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さぬき製麺丸亀店、異世界ダンジョンで営業中です  作者: 七生(なお)。


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第18話 メイド服と秘密のスキル

「ほう、これが噂の店か」

「ここのパスタは王都のレストラン以上らしいぞ」

「まじか?!」

「まあ、よくあるアレだろ。要するに旅先で食べるメシは、普段より美味しく感じられるってやつじゃねえの」 


 メスカルたちのおかげで店には、毎日、数組の冒険者パーティーが訪れてくれるようになった。

 そして、お客様の冒険者の皆さんの最初の反応はというと……。


「おい、この水見ろよ」

「氷が入っている水なんて初めて見たぞ。しかもこんなに透き通っているなんて」

「こ、このガラスはなんか軽くて柔らかいぞ」

「さすがにこれは別料金か?!」

「これが無料って」

「このパスタ『ウドン』って言うのか」

「いい香りだな」

「つるつるでもちもちだ」

「こりゃ美味い」

「……」

「……え? そんなに安いのか?!」 


 初めて訪れた客は、判で押したかのように氷入りの水に驚いたあと、うどんの味と値段の安さに感動の声を上げるか、もしくは無言になるかという、お決まりの反応である。


「セトーミ様」

「うん、いつものだな」 


 俺とクリスは新たな客が来るたびに、声を忍ばせ笑いあっている。

 最初は互いに視線を合わせられなかった俺たちも、最近、ようやく少しなら互いの顔を見ることができるようになりつつあった。 


 ◆


「よお、セトーミさん! 頼まれていた品、持って来たぜ」

「皆さん、ありがとうございます」 


 俺とクリスが使う食料や日用品は、王都の市場から仕入れてメスカルに運んでもらっている。今日は店の制服用にクリスに似合いそうな服を持ってきてくれた。

 バイト用の制服が少し大きすぎたので、ほんと助かる。


「ロゼが言うには、これが今、王都で流行っているらしいぜ」

「わあ、私の欲しかったものです。セトーミ様、早速着てみてもいいですか」

「今お客さんが少ないから構わないよ」

「ありがとうございます」

「クリスちゃんに聞いた通りの寸法だから、ぴったりだと思うぜ」

「メスカルさん、お礼にうどん食べて行ってくださいよ」

「せっかくだが、実はこれからすぐギルドに帰らなきゃならないんだ」


 クリスは新しい制服を胸に抱えていそいそと着替えに行ったのだが……。


「あ、あの……。どうでしょうか」

「こ、これは!」


 黒をベースに白いエプロンとカチューシャという、正統派のメイド服なのだが、胸元が大きく開いている上、スカートの丈がやたら短い。

 いくら流行りとはいえ、色々と問題がある気がする。

 下手なことを言ってクリスに変な子だと思われるのも嫌だし、かといってこのままでは目のやり場に困るし……どうしよう。


「あ、あの……セトーミ様」

「どうした?」

「そんなに見つめられては……」

「え?」

「は、はうあう……」 


 クリスは恥ずかしそうに胸元と足元に手をやると、営業中にもかかわらず、自分の部屋に入ってしまった。

 俺としたことが、チラ見のつもりがガン見になってたのか。クリスに変な男だと思われたらどうしよう……。


 ◆


「ど、どうしよう……」


 私の持ってるスキルは【ヒール】(微弱)と【危険感知】(小)なのだが、実はもう一つ、誰にも内緒のスキルがある。


 それは【聖女】のスキル。このスキルは、他人の願望をひとつ叶えることができるけれど、使えるのは生涯に一度だけ。

 しかも、自分が【聖女】のスキルを持っていることを他人に知られたら、能力が反転して、自分の願いが永遠に叶えられなくなってしまう。


 どうしよう。

 仕事中なのに勝手に部屋に逃げてしまった。

 セトーミ様に変な子だと思われたかも……いいえ、それ以上にお怒りなのでは?ううう……。


 当然だけど、【聖女】のスキルのことだけは絶対に内緒。これだけは命に代えても譲れない。でも……。セトーミ様は、今まで私の方をまともに見てくださらなかったのに、今日は全てを見透かしたような視線を送ってこられた。

 特に私の膝の上や首の下のあたりに目線が来たのだけど、実はどちらも幼い時にケガをした古傷。すっかり完治して見た目では分からないはずなのに、セトーミ様はお見通しのようだった。

 やがて視線は私の顔と全身へ移り……。


 これが何を意味するのかは、鈍い私でもさすがにわかる。心の中で【危険感知(小)】が、まるで熱を帯びた警報のようにビリビリと震えていた。今まで感じたことのない、こんな感覚……。


 セトーミ様は異世界から来られた伝説のシャーマン。これまでその強大なお力を何度も目の当たりにしてきた。やはり秘密のスキルも見抜かれたのかもしれない。


 ど、どうしよう……。


 おまけに、セトーミ様と結ばれたいなんていう、私の不遜で、はしたない気持ちまでばれてるかも?

 高潔な精神をお持ちのセトーミ様は、そんな私のことをどう思われるだろうか。

 は、恥ずかしすぎる~。しかも、私の思いは絶対に成就しないし。


「はうう……」


 セトーミ様に合わせる顔がないよ。

 布団をかぶって震える私にドアをノックする音が聞こえたのだった。

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― 新着の感想 ―
>これが何を意味するのかは、鈍い私でもさすがにわかる。心の中で【危険感知(小)】が、まるで熱を帯びた警報のようにビリビリと震えていた。今まで感じたことのない、こんな感覚……。 危険感知って(≧∀≦)…
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