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森の魔女の徒然日記 ~魔女の家へようこそ~  作者: 広岡 千拾
第三章 森の魔女の弟子 ~初めてのおつかい~
13/18

1.弟子の一日 前編

おつかい、ひとりでできるもん!


 魔女の弟子としての暮らしに慣れてきたヘーゼルに、サンドラは村へのおつかいをお願いします。はたして、ヘーゼルはひとりでおつかい出来るのでしょうか?!


※カクヨムにも投稿してます。

 ある日の晩のこと。


 ヘーゼルは寝る前に日記をつけていました。

 日記帳はサンドラからもらったものです。表紙は幾何学模様で美しく装飾されていて、手触りもよく、ヘーゼルのお気に入りです。


 ――魔女の弟子の朝は早い。


「おはようございます、サンドラ……」


 まだ夜明け前です。私はあくびを噛み殺し、眠い目をこすりながら、サンドラに朝のあいさつしました。サンドラはすでに作業着に着替え終わっています。


「おはよう、ヘーゼル。今日も手袋とミルクにやられたわね」

「今日こそは起きられるはずだったんですけど……」

「そのうち慣れるわ。ヘーゼルなら大丈夫ですよ(にっこり)」


 魔女に弟子入りした私の朝は、たいていこんな風に始まります。


 私が朝起きてこないと手袋が「起きなさい、ヘーゼル」と言いながら私の鼻をザリザリ舐めて起こしに来ます。手袋はサンドラの猫の使い魔です。

 私は「ひゃうっ」っと飛び起きて、まんまるになってまだ寝ているミルクをついでに起こすのだけれど、ミルクは「まだねむい」って、私の手を蹴ったり引っ搔いてきます。おかげで朝からすっかり傷だらけです。


「あとで軟膏を塗りましょうね、ヘーゼル。さて、顔を洗って着替えてきてね」

「はい、すぐに支度してきます」


 私は冷たい水で顔をパシャリと洗って、部屋着から作業着に着替えます。髪を櫛で梳かし、紐で結わえて完成。今日一日が始まります。


「お待たせしました、サンドラ。いまから水汲みにいってきます」

「ヘーゼル。鼻だけでも軟膏を塗りましょう。手は作業が終わったら塗りますから。ちょっと動かないでね……はい、これでいいわ。水汲み、お願いするわね」

「はい、サンドラ。ミルクも一緒に行くわよ!」


 ミルクを連れて裏庭に行きます。裏庭の近くに流れている小川から水を汲んで、家の調理場や洗い場の水瓶に水を入れていきます。ミルクに引っ掻かれた傷がしみるけど我慢、我慢。当のミルクは見てるだけです。


 ちなみに手袋は水汲みが出来ます。一番最初の時に、優雅に水を運ぶさまを見せてもらいました。「そのうちミルクにも出来るようになります」と手袋に言われたけれど、いつになることやら……。


「サンドラ、水汲みが終わりました」

「ありがとう、ヘーゼル。それじゃあ、裏庭の香草やお野菜と鶏のお世話に行きましょうか」


 この家の裏庭ではお料理に使う香草や野菜、それと卵を産んでくれる鶏を育てています。お野菜は新鮮だし、卵はおいしいから大好きです。


 サンドラに教わりながら、香草や野菜に水をやり、雑草を抜いたり肥料をやったり、時期が来たものを収穫したりします。

 畑仕事が終わると、鶏小屋から鶏を出して餌をやり、卵を割らないように優しく回収します。


 この時間、ミルクは手袋と一緒に使い魔としての勉強をしているはずなのに、なぜか畑の間を駆け抜けたり鶏を追いかけたりしています。


「ミルク! 足元をぐるぐる回らないで……た、卵が割れちゃう!」

「たのしいから、やだ」

「ミルクはまだ子猫だから仕方ないわね、ふふふ」


 ミルクが暴れていると、手袋がやってきてミルクを捕まえます。


「ミルク。ご主人とヘーゼルの邪魔です。勉強に戻りなさい」

「やーだよ。おまえうるさい」

「お前ではなく先生または先輩と呼びなさい、ミルク」

「やだ!」


 ああ、もう。ミルクったら。ナタリーさんが言ってた通り、やんちゃでいう事聞かないタイプだった……。


 野菜や卵を食材置き場に持っていくと、私とミルクだけ朝ごはんを頂きます。私は前の晩の残り物で、ミルクは子猫用のご飯です。


 サンドラ曰く、「食べ盛りはちゃんと食べなきゃなのよ」


 朝ごはんが終わると、次の仕事です。


 晴れている日は、洗い場に洗濯物を集めてきて洗濯をします。シーツは大きいけど頑張って洗います。洗い終わったら、裏庭のロープにピンと張って干します。しかしまだ背が足りなくて、洗濯物をロープにかけるのは大変です。


 家の中の掃除や裏庭の手入れもやります。家の中はあちこち埃を叩いたり、箒で掃いたりします。床もゴシゴシ拭きます。

 裏庭も雑草を抜いたり、落ち葉を掃いたりします。落ち葉はまとめておいて堆肥にします。


 まだ一人では大変なので、洗濯と掃除は手袋が手伝ってくれます。ミルクはやっぱり遊んでいます。


 雨の日は、サンドラと一緒に香草や薬草を束ねて吊るしたり、保存食を仕込んだり、手袋と一緒に普段出来ないところの掃除をしたりします。ほかにも書庫に出しっぱなしの書物を片付けたり、何故かやることはたくさんあります。


「ありがとう、ヘーゼル。手の傷を見せて頂戴。軟膏を塗りましょう」

「はいお願いします、サンドラ」

「あらあら、今日は手だけじゃないわね。こんなところまで傷ができて……塗りこんだら、はいお終い」


 サンドラの傷薬は効果抜群なので、たいていの擦り傷、引っ掻き傷はすっと治ってしまいます。こういうお薬、早く自分で作れるようになれればいいのに……。

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