第31話 勇者、さらに王からむしり取る
私は、先ほどの勇者エデンの言葉を聞いて感動していた。
私と同じようにマルクス王も感動したようだった。
「勇者エデンよ。先ほどの話感動したぞ。まさか、ただ遊んでいるだけじゃなく寄付まで行なっていたとは」
「うん。まぁ間違ってはないんだけどね。寄付という名の『金貸し』だね」
「……いまなんと?」
「いやだから『金貸し』だって。モノは言いようだからさ。金貸しって言わば寄付みたいなもんじゃん。逃げられる可能性もあるし。まぁ勇者金融は地の果てまで追い詰めるんだけど」
私は確認のために、もう一度聞き返した。
「……普通に嘘ついてない?」
「嘘ではないよ。本当のことだよ」
「………………もう好きにしてちょうだい」
私は、勇者に期待することを諦めた。
王が口を開く。
「勇者エデンよ。初めて名前を聞いた。守護天使様がいらっしゃったということは本当に転生勇者であることがわかった。改めて魔王討伐の方、よろしく頼んだぞ」
「まぁそれは気分で行くか、行かないかその日によるんだけどさ、今まで散々疑ってたよね? その償いとかってある?」
「……いやそもそも城まで来てほしいと言ったのはわしなのだが」
「いやぁ〜それはそちらさんからこっちに来ないと! 頼んでる側なんですから」
急に偉そうな態度になった。守護天使様の登場で信じざるを得なくなった王をこれでもかとなじる。
「……それはすまなんだ。確かにお主を疑っておったことは謝る」
「大層な剣使いまで寄越してきて肩めっちゃ痛いっすからね! 聖剣使うと」
そんなことはない。何回か聖剣を使った場面を見たがその後、肩を痛そうにしている仕草は見受けられなかった。エデンは真っ赤な嘘をついている。
「……本当にすまなんだ」
「こりゃダメだ。誠意としてまた少し月給を上げてもらわないといけないですねぇ……」
「いや、なんでそうなる⁉︎ 充分に金貨は渡しておろう⁉︎」
「まだ貧民街の人たちを救うにはお金が足りなくて(勇者金融がまだ赤字で)」
「……わかった。わしが悪かった。もう少し月給を増やそう。これでよいか?」
「ありがとうございます。じゃあ最後はみんなで野球をしよう! じゃあ口で掴む役は……」
「わては勘弁でっせ! もう口も、お尻も終わりやぁ!」
「えぇ~! じゃあ消去法でごーちゃんにやってもらうしか……」
「ダメよ! さすがに王様にそれは酷だわ! この国で生きていけなくなる!」
「えぇ~別にいいじゃぁん。他はそこにいるホワイトニング剣士かぁ……じゃあこいつでいこう!」
「いふぇるか! まへばおれへんやほ!(いけるか! 前歯折れてるんだぞ!)」
「根性みせろよなぁ〜。じゃあもう野球はやめる――」
「待つのじゃ。ワシにやらせてもらえんかのぉ?」
名乗りを挙げたのはロマーニ師だった。ただの拷問好きなブタだった。




