第39話 勇者、今度こそ討伐へ
――王子が居候して一週間。私たちは本当にゲームを楽しんだ。夜が明けては眠りにつき、日が沈んでは私たちは起きてすぐゲーム。まるで、ゾンビのような日常を送っていた。
そんな私たちを見かねた王子が、ついに業を煮やして、烈火の如く怒り出した。
「おい! お前たちいい加減にしろよ! あれから毎日ゲームばっかりじゃないか! 現実の討伐にいけよ!」
「どうしたんだ。そんなに怒って……お前も一緒にゲームしたいのか?」
「違うわ! あれから一週間経ったぞ! それそろ討伐に行くぞ!」
「いやぁ……すでにゲームの中で討伐してるしなぁ」
「そうねぇ……まだ裏ボス倒さないといけないですわよねぇ……」
「そうだす。俺たちは基本忙しいんでげすよねぇ〜」
「どこが忙しいんだよ! よっぽど暇だからそんなことができるんだろ! アネス! そろそろこいつらに制裁をくれてやれないのか!」
「残念ながら王子。魔物はまだしも、エデンは私よりも格上の剣術と魔法を会得しています。本人がやる気を出してくれない限り、どうしようもありません……」
「くっそぉおおおおお! なんでこんなやつが転生してきたんだよ! おかしいだろ!」
「そう言われてもなぁ〜。ハマちゃんがここに行けって言ったし。しょうがなくな」
「……わかった。討伐金を増額しよう。これでどうだ」
「一時的な高額収入じゃ税金払う時大変だからなぁ。毎月振り込んでくれるならいいけど」
「なんで討伐金を毎月振り込むんだよ!」
「うるさいなぁ……じゃあ一個聞きたいんだけど魔物ってランクとかあるの?」
「一応、A〜EランクまであってAランクが一番強いとされている」
「なるほどな……トモミチがEってことかぁ」
「いやエデンはん勝手に決めんでください! こんなわてでもDはありまっせ!」
「半魚人の私はBなのよねぇ〜!」
「そう。だが、実はAランクの上もいるんだ。それが『S』ランクだ。そいつらは伝説級の魔物で出会ったら最後、生き残るのは難しいとされている……」
「おいおいそんな丁寧な前フリしてたら、これから行く洞窟にそんなやつがいるかもしれないじゃないか!」
「わざわざそんなこと言わないでよ! 作者が困るでしょ⁉︎」
「……ん? あーちゃん作者って?」
「あっ私もよくわからなくなってたわ。気にしないで」
「じゃあ(ゲームもいいところまで進んで暇だし)早速、Sランクの魔物がいそうでプンプンしている洞窟に行ってみますか〜!」
「もう言わないでそれ! ほんとに出てきそうだから」
エデンの転生魔法ですぐにゴブリンの洞窟入口までくることができた。相変わらず物理法則を無視した魔法で羨ましい限りだ。
そして、洞窟を進んでいく。勇者の『千里眼』の通り、道はゴブリンの死体に溢れかえっていた。何者かに引き裂かれた跡。踏みつけられた跡。消し炭のようになっている跡。ゴブリンではないなにかに襲われた形跡。そんなもので溢れかえっていた。
さらに奥に進んでいくと、今度は恐ろしく大きな咆哮が聞こえた。
間違いない……エデンの言った通り、この奥にとんでもない魔物がいる。




