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異世界なまけもの備忘録  作者: フトカワ
第四章 初めての討伐
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第38話 勇者、初討伐へ?

「しょうがないなぁ……で、依頼ってなんだっけ?」


「この近辺に生息しているゴブリンの討伐だよ。簡単な任務さ」


「簡単ならお前が代わりに行ってくれよ」


「えっこれって俺がおかしいの? お前が狂ってんの?」


「エデンが狂ってます王子。さぁこれは王からの命令でもあり、王子からの命令でもあるわよ。みんなで討伐しに行きましょう」


「え~めんどくさいなぁ……依頼書見せて」


「もう何日も前にあなたへ渡したはずよ」


「……あ、あの鼻かんだティッシュか」

「お前、この国を舐めてるだろ!」


「慌てんなってまだあるから。ん~と。あ、これだ」


 ゴミ箱から、鼻水でカピカピの依頼書を眺め、勇者は口を開く。


「なるほどなぁ。ここならなんとかいけそうだな。『千里眼』使うわ」


「なんなのよそれは。魔法?」


「ん~なんかスキルみたいなやつ。遠くまで視えるみたいな」


「あんたほんとに規格外ね。ズルいわよ特に努力もしてないのに」


「たくあん工場での壮絶な日々が今に生きているんだ。舐めるなよ」


「あんた窓際族で定時退社って言ってたじゃない!」


「じゃあ視てみるね~」


「無視しないでよ!」


 勇者はスキル『千里眼』を使用した。位置を想像するだけで大体の状況は掴める。ゴブリンが生息しているであろう洞窟を捉える。だが、そこにゴブリンはいなかった。いや、正確にはゴブリンはほぼ全滅していた。横たわるゴブリンをすり抜け勇者の目は奥まで視ようとした。しかし、最奥に大きな影を視たのを最後に『千里眼』は途切れてしまった。


「……ゴブリンはほぼ全滅しているな」


「なに⁉ それは本当か⁉」


「あぁ。そして、洞窟のさらに奥になにか巨大な影を視た」


「巨大な……影?」


「その魔物の力か、そこで『千里眼』は途切れてしまった」


「そんな馬鹿な……一体なにが……」


「まぁ、なにはともあれ。これで依頼達成ってことだな! よっしゃあ!」


「やりましたなぁ! エデンはん!」


「さすがエデン様ですわぁ! やはりエデン様が最強ですわよぉ!」


「ちょっと待て! そんなことを聞いて、みすみす行かないってことはないだろ⁉」


「なんでだよ。依頼はゴブリンの討伐だろ? 俺の『千里眼』で全滅だよ」


「さっき視ただけって言ってたよね⁉」


「えぇ~あれ結構やばいかもだよ~。結構おっきかったもん。田舎のショッピングモールぐらいはあったよ。しかも映画館も見られるとこ」


「なんだよショッピングモールって! さっきから知らないモノで例えるな!」


「えっ⁉ 映画も見られるなんて素晴らしいどすなぁ~」


「泳げる施設とかもあれば最高なのよね~。ああいうところは」


「なんであなたたち知っているのよ……」


「前、エデン様の記憶を上映してもらって見ましたんで!」


「凄かったわよ~! もう近未来って感じで!」


「……そう。もういいわ。で、その奥にいた影は相当でかいのね?」


「あぁ。俺でも勝てるのかどうか……」


「本当かしら……あなた平気で嘘つくから」


「行きたいのは山々だが、もう夜になっちゃったし、行くなら来週だなぁ」


「なんでだよ! 明日いけるだろ!」


「明日は重要なゲーム内アップデートがあるんだよ!」


「そうよ! 大型アプデなのよ! それは逃せないわ!」


「今夜は、朝までいきまっせぇ!」


「……ごめんなさい王子。私も参戦したいの。すっごい楽しみなアプデで」


「えっ? アネスまで?」


 王子は諦めた。しばらく、勇者宅へ居候することになった。

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