第4話 勇者、死す?
グールのトモミチが男の横に来た。
「……わて嘘ついてしまったさかいに死ななあきまへんのやろか……」
「……こいつに言わせればそうらしい。悲しいよ俺は。お前を殺さないといけないなんて」
「いや私、一言も殺せなんて言ってないよ」
「すんまへんなぁ兄ちゃん。最後はあんさんの手でわてを……」
「そんな……俺にそんなことできるわけないだろぉ!」
「あんさんやないとあかんのやぁ! この乳女に殺させるくらいならあんさんがええ……」
「くっ……! 非情だよあんた! こんな、いたいけなグールを殺すなんて!」
「ええんや……それがグールの生き様やさかいに……」
「いやだからそこまでしなくもいいのよ。あとめちゃくちゃ私の事バカにしてない?」
「そんなこと言って裏でどうせ殺すんだろう! これだから国家ってのはさぁ!」
「すまんの兄ちゃん。せめて苦しまずに殺したってくれやぁ……」
「わかった。それがトモミチの願いなら……俺やるよ」
「ありがとう……わてはもう言うことはないわ……」
「いくぞトモミチ! 聖剣エクスカリバー!」
先ほどと同じように、空間から聖剣を取り出した。
「うおおおおおおおおおおおおおおお! 死ねぇえええええええええ!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 分かったからもうやめなさいって!」
「えっ?」
気づいたときには遅かった。男は剣を止めずそのままトモミチを切り裂いた。
「ありがとう……あんちゃん……なんか死ねって言ってなかった……?」
「この女が……もっと早く止めていれば……」
「ちょっと私のせいにしないでよ!」
その言葉を最後にトモミチは血を流し倒れこんだ。
「ちょっと! なんで殺したのよ!」
「なんか会話も長いし、もういいかなって」
「あんたが一番非情じゃない⁉」
「方言も入り混じってて、キショかったし」
「それは確かによく分からなかったけど……」
「いやいや。言葉はあんちゃんが教えてくれたんやなか~い。なにいうてんねや!」
「あっそうだこいつ言葉喋れなかったから教えたんだった」
「なにいうてまんねん~! そこ忘れてもうたら困りますわな」
「だなっ! ハハハハハ!」
「……いやトモミチじゃん! 普通に生きてるじゃないのよ⁉ なんで生きてるの⁉」
倒れ込んだトモミチはなにもなかったように立ち上がり、男と談笑していた。
「あっそうか。あれ俺の羽衣着てたから聖剣の攻撃受けても全部どっかの誰かに攻撃が受け流される仕組みになってるんだった。多分どっかで誰かがめちゃくちゃ苦しんでると思う」
「最悪な羽衣だな!」
その時、南の国フォルス帝国において村人であるキルシュは奮発して買った唯一の上着が風でブタ小屋まで飛んで糞まみれになっていたという……。




