第13話 和み亭の朝 - そして、Javaシティへ
Javaシティへ出発~。
ちなみに私が一番好きなキャラはバグジロウです。
翌朝、アキトは
「ピピカチャ!ジュウデンカンリョウ!イツデモ イケルヨ!」
というピットの元気な、かつ電子的なさえずりで目を覚ました。
窓の外は すっかり明るく、窓を開けると清々しい空気が部屋を満たしていく。
食事処へ行くと、朝食の準備が整っていた。
朝の準備は女将さんだけでするようだ。
(マリカは学校もあるし、夜だけ手伝っているようだな)
白いご飯、焼き鮭、温かいみそ汁、味付け海苔、温泉卵、香の物という、シンプルながらも心のこもった日本の朝食だ。
(この漬け物、なかなかうまいな)
「おはようございます。お漬物が気に入ったようですね。これは私の手漬け。ヴァリアント草を干してちょっと独自の味付けをしてつけたものなんですよ。うちのオリジナル」
(今度は変数かよ(笑)これまたなんて名前だ)
女将さんがあいさつをしにやってきてくれた。
「とても美味しいです。ところで、納豆はないんですね」
アキトが言うと、女将さんは不思議そうに首をかしげる。
「ナットウですか?この世界にはそういった名前の食べ物はありませんね。cobol王国にもありませんでした」
(なるほど納豆ぎらいの俺にとっては、むしろ好都合か…そのうち作れるかもしれんが、そっとしてこう)
アキトは内心ほっとする。
(昨夜の旦那さんの話がいろいろ気になるな。権限を取り上げられるなんて、本当に何か隠されているのかもしれない。一体、Javaシティで何が起こっているんだ?)
「考え込むより行った方が早い。気になることが多い。早く行こう」
さっさと食事を終えたリリスがアキトをうながし、食後のお茶も早々に席を立つことにした。
部屋に戻ったアキトは、リュックサックからいつの間にか Git のリポジトリに入っていた「初心者装備」一式を取り出した。
(これ、昨日から気になってたんだよな)
実用的なデザインのインナーに、動きやすい合成素材のパンツ。
上着には、軽い損傷からの保護のためにいくつかの箇所には金属製なプレートが縫い込まれているようだ。
(よしよし、いったん昨日のスーツからは解放されそうだ…)
最後に、ほこりよけと少し の保温のために、黒曜石のような光沢を放つ「デバッガーズ・ローブ」を羽織った。
古来の複雑な文様が織り込まれたそのローブは、見た目は重厚そうだが、昨日と同じように、手に取ると信じられないほど軽い。
「これでよし、と」
アキトは身支度を整え、部屋を出た。
入口にはすでにリリスが待っていて、ピットの頭を優しく撫でている。
「昨日はエネルギーをほとんど使い果たしていたけれど、フル充電できたようね…よかった」
小さな鳥は、
「ピピカチャ!モウダイジョウブ!イツデモ イケルヨ!」
と返事をした。
(仲良さそうだな…俺の相棒はバグジロウか…)
そして、宿の前のホバーカースペースでは、バグジロウがメカニカルなボディを自分で磨いている。昨日傷だらけだったボディは研磨され、新しい部品が少し 追加されて、だいぶ修復されたようだ。
「遅いぞ、天才エンジニア!」
バグジロウは無機質だが、どこか人間的な温かみと皮肉さを感じさせる声で言った。
「おかげで暇すぎてボディを磨きまくっていたぞ!最新のナノマシンによる自己修復機能も試せたしな!さっさと乗り込め!」
「サンキュー、バグジロウ。助かるよ」
アキトはそう言って、バグジロウの運転席に乗り込んだ。
和み亭の温かい人々が、玄関先まで出てきて手を振って見送ってくれる。
「アキトさん、リリスさん、ピットさん、どうかお気をつけて!またお立ち寄りくださいね」
女将さんの優しい声が響く。
アキトは軽く手を上げ、バグジロウは静かに地面から浮き上がり、走り始めた。
バグの嵐が吹き荒れるというJavaシティへ向けて、新たな旅が始まる。
さて、アキトたちは無事にJavaシティに入れるのか?




