第47話 勇者、給与が減る
だが、そんな日常も長く続くことはなかった。ついに、金銭的な問題が発生した。
斥候となった卵王がとんでもない形相で私たちに告げた。
「大変だ……北方の魔物との争いが苛烈を極めている影響で、エデンの給与を大幅に減額するというお触れが近日中にあるらしい……」
「なんだと⁉ どれくらい減るんだ⁉ そんなに⁉ 王様殴りに行こう!」
「決断早すぎるって! まだなにも言ってないって!」
「すまん。どうしてもあの髭面(王)が許せなくてな……」
「沸点低すぎだろ……正式には、銀貨五枚ほどになるらしい」
「まて。それは俺たちの時代で言う五千円ぐらいじゃないか!」
「……そうなのか? よくわからんが」
「バイトじゃねーんだぞ勇者は! 俺たちがどんな気持ちでやっていると思っているんだ!」
「私たち、冒険にも出てないわよ」
「……あぁそうか。でも、プライドがどうしても許さない」
「焦るな焦るな。あなたたち、そうなったとしても勇者金融があるでしょ?」
「そうなんだけど、年商でいうと金貨千枚程度にしかなっていないのよ~」
「なんだかんだ儲けているんだな……だとしたら、別にいいだろ給与くらい」
そういうと、勇者は卵王の手首を思いっきりつねった。
「なに言ってんだ! 思いっきりつねるぞ!」
「いったぁああああ! もうつねってるから!」
「もらえるもんはもらえなきゃダメなんだよ……どうしたものかなぁ」
「いや、あなた討伐へ行けばいいだけの話じゃないのよ」
「甘いなあーちゃん。どれだけ不労所得を増やすかが金持ちへの第一歩なんだぜ」
「勇者の発言とは思えないわね」
「じゃあ、とりあえず王のところへ直談判(暴行)にいくか」
「あなたこういう問題に関してだけは対応が早いわね」
「冒険への意欲もこのくらい高ければいいんだがな……」
いつもの転移魔法を使う。王の間へ私とエデンの二人で向かった。卵王は別ルートにて様子を伺うとのこと。
王の間へそのまま転移し、真っ直ぐ目を向けると、王は自身の世話役にセクハラしていた。王は背中を向けていて、まだこちらに気づいていないようだ。
「ほらぁ……こっちへ来い。今度はわしが世話をしてやるからぁ」
「やめてください。わたし、そのようなことは致しませんよ」
「なにを恥じらっておる~。わしに任せておけば悪いようにはせんぞぉ~。」
「いい加減にしてくださいマルクス王。私にその意思はありませんよ」
「よいではないか~。賃金も倍にしてやるぞ~そうら!」
完全に世話役のおしりを触った瞬間に、世話役から強烈なビンタが王にさく裂した。
「この豚親父が! 誰にもかまってもらえないからってセクハラは許されませんよ! この事は世話役上長へ報告させていただきます!」
「えっ……ちょ、待って」
私たちの横を怒りの形相で世話役が通りすぎ、バタンと扉が閉まった。
それと同時に王は私たちが扉横にいるのを見てしまった。見られてはいけないところを目撃され沈黙する。




