第20話 勇者、奴隷を確保する
「その通りですわぁ……この羽衣さえあればわてに逆らうグールはおりませんわぁ!」
「じゃあとりあえず、これからあんな数でうちに来られるのめんどいし、君臭いからさ。その辺のグール統率してきてよ。それで、逆らえないようにしてきて!」
「ところどころ暴言があったような……でも、まぁそれでいいでっしゃろ」
「よし契約成立。じゃあ、ちょっと向こうのほう見といて」
「えっなんかありますのん?」
その間に、俺は高速でグールの背中に奴隷紋を刻み込んだ。これで俺に逆らうことや反抗的な態度を見せれば、即座に失神するほどの痛みが発動する仕組みだ。
「あ、あんさぁん⁉ 今、奴隷紋みたいなん刻みませんでした⁉」
「ん? 気のせいじゃない? 背中にどんな文字書いたか当てるゲームしただけだよ」
「いや、そんなもんじゃなかったでっせ⁉ 文字というより紋章のように感じましたぜ⁉」
「なに? 反抗の意志ってことかな?」
「反抗というか……我らは対等って感じじゃないんかのぅ?」
「違います」
「……わしってほぼ奴隷?」
「ほぼっていうか、奴隷になりました。今」
「われぇグール舐めすぎやあ! そんな甘ないで世の中ぁあああああ!」
と、襲い掛かろうとした瞬間、もうグールの意識は飛んでいた。
次に目を覚ましたのは一時間後だった。
「おはよ~。これで色々わかったよな? じゃあとりあえずその辺の床水拭きしといて。お前の身体なんかネバネバして汚いからさ」
「あっ、はぁい! やっときますわな」もう逆らうのをやめた。
「あと、区別のためにお前の名前考えといたよ。『きもい納豆』略して『キモナツ』か、友達で一番汗がネバついてた『トモミチ』か、どっちがいい?」
納豆がなにかはわからないが、あだ名に『キモイ』が入るのはプライドが許せなかった。
「じゃ、じゃあ『トモミチ』でええですわ……なんか癪にさわるけれども」
こうしてトモミチは仲間になったかのように思えた。だが、トモミチはまだ魔物としての意地があり、なにも諦めていなかった。
トモミチはある者と戦線協定を組むことにした。それが半魚人だった。魔物として勇者を倒すことを互いに約束した。
トモミチは勇者を海岸へ呼び出し、ビーチバレーを提案した。昼過ぎまで寝ていた勇者は快諾し、早速ビーチへ来た。それにしても、この勇者はなぜこれほどまでに暇なのかと感じた。
「よっしゃ〜。負けた方は罰ゲームで海水五リットル一気飲みの刑なぁ~」
「結構、ヤバい罰ですなぁ……絶対、負けられまへんなぁ!」
グールたちは笑顔で従っているふりをしていだが、これは罠だ。すでに海岸近くには半魚人の大群が待機していた。
「あっ、しもうた! 結構なところまでボール飛ばしてしまいましたわぁ! 勇者様。とってかてもらえますかのぉ!」
「嫌だよ。ミスしたのお前なんだからお前がいけよトモミチ。あと、お前たちが触るからボールベタベタすんだよ」
「……そ、そうですわなぁ! それは気がつかんで済まんかったですわぁ! わてが取りに行きます」
ボールを海岸近くまでとりに行くが、トモミチのはらわたは煮えくり返っていた。待機していた半魚人のギョロ美が囁く。




