4.琥珀色の瞳の子猫
――ナタリーが子猫のところへ案内してくれているとき、エリンとルカからの返事について、手袋がご主人に”心話”で連絡を入れました。
『ご主人。エリン様とルカ様からのお返事ですが、どちらも今のところ、ちょうど良い子猫のあてはないそうです』
『連絡ありがとう、手袋。今ちょうど村に着いたところなのだけれど、ナタリーのところに、良さそうな子猫がいるらしいの。これから見にいくところよ』
まあ、そんなにうまくはいかないと思っていたけれど……よかった。村へ来て正解だったわね。帰ったら、ふたりにお礼の手紙を書かなくちゃだわ。
ナタリーさんに案内された先には、平たい籠の中に寝転ぶ母猫を中心に、ぴょんぴょんと跳ね回る子猫たちの姿がありました。三毛が二匹、ハチワレ、赤毛、白毛の五匹です。どの子も元気いっぱいです。
(この中に私と相性の良い子猫がいますように……)
「どう? サンドラ、ヘーゼルちゃん。気になる子はいるかしら?」
「ふふふ、元気な子猫たちね。 ヘーゼル、もっと近くで見てごらんなさい」
「はい、先生!」
「ヘーゼルちゃん、驚かさないように、そっとね」
ナタリーさんとサンドラに促されて、ヘーゼルは子猫たちに近づきました。子猫たちも「なに? なに?」と好奇心いっぱいに彼女を見つめてきます。
ふらふらと動くしっぽ、つぶらな瞳、ふわふわの毛並み。どの子も可愛いらしくて、ヘーゼルは思わずあわあわしてしまいました。
そんな中、一匹だけ”瞳の色が違う”子猫がいることに気づきました。
その、少し小柄で痩せっぽちの白い子猫が、ヘーゼルの足元にすり寄ってきて、ぴょんと跳ねてまた遊びに行ってしまいました。
「あの白い子……」
「この子かな? ほら、落とさないように、抱っこしてごらんよ」
ナタリーさんから受け取ったその白猫は、暴れることもなく、すんなりとヘーゼルの腕に収まりました。ほんのり温もりが伝わってきます。
もう一度その瞳を見つめると、白猫もじっと見返してきました。そして「みぃ」と鳴いて、ヘーゼルの腕に顔をうずめてきます。
(琥珀色の瞳……)
「この子がいいです、先生」
「白猫だけれどいいの? 先生的にはハチワレがオススメだったのだけれど……」
「白い子は意外とやんちゃで、言うことを聞かない時もあるけど、ヘーゼルちゃんが気に入ったのなら、それでいいんじゃない?」
(白猫は言う事聞かない子なの? こんなにおとなしいのに……)
「そうね。ヘーゼルがいいと言うなら、その子がいいのでしょう。ナタリー、この子をうちの子にしてもいいかしら?」
「もちろん。猫が多すぎると、餌の取り合いでケンカになるからねえ。もらってくれるなら、この子は餌に困ることもないし、かえってありがたいわ」
「ありがとう、ナタリー。感謝するわ」
「ナタリーさん、ありがとうございます」
サンドラが軽く会釈したので、ヘーゼルもあわててぺこりと頭を下げました。
「子猫を連れて帰るのに籠が要るでしょう? ちょっと待っていてね、支度してくるわ」
ナタリーさんは、籠を探しに家の中へと入っていきました。
――どうやらヘーゼルは白猫を使い魔として迎えることに決めたようですね。なんとなくわたくしの言う事を聞かない気がするのですが……それは会ってみてからのお楽しみということで。
さて、お迎えの準備をしなければなりませんね。




