攫われます!
「ルナ様!アリス!」
黒は人影になりました。
人の筈なのに全く顔や体全体がぼやけてよく分かりません。
「フィーナ!助けて!」
ルナ様は私に向かって手を伸ばします。
「きゃぁ!何なの!」
アリスはルナ様と少し離されて髪を引っ張られています。
「今、助けますから、動かないでください!」
「無~理〜!」
…アリスは大丈夫そうですね。
拘束も緩んでいるようですし。
横目で確認した後、ルナ様に向かって走り出します。
スカートの中に隠していたナイフを抜き放ち一閃を放ちます。
黒い人が少し仰け反ったすきにルナ様を取り返します。
「ルナ様、大丈夫ですか?」
「えぇ、フィーナが助けてくれたから。」
「それでしたら、良かったです。
さて、ルナ様、ソラのところまで逃げられますか?」
「えっと、ソル兄様?」
「ああ、そうです。」
少し黒い人を気にしすぎたのか、名前をいつものように呼んでしまいました。。
黒い人はこちらの様子を伺っています。
「ルナ様、今すぐ逃げてください。」
「フィーナは?」
「残りますよ。ただでは逃してくれないようなので。」
「でも…。」
「主人を守るのはメイドの役目です。もちろん、時間を稼ぐのも。
それに、ルナ様がここにいては邪魔です。」
心を鬼にして言います。
ルナ様は少し傷付いた顔をします。
…ごめんなさい。でも、こう言わないとルナ様は逃げてくれないでしょう?
「分かったわ。
でも、フィーナ、絶対に帰ってきて。私の元に。
これは、命令ですわ!」
「ルナ様の御命令のままに。」
その言葉に思わず頬があがります。
ルナ様がいつの間にかに解放されていたアリスとソラがいる方向に向かって走り出したのを見届けて、私は黒い人達に意識を集中させます。
「申し訳ございませんが、ルナ様の憂いになるものは排除させていただきます!」
そう言って短剣を構えると黒い二人が襲ってきます。
流石に2対1で相手は技量が相当高いため、苦戦します。
お互いに擦り傷を作りながら戦います。
顔などは、ぼやけているのに傷は付いていることが分かるという変な感じです。
相手が短剣しか持っていないため相手になってきますが、長剣が出てきたらどうなることでしょう。
キンっ!
髪を掠ってしまって髪の毛が解けてしまいます。
カシャン…。
いつも私が付けていた簪が落ちた音が聞こえた瞬間髪の色が白金になりサラサラと落ちてきます。
「白金の髪だ。」
「捕らえなければ。」
「魔王様に捧げろ。」
急に黒い人達が話し始めます。
急に足元にあった黒い影が勝手に動き出しました。
「っ!」
私の足に絡まり付き体が沈み込んでいきます。
嫌だ…。怖い…!
そんな、訳の分からない恐怖心が湧き上がってきます。
嫌だ…嫌だ、怖い、怖いよ!
助けて…
「ソラ!」
「フィーナ!」
もう残すところは上半身だけです。
それでも、必死に手をソラに伸ばします。
あぁ、間に合いそうにありません。
「いつか、助けに来てね。ソラ。」
ソラに聞こえたでしょうか?
最後に見たのは必死に私の名前を叫ぶソラです。
影に沈んだ先は真っ黒の闇。
ソラ、私は我慢するのと待つことはなれてるんです。
だから、いつか、きっと…




