閑話 おしゃれ談義
夜のお茶会も終わろうかという頃。
焼き菓子を平らげたクーはすました顔でお茶をすすり、こんなことを言い出しました。
「そうだサンドラ~。今度街に行くとき、ボクも一緒に行きた~い」
「ご主人。図々しいクーのことですから、きっと新しい服のおねだりです」
「そ~そ~。ボク、街の最新のファッションでおめかししたいの!」
手袋の予想通り、クーは新しい服が欲しいようです。鳩にも衣装?
クーはわくわくした様子でサンドラを見つめています。
この家の金銭管理を任されている手袋は、呆れた顔でクーを一瞥しました。
古着を買うならまだしも、新しく仕立てる余裕はありません。
「クー、今ある服をそれっぽく直すのではだめかしら」
困ったサンドラは、クーに代わりの案を提示しました。
今クーが着ている服は、サンドラが苦労して仕立て直したものです。
「え~! ボクの秘蔵のクローゼットコレクションに加えたいの~」
「このボケ鳩にはお金という概念がございませんから……」
「手袋だって流行りの給仕服に興味あるでしょ~?」
「残念ながら、わたくしはこの奥ゆかしい給仕服で満足しております」
堪りかねた手袋の挑発から、一羽と一匹の言い合いが始まりました。
どちらも沸点の低いことが玉に瑕だわ……とサンドラは心の中で呟いた。
「夜も遅いから、二人とも静かにね」
サンドラの一言に、一羽と一匹ははっとして、ぴたりと言い合いをやめました。
「んじゃ~、お先にボクは寝るね~」
「主に対する敬意がないのですか、このボケ鳩は」
クーはソファからひょいと立ち上がると、自室へ帰っていきました。
「ねえ手袋。ワタシの服のセンス、ちょっと古いかしら」
「そんなことはございません、ご主人」
「ヘーゼルの外出着くらい、せめて今風に仕立て直したいわ……」
「わたくしでよければ、お手伝いいたします」
「ありがとう、手袋」
もう少しおしゃれに気を配ったほうがいいかな、とサンドラは思いました。




