第39話 幕間 聖女はブルマがお気に入り
「セトーミ様、どうでしょうか」
ガスパウロの妹の結婚披露宴の翌日。
二日酔いでうなされていた俺の前に、体操服姿のクリスがやってきた。
上は俺の白の半袖体操服なのだが、下は……。
「なんだか、急に恥ずかしくなってしまいました」
ブルマ姿のクリスが、両手を後ろに組んで体をもじもじさせている。顔だけでなく下半身もほんのり桜色に染まっている。
注文していたものが出来上がったので早速履いてみたらしいが、サイズはこれで適正なのだろうか? くい込み具合からすると、少し小さめのような気がする。
「どお? お兄ちゃん」
「……え?」
「なに、見とれてるのよ!」
しまった。あまりの可愛さに思考が停止してしまっていた。
王都でたまに見かけるビキニアーマーより露出度は低いのに、こちらの方がよほどいけない気がする。いや、この姿を世間に晒すのは絶対に危険だ。
「クリスちゃん、色白で可愛いからとってもよく似合ってるでしょ。下着も小さいやつ新調したんだよね~っ♪」
「さ、沙樹ちゃん! 下着のことは内緒ですっ!」
「……で、お兄ちゃん。これからどうするの? 帰るまで少し時間があるから、クリスちゃんはこの格好のままお買い物に行きたいって言ってるんだけど」
「絶対ダメだ~っ!!」
「ダメだって、クリスちゃん」
「は、はい……」
「要するにお兄ちゃんは、クリスちゃんを自分だけで独占したいんだ。やらし~い」
「バカ。クリスがこの格好で外を出歩いてみろ、この前みたいにさらわれたらどうするんだ」
「お兄ちゃんが守ってあげればいいでしょ。伝説のシャーマン様なんだから!」
「いろんな視線に晒されるだけでも危険なんだよ!」
「ふうん。他の男には見せたくないわけね。確かにこんな風にガン見されちゃ、クリスちゃんも恥ずかしいかもね」
「え?」
「お兄ちゃん、気付いてないの? 男のチラ見は女のガン見なんだからね!」
「キュイッ、キュ~」
「キュイも女の子だから、気持ちわかるよね」
「キュイ~」
「そうだ」とばかり飛び跳ねたキュイを、クリスが両手で受け止めた。
ちょうど俺から見るとクリスの腰の位置である。そしてクリスの黒い布地は、キュイの水色の体を通して紺色に見える。
黒もいいが、紺もなかなか……。い、いや。待て待て。同じ過ちを繰り返すものか。
俺はあくまでチラ見を心がけながら、クリスに上からジャージをはいてもらうようお願いしたのだった。




