお似合いで……ささ、どうぞお入りください」


 トモミチが首からなにかぶら下げているのが気になったが、とりあえずプールに入ってみた。


 泳ぐのには慣れていなかったが、すごく気持ちよかった。その間、トモミチが首からぶら下げているモノから『カシャ』『パシャ』みたいな音が聞こえていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ