第28話 勇者、ボコボコにする
「あーちゃん。一応聞くけど、こいつは真っ二つにしてもいい感じなのかな?」
「初っ端で聞く質問にしては血生臭すぎるわね……なるべく生きて帰してあげて」
「え〜うるさいから真っ二つにして銅像にして壁に埋め込んで、半分埋まった人とかやりたかったのにな〜」
「発想がサイコパスすぎるわよ……」
「なにをごちゃごちゃ言っている! 早く剣を構えろ!」
「はいはい。よいしょっと……」
お互いに剣を構えた。間合いを取り合い、お互いを見つめる。
「俺、攻撃しないから、そっちから攻撃してきて」
「……お前どれだけ俺を舐めているんだ?」
「舐めてないよ。絶対弱いし。お前」
「……もういい。お前とは会話をしない。俺の剣撃を受けてみろぉおおおおおおおおお!」
クアントゥスは大剣をこれでもかと何回も振りおろし勇者の剣を叩き折ろうとしたが、どんなに攻撃しても剣には傷一つつかなかった。いや、つけることなどできないのだ。
「な、なんだこれは! どうなってる……なんで折れない!」
「これ聖剣だからね〜。なんか折れないみたい」
「聖剣……だと?」
クアントゥスでも聞いたことはあった。選ばれたものだけが持つことを許される聖剣。ただの伝説だと思っていたが、実在しているとは思わなかった。
「もういい? じゃあ次は俺な」
勇者は聖剣をおろし、クアントゥスの剣を真剣白刃取りしてみせた。そして、なんなく剣を力で叩き折った。
「……えっ?」
「このホワイトニングマンがぁあああああ!」
拳でボコボコにした。クアントゥスは自慢の前歯がほぼぜんぶ折れた。
「待て勇者よ! おぬし反撃しないはずでは⁉︎」
「いや、剣で攻撃しないって言っただけですよ。そんなん抵抗するで? 拳で」
「……ひょ、いふぁすぎる。ふぁおれふぁっふぇ(ちょ、痛すぎる。歯折れたって)」
「すまんな……あーちゃんがどうしてもやれって……」
「だから言ってないわよ! また人のせいにして!」
「ごーちゃんとりあえずわかってくれた? 一応、聖剣とか出せるし、王国剣士だか、ホワイトニング剣士だか、知らないけど多分全員でかかってきても俺の勝ちかもしれんぞ」
王は言葉を失った。クアントゥスの協力の元、勇者を冒険に行かせたかったが、こうもあっさり敗れ去るとは思っていなかったらしい。




