幼馴染の男の子(女の子が良かったなぁ)
「エリシアさん!ミケ!手を貸してくれ!」
叫びながら二人のところへ駆け出した。
◇◇◇
「エリシア、重い、放すにゃ。」
「ミケさん、そんなこと言わないでください…私も怖くて動けないんです…」
エリシアと呼ばれた少女はミケさんと呼ばれた少女に抱き着き震えていた。
さすがに耐えられなくなったのか、ミケは腕を振り回してエリシアの拘束から逃れた。
「そんなに怖いなら話でもして紛らわすにゃ。」
「お話ですか?いいですね!私もっとミケさんと仲良くなりたいです。」
「何を話せばいいかわからないにゃ。んー…ミケとミナトは一緒に暮らしてたにゃ!ミナトからご飯もらってたにゃ!あとミナトのパパとママもいて!あとちっちゃい子どもがたくさんいたにゃ!」
「ミナトさんとミケさんは大家族だったんですね。羨ましいです。」
「エリシアはどんな家だったにゃ?」
エリシアは一瞬躊躇ったが、穏やかに話し始めた。
松明の火がぱちぱちと音を立てている。
「私は孤児でした。ですから教会で育ったのです。」
「こじ?」
「聖女に使える存在として修業しました。大変でしたが、それぐらいしかできることがありませんでした。」
「こじ。」
「ある日、浄化能力に気づき、先輩聖女様の元修行し、使いこなせるようになりました。」
「こじ?」
「ミケちゃん、わからない単語があったら尋ねてもいいんだよ?」
ミケは頭を左右に振りながら聞いた。
「こじって何にゃ?」
「えっとね、お父さんとお母さんがいなくて、一人ぼっちの人のことよ。」
「それならにゃーも孤児にゃ。みんな鳥に食われたにゃ。」
「鳥に!?ミケちゃんの住んでたところの鳥って大きいのね…」
カルチャーショックを受けるエリシアを見たミケは珍しいことじゃないにゃ、と呟いて首をかしげる。
話している内容は重々しいはずだが流れている空気はとても穏やかだ。
そんな空気を切り裂くような声が響く。
「エリシアさん!ミケ!手を貸してくれ!」
二人は顔を見合わせる。
そして気づく。ミナトがいない。
二人は慌ててミナトの声がする方へと向かう。
◇◇◇
あれから僕たちは村へ戻った。
夜の川は静かだったが、僕の心臓はずっと落ち着かなかった。
パワフルなおばちゃんに預けたから何とかなるだろう。
「身体あっためたらお腹ぐーぐーなりだしてたよ!食べたら元気になるよ!あっはっは!」
昼食の後、彼に会いに行くことにした。
扉をノックすればどうぞ、と言われる。
控えめに「お邪魔します」と言って中に入ると、彼はベッドの上にいた。
上半身だけ起こしこちらを見据えている。
「えっと、こんにちは?体調はどう?」
「おかげさまで、元気です。」
沈黙が続く。
何か聞かなければいけないことがあった気がするけど、何だっけ。
彼の顔をもう一度よく見る。
どこか見覚えがある。
いや、どこかじゃない。
この顔を僕は知っている。
「もしかして…慧?」
「…」
彼は目を見開きこちらを見ている。当たってたのかな?
間違いない!彼は慧、神谷慧だ!
僕が小さいとき突然引っ越した慧だ!
確かさよならの挨拶する前にいなくなっちゃったんだよね。
「久しぶり慧!僕だよ!ミナトだよ!」
「…うん、知ってる…」
「わー懐かしいな!いつぶりだろう!あの時が小学生だったから何年経ったのかな?」
自分でも声が弾んでいるのがわかる。
今こうして再開できることがとても嬉しいのだ。
「お互い歳をとったな。」
「面白いことを言うね、そういうのってもっと大人になってから言うもんじゃないの?」
僕はくすくすと笑っているけど、慧は僕を見つめながら泣きそうだ。
既視感のある顔だ。
そうそう、僕の母さんがいなくなった後、慧に話したんだっけ。
ヘラヘラ笑いながら話す僕に対して泣きそうになりながら相槌をうつ慧。
なんで慧が泣きそうになってるのか当時はわからなかったけど、今ならわかる気がするよ。
「なあ、ミナト…今、幸せか?」
「うん幸せだよ。急にどうしたの?慧はどうなの?」
「俺は…俺も幸せだよ。」
泣きそうになりながらクシャっと笑う慧。
彼が何を抱えているかわからない。
友達なんだから話してくれればいいな。
◇◇◇
「慧が一緒に来てくれて嬉しいよ!」
「友達なんだから当たり前だろ。」
幽霊騒動から数日、僕たち四人は村を出発した。
まさか慧から一緒に行きたいって言うとは思わなかったな。
勇者にお供は必須だからね。
…もしかして慧が勇者って可能性もある!?
ミケも慧になついてるみたいで良かった。
今も肩車してもらってる。
ごめん、慧。僕ミケの躾をミスったみたいだ。
それにしてもいいパーティかもしれない。
まず勇者の僕!次に冷静な慧!戦闘力の高いミケ!最後に聖女のエリシアさん!
良いパーティかもしれない、じゃない、最高のパーティだ!




