第33話 勇者、なんとか王を乗り切る
「勇者エデン。とりあえずなんとかなったわね」
「おい見ろよトモミチ! さっきのホワイトニング剣士の前歯落ちてるぜ! うわっ! 白いけど末端はやっぱりクッサいんだなぁ!」
「うわっ! 本当ですね。排水溝にニシンの塩漬け入れて八百日漬け込んだぐらい臭いですわぁ!」
「……いや普通にわかりにくいよ。ニシン食ったことない人いたらどうすんだ。な?」
「……すんまへん」
不安だ。こんなメンバーと過ごさないといけないと思うと心底嫌になったが、勇者宅へ戻り、漫画を読んでいたらすべての悩みは解消されていた。
――数日後、ポストに討伐依頼の紙が入っていた。エデンに報告する。
「王から討伐依頼が届いてますよ。まずは簡単な依頼からで『近くの洞窟に潜むゴブリンを殲滅せよ』とのことですって。いつ行く?」
「う~んそうだなぁ。とりあえず梨太郎電鉄百年やってから考えるか」
「百年⁉︎ それはえらい勝負に出ましたなぁエデンはん!」
「罰ゲームなににいたします⁉︎」
「そうだなぁ。俺が転移魔法でちょっとだけ魔王城に転移させるってのはどう?」
「うっひょ〜! スリル満点やないですか〜!」
「楽しみねぇ〜! 帰ってこれるかしらぁ〜」
「……ちょっと待ちなさいよ。転移魔法って魔王城まで行けるの?」
「えっ行けるんじゃない? 感覚的に距離とか関係ないと思うよ」
「だったら、遠いとか時間かかるとか関係ないわよね⁉︎」
「まぁ細々したことは置いといてさ、梨電やろうぜ!」
「エデン……あなた底抜けにめんどくさがりやね」
「違うって。みんなに危険を冒して欲しくないだけさ俺は」
「キャ~! さすがエデン様ねぇ。かっこいい!」
「わてらのことまで考えてくれてらっしゃるなんて懐大きすぎますわぁ……」
「……絶対嘘よそんなの! サボりたいだけでしょ!」
「おい。次あーちゃんの番だぞ」
「とりあえずこれだけね! 梨電終わったらとりあえず討伐依頼いくのよ!」
「でも、これ六十時間ぐらいかかるからなぁ」
「めっちゃかかるじゃないこれ!」
「行くとしても来月かな〜」
「そんな後にはならないでしょ⁉︎ もっと本気でやりなさいよ!」
「慌ててもしゃあないでっせあーちゃんさん。魔王はんは逃げまへんのやから。まったり行きましょうや〜」
「そうよぉ〜。エデン様のペースに合わせましょ!」
「……確かにエデンがいないと勝てないかもっていうのは本当のことね。しょうがないわね。付き合ってあげるわよ!」
――だんだんと、勇者宅で過ごす時間が楽しくなってきている私であった。




