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さぬき製麺丸亀店、異世界ダンジョンで営業中です  作者: 七生(なお)。


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第42話 幕間 長州名物瓦そば

「お兄ちゃん、実は、私の部屋からこんなの出てきたんだけど」

「あ。これって……」


この日、店を閉めたタイミングで、沙樹が持ってきたのは茶そばの乾麺。クリスに部屋を掃除してもらった時に見つけたらしい。賞味期限は今月いっぱい。一袋しかないが、今晩の夕飯には十分な量である。


「沙樹、ギルドに瓦みたいなのあったよな。メスカルさんのとこに行って分けてもらえないかな」

「え~っ。そんなの何に使うの……って。あっ、そうか! お兄ちゃん私行ってくる。やったー‼ 私大好きなんだ♪」

「頼んだぞ」

「任せといてよ。うししし……」


この沙樹の顔。何やらよからぬことを企んでいるような気がする。

沙樹が、出かけて間もなく、クリスが二階から降りてきた。


「あ、あの、セトーミ様。沙樹ちゃんにエプロン着せてもらったんですが、何だかスースーするんです」

「え……」

「ちょっと待った~っ‼ エプロン、は下着の上に付けるものじゃないぞ‼」

「はうう……」


全く。沙樹の奴、何てこと教えてんだ。

俺は、クリスを着替えさせ、二人で夕飯の支度に取り掛かったのだった。



「セトーミ様。まずこれを茹でるのですね」

「いや先に具材をつくるんだ」


 俺はフライパンで錦糸卵を手早く造りつつ、隣のコンロで牛肉の細切れを煮込んでいく。


「クリスは、大根おろしと紅葉おろしを頼むね」

「はいっ」

「あとレモンも切っといて」


 錦糸卵と牛コマ煮込みが出来上がると、いよいよ茶蕎麦の出番だ。初めて見る深緑の乾麺に興味津々のクリス。


「緑のパスタなんて初めてです。いい香りですね~」


 時間きっかり茹でた後、水洗いしてぬめりを取ったらざるにあげる。

 

 フライパンに火をつけたとき、沙樹が帰ってきた。持って帰ってきた瓦は、日本のモノにそっくり。よく洗えば十分使えそうだ。



「さあ出来たぞ」

「やったあ」

「こんなお料理、初めてです~♪」


 今回の料理は長州名物瓦そば。


 熱した瓦に茶そばを乗せ、全体をこま切れ牛肉が覆っている。輪切りレモンには、大根おろしやもみじおろしが付いており、目にも鮮やかだ。


「ず……っ。ずばっ、はふっ。熱っ」

「もう、お兄ちゃん、がっつきすぎ」

「好きなんだからしょうがないだろう」

「まあ妹の大好物を覚えていたから許してあげるか」

「私も初めてですが、大好きになりました~‼」


 茹で焼きされた茶蕎麦は、外はカリっと中はジューシー。それに牛肉の甘い脂がコーティンされているが、瀬戸内レモンであっさりと食べられる。

これを、あったかいつけ汁に浸して一口……。

もう箸が止まらない。


「お兄ちゃん最高だよ」

「セトーミ様、おいしすぎます~♪」

「山口に出張した俺に感謝するように」

「ええっこれ、お兄ちゃんのお土産だったっけ?!」

「おい、何忘れてんだよ!」

「許してにゃん☆」


「お、お前って奴は……」

「でもでも、おいしすぎまふ~♪」


 せっかくのお土産を忘れられていたことは腹立たしかったが、クリスの笑顔に免じて許すことにしたのだった。

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