ソラ視点です!
「お兄様!フィーナが!」
ルーネが悲鳴のような叫びを上げて俺の胸に飛び込んできた。
「ルーネ、どうした?」
「あのね!急に黒い影が現れて、それで!何か攫われそうになって!」
黒い影?拐われる?
まさか!
「ルーネ、アリス、ここにいろよ。護衛の者たちがいるから一番安全だろう。」
ちなみに俺はアリスが転生者だということを知っている。
フィーナのときと同じで目を合わせた瞬間分かった。…しかし、まさか幼馴染がヒロインに生まれ変わっているとは思わないだろう…!
一瞬、ニヤッってした事は忘れないからな!?
でも、フィーナの話を聞いた限りでは天使の使いだとか…。…分からないな。
走って、走ってやっと辿り着いたその場所では、フィーナが影に沈み込んでいた。
どういうことだ!?
「ソラ!」
そんな、フィーナにしては珍しい大きな声で俺の名を呼ぶ。
その声には裏を知っているフィーナが言ったとは思えないくらいの恐怖が宿っていた。
「フィーナ!」
思わずそう叫び返し、俺に手を伸ばすフィーナの手を掴もうとするが、届かない。
「いつか、助けに来てね。ソラ。」
『いつか、会いに来てね。宙。』
そんな言葉が微かに聞こえると同時にトプンッというようにフィーナが沈み込んだ。
いつかのときの記憶が蘇る。画面越しに会話した顔も知らない彼女の最後の言葉。
あぁ、彼女は……誰だ…?
あぁ、でも、それより、フィーナが!
全力で走るが黒い人達に襲いかかられる。
まだ、フィーナが沈んだ影は消えていない。
はやく!はやく!その場へ!
キンッ!キンッ!
腰に差していた剣で応戦する。
しかし、相手も手強い。俺は、フィーナを助けたいんだ。だから、邪魔だ!
「どけ!!」
俺は自分が傷つく事を気にせずに前に進む。
あと少し、…!
段々と影が小さくなっていく。
「ああ!邪魔だ!どけ!」
俺の中から何かがドロリと出てくる感じがする。
「何だ。」
「まさか、天使か。」
「魔王様に報告。」
そして、目の前で影が完全に消えてなくなる。
そして、周りの音も無くなる。
そして、人も何もいなくなる。
「ああぁァァ!」
いつもは制御出来る感情が制御出来ない。
俺の中からさらにドロリ、ドロリと何かが出てくる。
間に合わなかった事で全てが終わってしまったかの様な絶望と喪失感が心を占める。
俺は、そのまま気を失った。
黒の男性と白の女性がいる。
「ふむ、やっぱり俺の力は強すぎたか?
いや、前世と少し似ていたからか。まぁ、いいか。説明に行ってくる。」
「分かったわ。行ってらっしゃい。」
バサリと音がなるとそこには白の女性しかいなかった。そして、ふわりと黒い羽が一枚落ちた。




