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異世界なまけもの備忘録  作者: フトカワ
第六章 海王との接触
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第59話 勇者、深海国に喧嘩を売る

「ギョロ美。お前が帰ってこなくなって、もうすぐ一年になる。深海国は次期国王の座を巡って會同士のいざこざが頻繁に起こって大変な事態になっておるのだ。なんとか、お前が帰ってきて争いを鎮めることは出来んのか?」


「『ギョロ凱』パパ。本当にごめんなさい。私はこの地上で生きていきたいの。どうにかなりませんか?」


「それはトライデント次第だからの。その所有権で次期国王が決まる。お前がそれを放棄できるのであれば地上で生きていくことはできるのかもしれん。だが、次に引継ぐ者が『ギョロの會』ではギョロ隈しかおらん。さすがに無理だろ~」


 なぜか、エデンが口を挟む。


「そうだよね~。あいつ陰気臭い顔してるし」


「お前! 僕だってこの場にいるんだぞ! 舐めてるとまた沼に引き込むぞ! キィイイイイ!」


「お前あれしかでき無さそうだもん。全然、俺には効かないし」


「そうなのだ。しかも、あんまり深海だと使わないの能力だしよくわからん」


「ギョロ凱パパ⁉ パパまで否定したら僕の存在価値無くなるよ⁉」


「私も、ギョロ隈はなんでいるのかよくわからないわ」


「ギョロ波瑠ママ⁉ 僕の存在価値が今無くなりました」


「やっぱそんなもんなんだなそいつは」


「兄さんそんなに期待されてなかったなんて、悲しいわ」


「一番悲しいのは僕だってことはわかってくれよな」


「ともかくだ。やはり、ギョロ美にはなんとか戻ってきてもらわねばならん。受け入れてもらえないのであれば力づくでも取り返すぞ勇者よ」


「え〜こっちだってパチスロの経営とか金融の仕事も半魚人たちに手伝ってもらってるしなぁ〜」


「……ギョロ美お前地上で一体なにをしておるのだ?」


「……地上のお勉強よ。勇者様はその辺の人間とは違うの。深海国では学べないことを山ほど学んでいるわ」


「悲しいけど、役に立つことはなにも学んでない気がするけど……」


 私がそう付け足すと、いらないことばかりトモミチは口走る。


「そうでげすよ! わてら普段はパチスロの経営やら、家ではゲームとか漫画ばっか読んで怠惰な生活送ってるだけでっせ! 早くわてと交換でギョロ美を深海国に連れてった方がええで!」


「あいつ自分の保身しか考えてないな」


「クズグールね。帰ってきても半年ぐらい無視した方がいいわ」


「なんで今まで一緒にいたんだろうな。他の性格のいいグールとメンバーチェンジしないか?」


「おっそれいいな。いずれ企画しようか」


「おい勇者たちよ。これだけの軍勢を前になぜそんな余裕があるのだ? このまま侵攻すれば、この国は滅ぶことになるぞ」


「それはダメだよ〜。俺にはもう守るものがあるんだ!(サボりたいだけ)」


「なら、ギョロ美を返してくれて」


「それはギョロ美ちゃんが決めることだ。どうするギョロ美ちゃん?」


「……パパ、ママ。やっぱり私、ここに残りたい。でも、いずれは深海国に戻るわ。だから、時間をくれないかしら?」


「……今の深海国の争いはどうするのだ? お前がいなければ収められない」


「それは私が収めるわ。行って収めたらまた地上に戻ってきたいの」


「……まだまだ青いなギョロ美よ。それではまた争いが起こるだけだ。やはり、力づくでも戻ってもらわないとダメみたいだな」


「おいおいこれだけ言ってんだから少しはギョロ美ちゃんの意見も尊重しろよ〜。気が利かないなぁこいつ」


「……下等な人間。お前は本当に偉そうだな。わかった。もう力づくでいくことにしよう。そこの勇者に免じてな!」


「えっ、やばいじゃん。この国滅んじゃうよこれ。ハハハ」


「あんた笑ってる場合じゃないわよ! 本当に滅ぶわよこの大軍勢が来たら!」


「パパ! お願い! 勇者様に手を出さないで! というか出しても勝てないかも!」


「なにを言っているのだギョロ美。この軍勢を相手になにができるというのだ」


 ――大軍勢が私たちの前に迫ろうとしていた。

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