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森の魔女の徒然日記 ~魔女の家へようこそ~  作者: 広岡 千拾
第二章 森の魔女と使い魔の内緒話
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6.使い魔ミルク誕生

「ヘーゼル、起きてください。子猫を使い魔にする契約の儀式を行います」


 すっかり寝入ってしまったヘーゼルを、わたくしが部屋まで起こしに来ました。ヘーゼルは、「うーん」と伸びをして、わたくしと一緒にリビングへ急ぎます。


(ワクワクすると同時に、やはり緊張もする……。だって私の使い魔が出来るんだもの)


 それはそうでしょうねぇ。わたくしは使い魔の力で、ヘーゼルの心の声を受け取りました。ご主人とわたくしのときは、ご主人はワクワクしていたものの緊張はしてませんでした。むしろ緊張していたのは……わたくしのほうでしたか?


「しっかり休めたかしら、ヘーゼル?」

「はい、すっかり元気です、サンドラ」

「では、始めましょうか。子猫と一緒にこちらへ」


 ご主人が指し示した先には、わたくしの用意した魔法陣が描かれており、ほのかに青白く光を放っていました。ヘーゼルは籠から子猫をそっと抱き上げ、魔法陣の中央へと進みます。

 すると、魔法陣の光が眩しいほどにキラキラと輝き、ヘーゼルと子猫をやさしく包み込みました。


「相性はとても良いようね。それでは、ヘーゼル。その子に名前をつけてあげなさい」

「えっ、名前!? 名前、名前……」


 えぇ~! このファッ〇ン小娘、まさか名前を決めてなかったのですか? わたくしとしたことが、事前に確認を取っておくべきでした……とんだ失態です。


「ヘーゼル、その子をよく見て。そうすれば、その子が教えてくれるわ」

「子猫をよく見る? うーん……白いからミルク? ミルク……そう、あなたはミルク!」


 ヘーゼルが子猫の名前を叫んだ瞬間、魔法陣の青白いキラキラがいっそう強く輝き、渦を巻くようにヘーゼルとミルクを包み込みました。そして、光がすっと二人の体に染み込むように流れ込んだかと思うと、魔法陣はふっと消えました。


 どうやら契約の儀式は成功したようです。


 ミルクと名付けられた子猫は、琥珀色の瞳でじぃっとヘーゼルを見つめ、一言――。


「おまえ、ごしゅじん、さま?」

「ふえぇ? 子猫がしゃべった!」


 ヘーゼルは驚いて、抱き上げた子猫をじっくりと見返しました。

 まあ、そうでしょうね。普通の猫は人語を話せませんから。


「ミルク……いい名前ね。ヘーゼル、ミルクに応えてあげなさい」

「私、ヘーゼルがミルクの主です。これからよろしくね」

「ヘーゼル、ごしゅじんさま。おれ、ミルク」


 こうしてヘーゼルの使い魔――『ミルク』が誕生しました。


(白くてふわふわで、琥珀色の瞳で私を見返してくれる……なんてかわいい子なんでしょう! 私だけの使い魔!)


 ヘーゼルは嬉しそうにミルクを抱き上げながら、その場でくるくる回っています。……まあ、ミルクが”かわいい”のは今のうちだけだと思いますけれど。生意気な口の利き方といい、先達の感として、そんな予感がいたします。


「こんにちはミルク。ワタシはサンドラ。ヘーゼルの師匠になるわ。こちらはワタシの使い魔の手袋。あなたの先輩になるわね。よろしくね」


「ご主人。無事、契約の儀式は終えたようですし、そろそろ夕餉といたしましょう」

「そうね、ワタシもお腹が空いたわ。今夜はナタリーから頂いたチーズで、少し豪勢なグラタンを作ったの。ヘーゼルの記念すべき第一歩を、それでお祝いしましょう」


 ――こうして、森の魔女の家に小さな使い魔が一匹加わることになりました。

 そして、わたくしの仕事に、”ミルクの特訓”が加わることになり、どうやら明日から忙しくなりそうです。……はぁ。

ヘーゼルの使い魔、ミルク爆誕です。

手袋の苦労、いえ仕事が増えました……。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次のお話も読んでいただけると嬉しいです。

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