表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さぬき製麺丸亀店、異世界ダンジョンで営業中です  作者: 七生(なお)。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
35/58

第35話 幕間 えびめし

「沙樹様、お部屋のお片付けがございましたら、お手伝いします」

「ありがとう、クリスちゃん。助かるよ! それから、私のことは沙樹ちゃんでいいからね」

「は、はい……」


 明るく何でも要領よくこなすように見える沙樹ちゃんだが、実は小さな頃から片付けが苦手だったらしい。頑張って片付けようとしても、なぜかすぐに散らかってしまうのだとか。


「クリスちゃん、ごめんね。王都に着ていく服を探してたら、部屋が余計に散らかっちゃって」

「あれ? 沙樹様……いや、沙樹ちゃん……この薄い衣装は、下着ですか?」

「わあ、懐かしい~! これは私が昔着ていたユニフォームだよ」

「ユニフォームって、何ですか?」


 制服のことだろうか? いまいち要領を得ない私に、沙樹ちゃんは慌てて両手を広げて説明を続けた。


「ごめんごめん! 私は走ったり跳んだりする競技をやってたの。陸上競技っていうんだけど」

「走ったり跳んだりって、一体、何のためにされていたのですか?」

「改めてそう聞かれると困っちゃうんだけど……とにかく、大切な試合のときはこの服を着て出場してたんだよ」

「大切な試合……」


 私の場合、ここ一番の大切な時ってやっぱり……。

 沙樹ちゃんのユニフォームを広げてみると、布地がとても小さくて薄い。とにかく可愛らしいデザインだ。


「私も一度でいいから、こういうの履いてみたいです」

「クリスちゃんなら絶対に似合うと思うよ! こっちの世界にはないのかな?」

「ビキニアーマーなら近いかもしれません。でも私は戦士じゃないですし……」

「じゃあクリスちゃんも自分のを作っちゃえば? これを王都の服屋さんに持って行ったら、同じようなものを作ってもらえるんじゃない?」

「い、いいんですかっ?!」

「うん。もちろん! お兄ちゃんと一緒に行って、完成したやつをお兄ちゃんの前で履いてみせちゃえ♪」

「は、は、恥ずかしいかもです……」

「お兄ちゃんにはそれくらいがちょうどいいんだって。旅行中に二人でデートできるように、私も協力するから頑張ってね!」

「は、はい……!」


「そうだ。クリスちゃん。私、このユニフォーム着て岡山であった全国大会に出たんだよ。あのとき食べた『えびめし』がすごく美味しかったなあ」

「えびめしですか?」

「そう、岡山のソウルフードなんだって。そうだ! 今日のお昼、二人でえびめし作ってみない? ちょうど材料があるよ」 


 ◆


「うわあ~、美味しそう♪」

「これはお兄ちゃんにも自慢できそうだね」


 黒いライス炒めに、ぷりぷりの海老がゴロゴロ入っている。

 上に薄く焼いた卵を細かく切った『錦糸卵キンシタマゴ』が山盛りでトッピングされ、黒と黄色のコントラストがとても鮮やかだ。

 いつもご飯を作ってくれているセトーミさんに代わって沙樹ちゃんと料理をするのは少し緊張したけど、上手にできた。


「おおっ、美味そうだ! 二人ともありがとう」

「いえ、そんな。いつもセトーミ様に作ってもらってますから」

「早く食べてみてよ!」

「美味い、美味いぞ! この甘辛い風味にカレーっぽい味が合うな」

「やったね、クリスちゃん!」

「はい!」


 見た目は真っ黒で少し不安だったけれど、食べてみると意外とあっさりしていて優しい味わい。海老のプリプリとした旨味と、錦糸卵のふんわり感がよく合って、口の中が幸せになる。


「パラパラなのにしっとりしてるな。油が米にしっかりコーティングされてる。さすがクリスだ」

「ちょっと、お兄ちゃん! ご飯を炒めたの私なんですけど!」

「そ、そうか。さすが沙樹だな。このソースもいい味出してる」

「へへーん。このソースはね、カラメルソースとデミグラス、ケチャップ、カレー粉をブレンドしたんだよ」

「そりゃ凄い。どおりで美味いはずだけど……。あれ? ウチにそんなに調味料あったっけ。……おい、これ『えびめしの素』じゃねーか」

「てへっ。部屋を片付けてたら、ちょうど友達からお土産でもらったのが出てきたんだよ」


「でも、沙樹ちゃんはセトーミさんに喜んでもらおうと一生懸命……」

「うん。そうだよな。本当に美味かったよ。二人ともありがとう」


 セトーミさんはきれいに完食されると、嬉しそうに微笑まれたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ