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異世界なまけもの備忘録  作者: フトカワ
第二章 勇者の転生
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第20話 勇者、奴隷を確保する

「その通りですわぁ……この羽衣さえあればわてに逆らうグールはおりませんわぁ!」


「じゃあとりあえず、これからあんな数でうちに来られるのめんどいし、君臭いからさ。その辺のグール統率してきてよ。それで、逆らえないようにしてきて!」


「ところどころ暴言があったような……でも、まぁそれでいいでっしゃろ」


「よし契約成立。じゃあ、ちょっと向こうのほう見といて」


「えっなんかありますのん?」


 その間に、俺は高速でグールの背中に奴隷紋を刻み込んだ。これで俺に逆らうことや反抗的な態度を見せれば、即座に失神するほどの痛みが発動する仕組みだ。


「あ、あんさぁん⁉ 今、奴隷紋みたいなん刻みませんでした⁉」


「ん? 気のせいじゃない? 背中にどんな文字書いたか当てるゲームしただけだよ」


「いや、そんなもんじゃなかったでっせ⁉ 文字というより紋章のように感じましたぜ⁉」


「なに? 反抗の意志ってことかな?」


「反抗というか……我らは対等って感じじゃないんかのぅ?」


「違います」


「……わしってほぼ奴隷?」


「ほぼっていうか、奴隷になりました。今」


「われぇグール舐めすぎやあ! そんな甘ないで世の中ぁあああああ!」


 と、襲い掛かろうとした瞬間、もうグールの意識は飛んでいた。

 次に目を覚ましたのは一時間後だった。


「おはよ~。これで色々わかったよな? じゃあとりあえずその辺の床水拭きしといて。お前の身体なんかネバネバして汚いからさ」


「あっ、はぁい! やっときますわな」もう逆らうのをやめた。


「あと、区別のためにお前の名前考えといたよ。『きもい納豆』略して『キモナツ』か、友達で一番汗がネバついてた『トモミチ』か、どっちがいい?」


 納豆がなにかはわからないが、あだ名に『キモイ』が入るのはプライドが許せなかった。


「じゃ、じゃあ『トモミチ』でええですわ……なんか癪にさわるけれども」


 こうしてトモミチは仲間になったかのように思えた。だが、トモミチはまだ魔物としての意地があり、なにも諦めていなかった。


 トモミチはある者と戦線協定を組むことにした。それが半魚人だった。魔物として勇者を倒すことを互いに約束した。


 トモミチは勇者を海岸へ呼び出し、ビーチバレーを提案した。昼過ぎまで寝ていた勇者は快諾し、早速ビーチへ来た。それにしても、この勇者はなぜこれほどまでに暇なのかと感じた。


「よっしゃ〜。負けた方は罰ゲームで海水五リットル一気飲みの刑なぁ~」


「結構、ヤバい罰ですなぁ……絶対、負けられまへんなぁ!」


 グールたちは笑顔で従っているふりをしていだが、これは罠だ。すでに海岸近くには半魚人の大群が待機していた。


「あっ、しもうた! 結構なところまでボール飛ばしてしまいましたわぁ! 勇者様。とってかてもらえますかのぉ!」


「嫌だよ。ミスしたのお前なんだからお前がいけよトモミチ。あと、お前たちが触るからボールベタベタすんだよ」


「……そ、そうですわなぁ! それは気がつかんで済まんかったですわぁ! わてが取りに行きます」


 ボールを海岸近くまでとりに行くが、トモミチのはらわたは煮えくり返っていた。待機していた半魚人のギョロ美が囁く。

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