第32話 勇者、野球を楽しむ
「……このマカロンブタが。本当にやる気か? かなり辛い競技だぞ?」
「大丈夫じゃ。目隠しでやらせてくれ」
「さらに自分に枷を増やすとは……上等だ。受けて立とう!」
目隠しで四つん這いになり、ギョロ美がボールを投げる。ロマーニ師は驚くべき聴覚でボールの軌道を読み取り、口で掴み取り歯が取れる。
そして、エデンが容赦なくケツバットをするも一切、声をあげず、耐え抜く。お尻がほぼなくなっていた。ロマーニ師に一点が入る。
「もう終わりブヒか?」
「……ったくこのブタ公ってやつはよぉ……」
そこから気づいたら夜まで続いていた。ボロボロになるまでロマーニ師は続けた。私や王。そして臣下や魔物までもその様子を見て引いていた。
「……アネスよ。なんか大変だのこんなところにいて」
「……自分がおかしいのか周りがおかしいのかもうわからなくなってきていますね」
「見て。あのロマーニの顔。大賢者とは思えないんだけど」
「……私は一体、彼のどこを尊敬していたんでしょうか」
「あの勇者の様子じゃ魔王城行くか分からんからさ、暇があったらこの辺の魔物の討伐依頼、山ほどあるからやってほしいんだよね」
「あっそれくらいなら全然やれると思いますよ」
「うん……なんか逆にごめんね。こんなところ任せて」
「……あっ全然大丈夫ですよ。少しだけ慣れてきたんで」
「おらぁ! そんなもんじゃないだろマカロン! 本気で喘いでみろよぉ!」
「あ、あひぃいいいいいん! エデン殿! そこをブチ殴りなはれ〜!」
「……こんな状況に慣れて大丈夫なの?」
「……まぁ私は今のところ害がないので」
「じゃあまた討伐依頼持ってこさせるから受け取ってね」
「あっはい。わかりました」
「それでは帰るぞ皆のもの! ロマーニ! いつまで野球しておる!」
もうロマーニ師は野球などしていなかった。ただ、エデンにバットでミット打ちにされていた。
「も、もう少しだけお願いいたします〜! 王からもわたくしめをぶってください〜!」
「……クアントゥス。ロマーニ失神させれる?」
「あっふぁい」
クアントゥスが普通に首を絞める。
「あぁこれはこれで苦しみを味わえ……っぐふ……」
ロマーニ師はこれからどう生きていくのだろうか。
「これにて我らは帰城する。勇者エデンよ。アネスに言伝を頼んだ。これからもよろしく頼んだぞ」
「はぁい。よく分からんけど気分で」
「……では退散だ。行くぞ皆のもの」
王一行は帰って行った。とりあえず、私や勇者エデンはこれからもこの国で過ごす許可が出たみたいだ。




