第13話 勇者、条件を示す
「な……なぜ俺の趣味が『おじさん観察』でよだれを垂らしていたことを⁉」
「よだれ垂らしてるんだ……そこまでは知らなかったよ。まぁ要するに守護天使はいつも君を見ていて、悪しきものとか、身の回りの危険から守ってたんだよ」
「キショいっすね」
「基本、守護してたんだよ⁉ もうちょっと褒めてくれない?」
「だったら、今回も守れよクズエルが」
「めちゃくちゃ暴言吐かれてる……。今回はちょっと目を離した隙に死んじゃったんだよね」
(実際は、ソシャゲに課金していて見てなかったなんて言えない)
「まぁ要するにボケエルが課金している間に死んじまったってことかぁ」
「なんで心の声聞こえてるんだよ! 本当にごめんなさい!」
「まぁいいや。で、俺はどうなるんだよ」
「今の君の人生だと、地獄行きは確定しているんだけどぉ~」
「はっ? なんでこんな善良な俺が地獄なんだよ。地獄はお前だろ」
「私は地獄ではないですよ⁉ まぁ聞いてよ。今回は私の不手際もあるから君には転生チャンスがあります!」
「転生チャンス?」
「そう。なんと私は転生させることができるんだよね。それで本来なら地獄行きのところを異世界に転生させてあげることができるんだよ」
「そうなんだ。丁重にお断りしようかな」
「いやなんでだよ! 絶対そっちの方がいいでしょ⁉ 地獄行きたくないでしょ?」
「なんかお前のうさん臭い顔が嫌なのと、なにか裏がありそうだし。そもそも本当に地獄なのか分かんないし」
「なんでこんなに嫌われてんの⁉ とりあえず最後まで聞いてよ。転生したらファンタジーの世界でなんとあの勇者に転生できます! 魔王を討伐したら永遠に語り継がれること間違いなし! 裕福な生活も一生、堪能できるんだよ」
「そんなぁ……僕みたいな未熟者に勇者なんてできませんよぉ……最初から特別な魔法とかめっちゃ強い剣とか使えるなら考えますけど……」
「大丈夫! そういうのは冒険を進めていって……えっ最初から⁉」
「当たり前じゃないっすかぁ……自分たくあん工場の人間ですよぉ……たくあんから勇者ってどんだけ夢物語なんだっつーの。甘えてちゃダメなんですよ。あと、最初から前世のモノならなんでも具現化できる能力とかそういうのがないとできませんよ!」
「そうだよね。確かに難しいかもだけど……って具現化⁉ そんなの勇者でもなんでもないじゃん! 甘えちゃいけないって言いつつめっちゃ甘えてない⁉」
「……やっぱりそうですよね。僕みたいなグズマヌケたくあん人間じゃなにもできないってことですよね……あなたの言いう通りですよ。人はそう簡単には変われない。大人しく地獄に行きますよ! 嫌だなあああああああぁああああぁぁぁあああ」
「わ、わかった落ち着け! そこまでは言ってないから。なるべくそんな感じで転生できるようにするよ。それで許してくれ」
「うん。わかった。じゃあそうしろよ。一個でも能力少なかったら許さんからな」
「えっ……二重人格じゃない君? わかったよ……その条件で転生ってことでいいね?」
「よっしゃー。うれぴーな~」
だが、ハマエルは炎乃富士に隠していたことがあった。




