第26話 勇者、アネスに全任せ
「王よ。アネスでございます。ご報告遅れてしまい申し訳ございません」
「どうなっておるのだアネスよ! 城にも戻ってないと聞いておるぞ。その度に、このロマーニをいじめたおすことしかできんのだ。一体なにをしておるのだ!」
あれだけ荘厳だったロマーニ師の姿はもうなかった。髪と立派な髭もすべて剃られ、奴隷のように王を上に乗せ、目隠しをされながらブヒブヒ喋るだけのブタになっていた。
「はっ。この通り、私たちは魔王城への冒険に向けて準備をしております。装備の準備だけでなく心身を鍛えることもしており、この魔物たちは我々が使役しております。こやつらを相手に修行をして冒険の厳しさを痛感している最中です。我々にもう少し時間をくださいませんでしょうか?」
「準備期間与えてからどのくらい経っておると思っておる?」
「……二ヵ月ほどでしょうか?」
「うん全然違うね。半年経ってるよ?」
信じられなかった。アネスはこの半年間、こいつらとなに一つ準備など進めていなかった。
「で、ですが見ての通りグールや半魚人の魔物をこのように従えております。共に冒険へとはせ参じることになっております」
「なにをゆうてんねん、あーちゃん。わてらはこれでも魔王側でっせ」
「そうねぇ……勇者様と一緒に行きたいのは山々だけど、私は家の問題もあるし、わからないのよねぇ」
「……話と違うでは無いかアネス?」
「……その時は勇者協力のもと、強制的に従えさせます」
「んなアホな! それはずるいでっせ!」
「洗脳魔法だけはやめなさいよぉ! あれはヤバいんだから!」
「……勇者ってそんなこともできるのかい? それができるのであれば指名手配ものじゃが……」
ロマーニ師が目隠しをしながら喋った。
「なに急に喋ってんだマカロン!」
「あ、ああああああああああああああ!」
ロマーニ師に、どうやら勇者が電流を流した。
「マカロンが変なこと言っていたが、そんなことはしないぞ。手が滑らない限り」
「お主やる気じゃろ⁉︎ そもそも、お前は本当に転生勇者なのか?」
「う〜ん……そう言われてもなぁ。どう証明しようか。この世界からグール全滅とかやってみる?」
「ちょいちょいちょい! それは堪忍しておくれやぁ! さすがにわてら不憫すぎますってぇ!」
「そうだよなぁ。それはやりすぎだよ、ごーちゃん」
「わしはなんにも言っとらんわ! 今回はただ訪問しに来ただけではないぞ。お主が本当に勇者かどうか、証明してもらいたくての……」
王の後ろに満を持してと登場してくる人物がいた。クアントゥスだ。




