第2話 勇者、登場?
早速、浮遊し家の中を覗いてみた。その家の全貌が垣間見えた。家の外庭には湖のように広い水場があり、泳げる設備が併設されていた。家は二階建ての超広々とした大豪邸。この世界の家屋とは比べ物にならないぐらい、いや見たこともないデザインだった。
……ついに人を見つけた。外のスペースで大きな椅子に寝そべり日光浴をしている。耳にでかい装置のようなモノをつけ、黒い眼鏡を着用している。
中空から、その男に大声で『ここに勇者はいるかー?』と尋ねるも全く聞く耳を持たない。というより、聞こえていないように見えた。仕方なく、その男の横に降り立ち、存在をアピールした。どうやら建物の上には魔法障壁はなかった。
「そこの者。私は賢者アネス。ここの家に勇者がいると聞いたのですが――」
その途中で、その男が急に大声を出した。
「ぎゃあああああああああああ! 曲者おおおおおおあおおお!」
そして、急に、剣を空間から取り出し手に取った。
「喰らえ! これが聖剣エクスカリバーだああああああああ!」
振り下ろした瞬間、私の横を大きく切り裂くとんでもない斬撃の衝撃波を繰り出した。家の壁が半壊し、大きく広がる海が見える。
私は、呆気にとられ避けることすらままならなかったが、当たっていたら即死だった。
「……あんたなにやってんのよ! 今、完全に殺す気だったでしょう⁉」
「はっ? なに言ってんだお前! 次は当てるぞ!」
「まず耳のやつ取りなさいよ! それで聞こえてないんでしょ!」
装置を取れという動作をするも。
「なにを急に手話してんだ⁉ 俺にそんなのは通用しないぞ!」
「なによ手話って⁉ だから、取りなさいって!」
無理矢理、耳の装置をとった。すると、耳毛が大量に生えていた。
「いやぁああああああ! 知らない女性に耳毛見られたああああああああ」
「切りなさいよ! というかその変な装置のせいじゃなくて、耳毛のせいでも聞こえづらかったんかい! 燃やしてるやるわよそんなもの!」
私は火の魔法を唱えようとした。だが、それを察したのか耳毛が意志を持ったように引っ込んだ。
「あっ耳毛引っ込む魔法使ったんで大丈夫です」
「なんなのよその魔法! まぁいいわ……それでその黒い機械はなに?」
「本当は『ヘッドホン』って言うんだけど、お前みたいな凡人には分からんだろうな」
「誰が凡人よ! 私はこう見えても賢者なのよ!」
「……被験者か。大変だな。治験のバイトでもしてるのか?」
「あんたさっきからなに言ってんのよ! 会話できてるのこれ⁉」
「で、その患者様が一体、なにの用でしょうか?」
「違うって言ってるでしょう⁉ あなた本当に何者なの⁉」
こいつでは話にならないと思った私はこう言葉を続けた。
「ここに、勇者様がいるって聞いたのよ。どこにいるか教えてくれる?」
「なんだそんな事か。足裏が臭い人には教えない規則になってるんだよ」
「遠回しに足臭いって言ってんの⁉ 本当に失礼な人ね! 私を誰だと思って……」
そんな会話をしていると、家の奥からやけにいい服を身にまとったグールが現れた。




