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森の魔女の徒然日記 ~魔女の家へようこそ~  作者: 広岡 千拾
第二章 森の魔女と使い魔の内緒話
9/18

3.子猫いませんか?

 ――わたくしは家で日向ぼっこをしておりましたので、子猫探しに出かけたヘーゼルが何を考えていたのかまではわかりません。ですが、夕餉のあと、ご主人とヘーゼルから聞くことになりました。


「ところで先生、子猫はどんな子がいいのでしょう?」


 村へ出かける前に、ご主人から「外では”サンドラ”ではなく”先生”と呼びなさい」と注意されていたヘーゼル。家の外ではそういう”決まり”なのです。


「そうね、出来れば伝統的には黒猫がいいかしら。話をよく聞いてくれる、優しい子が多いとされてるから。ヘーゼルは、どんな子と一緒になりたい?」

「まだ、よくわかりません……」

「ふふふ。では先を急ぎましょう。こればっかりは、ヘーゼル、あなたの直感が頼りよ。だから、実際に子猫と会ってみないとね」

「はい……」


 ちょっと浮かれていたヘーゼルに、ふいに不安が押し寄せてきました。


 サンドラと手袋が育った家には、たくさんの猫が住んでいたと、ヘーゼルは手袋から聞いています。サンドラとは、幼い頃から一緒に育った仲なのだと。

 けれど、今のサンドラの家には猫は住んでいません(手袋からは「自分は使い魔なので猫扱いするな」と言っていました)。だから、どんな”猫”がいいのか、ヘーゼルにはまったく分かりません。


(私と一緒にいてくれる、私の使い魔になってくれる子猫……)


 思い浮かべようとしても、まったく見当がつかない……。そんなもやもやした気持ちのまま、村へと着いてしまいました。


 村は、周りを木の柵と簡素な石の塀に囲まれており、その中にぽつぽつと家が建ち、畑と牧場が広がっていました。畑には黄金色の麦の波のように揺れ、収穫を待つばかりの様子です。


 村に着くと、ご主人は村の入り口近くの家へ向かいました。その家の前では、一人の女性が椅子に腰かけ、休んでいました。


「こんにちは、ナタリー。今日もいいお天気ですね。いい機会だから紹介しておくわ。先日弟子入りしたヘーゼルよ。ヘーゼル、こちらはいつもお世話になっているナタリーさん。ご挨拶なさい」

「先生に弟子入りしたヘーゼルと申します。よろしくお願いします」

「ヘーゼルちゃんね。ナタリーでいいわよ。サンドラにはいつもお世話になっていて、こちらからは牛乳やチーズをお裾分けしているの。よろしくね。」


 ナタリーさんは、ちょうど一仕事終えて戻ってきたところだったようです。少し日に焼けた、朗らかで柔らかな雰囲気のお姉さんでした。


「それでサンドラ、今日はどんな用事なの?」

「ええちょっと、ネズミ捕りのための子猫が欲しいのだけれど……。確か少し前に、ナタリーの家で子猫が生まれたって聞いたと思ったのよ」

「あー、あの子たちの事ね。ちょうど乳離れしたところよ。庭のほうにいるけど。見てみる?」

「それは良いわね! ぜひお願いするわ!」


 とんとん拍子に話がまとまり、ついに待望の子猫たちとの対面です。ヘーゼルは緊張でかちこちになりながら、ナタリーさんとサンドラのあとに続きました……。

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