第52話 モーニングは『カフッフェド・ムッシュ』で
“サクッ”
“もしゃもしゃ……”
「う~ん。甘~い♪」
私の定番は、喫茶『カフッフェド・ムッシュ』のモーニング。
ここの姫路アーモンドトーストがお気に入り。
サクサクトーストに、香ばしくも甘いアーモンドバターのハーモニーがたまんない。
お焦げとアーモンドの粗挽きのつぶつぶが、いいアクセントになってるんだもの。
これは全世界に伝えるべき味だと思う。
トーストを一口食べるとコーヒーでお口直し。
アーモンドバタートーストの甘さにコーヒーのほろ苦さがブレンドされて至福の味わいである。
(それにしても……)
お兄ちゃんはクリスちゃんと上手くやっているのだろうか。
ここ最近、急に男らしくなってきたけれど、自分の中では圧倒的に頼りないイメージが離れない。特に女の子のことになると、ホント情けないんだから。
クリスちゃんのことを大切にしている気持ちはわかるけど、あれだけ好意を寄せられていて、これまで何もなかったなんて、我が兄ながらどうしたものか。
そういう自分も、いまだ男の人とちゃんとお付き合いしたことが無いのは、絶対に秘密だ。
「さてと」
今日はいよいよ最終面接。
東京から淡路島に本社を移転したとある大手企業の面接が午後に控えている。
◆
「よし‼ 今日もカワイイ❤」
鏡の中の笑顔もばっちり。
メイクもノリがいいし、何だかいけそうな気分……でもないか……。
いざとなると自分は本当にこれでよかったのかと、自信が持てない自分がいる。
「もう、うじうじしないで、スパッと決めちゃおう。お兄ちゃんじゃあるまいし」
ジーンズとパーカーを脱いでリクルートスーツ手に取る。
すると……。
その時、押し入れの引き戸がすっと開いた。
「沙樹! お前、また来たのか?!」
「それはこっちのセリフよ! これから就職試験だってのに、何してくれんのよ! バカ兄!」
「痛っ、お前、何スーツ投げてんだよ!」
「……ああ~っ‼ やっぱり外に出られないじゃん! 私、これから第一志望の最終面接なんだよ。どうしてくれるのよ!」
「いや、どうと言われても……」
◆
もしやと思って襖を開けると、またもや下着姿の沙樹がいた。
この騒ぎにクリスとキュイたちがやってきた。
「どうされました? ああっ、沙樹ちゃん!」
「キュキューイ」
「キュー♪」
沙樹は飛び込んできたキューを受け止めると、スライム越しに白の上下が水色のそれに変わった。ただ兄としては、妹の下着などまったく嬉しくないのだが。
「なに見てんのよ、ヘンタイ‼」
「誰がお前の水色のやつなんか見るか‼」
「あっ、やっぱ見てるじゃん、サイテー‼ どうせ私のいない間、クリスちゃんと変なことしてたんでしょ」
「へ、変なことって……」
「はうう……」
「もうこうなったら、お兄ちゃんには責任取ってもらいますからね‼」
「責任って?」
「だから、私の就職先よ‼ まさか『洞窟亭』に就職しろって言うんじゃないでしょうね‼」
エライ剣幕で俺に詰め寄る沙樹なのだが、なんだか口調とはうらはらにうれしそうに見えるのは、気のせいだろうか。……ていうか、まず服着ろ‼
おしまい
「お兄ちゃん、ちょっとちょっと」
「何だよ沙樹」
「この後もSSあるんでしょ」
「シャーマン様、私も読ませて欲しいです~」
「ほら、お兄ちゃん、クリスちゃんも言ってるよ」
「引き続き、ご愛読宜しくおねがいします~♪」
「ちょっとクリスちゃん耳貸して」
「おまえまたいらんこと吹き込むんじゃないだろうな」
「え、そ、そんな……は、はうう~」
と、いうわけで、この後も引き続きご愛読の程、よろしくお願いします‼




